「どうしたの、私の孫や」とおばあ様は心配そうにたずねました。

ドリ王はおじぎをして話し始めました。

「おゆるしください、おばあさま。理由はいえませんが、私はアナ・ボンス・ガジャ言う場所にどうしても

いってみたいのです。」

ドリ王には本当の事はとても言いだせませんでした。おばあさまはしばらく考えていましたが

「いいでしょう。あなたがそう望むなら。」と許してくれました。そして

「おじいさまの遺言では、もう婚約しているあなたはこの国を長く留守できないことになっています。

早くお帰りなさいよ。」と付け加えました。

 出発の時がきました。ドリ王は昇る太陽をしばし見つめて立たずんでいました。

皆と別れる事を考えると少し悲しくなりました。侍女や家来たちも泣いていました。  

やがて祈とう師が朝のお祈りのコーランを読む声が聞こえてきました。ドリ王は決意を新たにして宮殿から

足を踏み出しました。

王のお供は数人でしたが大勢の人々が街の出口まで王の一行を送りについてきました。

        

 

王の一行は大きな町から小さな町、大きな村から小さな村へと旅を続けました。そしてとある村に入った時です。

王様と家来たちは はげしい疲れを覚えて、倒れるように横になって眠ってしまいました。    

  そして次の日、一行が目を覚ますと、一人の老人が何処からか現れて

「あなたがたは、何処から来たんだね?」とたずねました。

「我々は 風下のほうの国から来て、パサル・パンジャン・ウビ国へ行くところです。」と王様は答えました。

すると 老人は頭を横に振りながらいいました。

「その国に大きな災害が起きたのを聞いてないのかね。行っても無駄だろうよ。」

 

 

-2-

  つづく