一日一日と満月の日が近づき、数家族、数人の親しい友人がラジャに付いて行くことに なりました。村に残ることにした人々は、危険や災害が起こるなんて考えられない、 夢のお告げなど心配しなくてもよいだろうと思いました。 そしていよいよ満月の日、一行は旅立ち、太陽が沈む方角をめざしました。 険しい茂みをかき分けかき分け、アリに噛まれながら歩き続けました。やがて日が落ちると 一行は大きな木の下で疲れをいやしました。 「あとどれくらい行けばいいのでしょう」ペングルブキットはラジャにたずねました。 「辛抱するんだ、そのうち夢に現れた場所へ行き着くから」ラジャは弟の気持ちをいたわるよ うに言いました。川が二つに分かれている場所に出ることは確信していましたが、 明日やあさってのことではあるまいと思っていました。 次の日もラジャの一行は歩き続けました。道なき道をかきわけて、果てしなく続く草原を歩 き続け、みんなはへとへとに疲れてしまいました。村へ帰ろうとラジャにうったえる者が出 始めました。しかしラジャは聞き入れませんでした。 その時ペテリの怒鳴り声が響き、文句を言っていた人々はしーんと静まり返りました。 みんな、ペテリを怒らせたくありませんでした。誰一人危険な動物などに出くわすことなく みんなが無事に今まで来れたのは、ペテリが魔法をかけて、あらゆる災難や不幸を取り除い てくれていたからにちがいないと信じていたからです。
-2- |