七日目のことです。一行がある小さな丘のふもとで夜を過ごしていると、ラジャの耳になに

やら水の湧き出すような音が聞こえてきました。ラジャが一人でその音の方へ歩いて行きま

すと、だんだん水の音がはっきりと聞こえてきました。ラジャはそこに二つの川が合流して

いるのを発見し息をのみ、やがて嬉しそうににっこり微笑みました。夢に現れたこと

は本当だったのです。ラジャは弟たちの寝ている所に急いで戻り、二人を起こすと、たった

今見てきた事を話しました。ペテリもペングルブキットもそれを聞いて大変喜びました。

「ここに留まることにする」とラジャは翌朝みんなを集めて言いました。

そして川のところへ人々を連れて行きました。川は浅く、清らかに澄んでいました。

みんなで浅瀬を渡っていたとき、遠くの方に、流れが堰きとめられている場所があるのに

気が付きました。「川底を掘ってみよう」ラジャは堰きとめられている場所にみんなを集

め、川底の土砂を掘るように命じました。突然だれかが叫びました。

「変なものがあるぞ!」川底に何かが突き刺さっていました。引っ張っても抜けません。

みんなで力を合わせてやっとのことで引っ張り出すことができました。出てきたものを見

て、みんなびっくりしました。これまで見た事もない大きな牙です。恐ろしさのあまり悲鳴

を上げる人もいました。ラジャ、ペテリ、ペングルブキットにそのことが報告されました。

ラジャはこんなに大きな牙をみたことがありません。「一体、何の牙だろうか」とラジャは

ペテリに言いました。ペテリはそれを見て目をつぶってしばらく考えていましたが、

「これは、かつてこの土地に住んでいた動物の牙でしょう」と言いました。

ラジャはその牙をまるで赤ん坊のように大事に抱きながら、何と美しいのだろうか

と思いました。そこで、ペテリとペングルブキットの方を見てこう言いました。

「ここを牙の広場と呼んではどうだろう。この川を牙の眠る川と名づけたいのだが」

「それはとてもいい名前ですね」とペテリが答えました。

          

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