思いがけない結果となり、トレンガヌの王様はモロンに対して激しく怒りました。チュラン王は大喜びで船へ
戻っていきました。夜になると、船の上では勝利のお祝いが開かれ、賑やかな歌声が聞こえてきました。
モロンの方は、その後トレンガヌの王様に呼び出され、王宮へ向かいました。そして、王様から「この愚か者め
が。一体、おまえは何ゆえに、わたしに鶏を取り替えることをすすめたのか」とののしりをうけました。
モロンは、答えに困り、自分の過ちを認めました。
「王様、わたしは、チュラン王の鶏の蹴爪とくちばしが強い運を持っていると思い込んだのです。それで取り替
えることをお勧めしたのです。」
トレンガヌの王様はモロンの気持ちを理解してくれませんでした。それどころかモロンの勧めを聞き入れたこと
をとても後悔していました。もし、取り替えていなければ、王様の鶏が勝っていたのですから。
「モロンよ」王様は怒りをこめて言いました。「罰として、おまえの目の玉をえぐることにする」
モロンは取り乱すことなくその罰を受けました。
それ以来、モロンは娘のダヤンに助けられて日々を過ごしていました。
あある日、モロンは王様の様子を娘にたずねました。ダヤンの話から、王様が悲嘆に暮れているのがわかりま
した。モロンがいなくなってから、闘鶏で勝つこともなく、すっかり気落ちして、宮殿を出て家来とともに
サカテイリマ島にいるというのです。王様はなかなか元気になれず、モロンのことをよく思い出しました。
とうとうある日のこと、家来にモロンを連れてくるよう命じました。
つぎへ
-2-
|