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ウイルス進化論について≫

[進化について5-(よい病気③)] '11.10.24
             (ウイルス8-9)
[進化について5-(よい病気②)] '11.10.23
             (ウイルス8-8)
[進化について5-(よい病気①)] '11.10.16
             (ウイルス8-7)
[進化について4-(縄文人)] '11.10.10
             (ウイルス8-6)
[進化について3-(脳3)] '11.9.22
             (ウイルス8-5)
[進化について3-(脳2)] '11.9.21
             (ウイルス8-4)
[進化について3-(脳1)] '11.9.18
             (ウイルス8-3)
[進化について2] '11.9.6 (ウイルス8-2)
[進化について1] '11.9.3 (ウイルス8-1)
[DNA] '10.1.29     (ウイルス7-2)
[RNA] '10.1.22     (ウイルス7-1)
[善悪の喫水域] '09.12.31 (ウイルス6-4)
[防医大2] '09.12.28   (ウイルス6-3)
[防医大1] '09.12.25   (ウイルス6-2)
[アンドロメダ] '09.12.3 (ウイルス6-1)
[マスク3] '09.11.19   (ウイルス4-9)
[マスク2] '09.11.17   (ウイルス4-8)
[マスク1] '09.11.13   (ウイルス4-7)
[クイズ] '09.11.11    (ウイルス4-6)
[宇宙パトロール] '09.10.17  (ウイルス5)
[消毒] '09.10.15     (ウイルス4-5)
[血液型] '09.10.13    (ウイルス4-4)
[ノロウイルス] '09.10.11 (ウイルス4-3)
[インフルエンザウイルス2] '09.10.8
             (ウイルス4-2)
[インフルエンザウイルス1] '09.10.6
             (ウイルス4-1)
[インシュリン2] '09.9.30(ウイルス3-2)
[インシュリン1] '09.9.29(ウイルス3-1)
[ウイルスの定義] '09.9.24   (ウイルス2)
[ウイルスの大きさ] '09.9.20  (ウイルス1)

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[進化について5(よい病気③)] '11.10.24--(ウイルス8-9)

生物学的な進化というのだろうか。つまり、通常の進化。自然淘汰や自然選択による進化では、ひとつの種が進化を完了するのに800万年ほど掛かるという。ところが、「逆転写酵素」を使った、RNAによる情報の書き換えによる進化は、非常に早い。通常の進化のスピードを1とすると、100万ないし200万倍の早さだというのである。

800万年の100万倍の早さだと、8年、200万倍では4年。このくらいの速さで、種を進化させてしまうというのだ。(この計算は、経済人類学者?の栗本慎一郎氏が、1988年ごろ「tv2 講義」というテレビの番組で話していたことである。)


『ウイルス進化論』でいえば、サルから人間への進化が、8年とか4年で、もちろん、種全体が変化してしまったことになる。
これだったら、動物でも人間でもよいのだが、ミッシングリンクなどなくてもよい。劇的な変化である。キリンの首にしても、この理論でいけば、あっという間に長くなってしまったことになるのだ。

人類が、サルから人間に進化したことを「よいこと」というのならば、? このケースは、ウイルスに感染したことは、『祝福すべき病気になった』ということが出来る。




[進化について5(よい病気②)] '11.10.23--(ウイルス8-8)

レトロウイルス、つまり、RNAウイルスだが、このウイルスが強力であることは、出来事[進化について4]で書いた。長いあいだ繁栄の続いた縄文時代を、このウイルスが、おそらくは、あっという間に終わらせてしまった。(← 学説を信じるならば)


DNAが二本鎖の遺伝子なのに対して、RNAは一本鎖の遺伝子である。その一本鎖の遺伝子を持つウイルスが、RNAウイルスである。

RNAウイルスは、宿主の細胞に侵入すると逆転写酵素を使って細胞のDNAをウイルスの情報に書き換えてしまう。その後はもちろん、DNAはウイルスをつくる指令を出し続けることになる。

通常は、DNAからRNA方へ情報のコピーが行われる。その逆になるので、RNAウイルスが使う酵素を「逆転写酵素」と呼んでいる。

また、RNAは「不安定な物質」?で出来ているという。それだけに、RNAからDNAに書き換えが行われる際には、エラーが起きやすい。つまり、ウイルスが頻繁に変質してしまうのだ。このウイルスにHIV(エイズ)ウイルスがあるが、このことが、特効薬としてのワクチンが作れない理由である。

ついでなので、具体的なことを書いておくと、人間にはもちろん免疫機能が備わっているが、そのひとつが白血球で、その中にリンパ球がある。「ヘルパーT細胞」「B細胞」などという言葉を聞いたことがあるだろう。リンパ球の名前である。HIV(エイズ)ウイルスはそのT細胞に感染する。つまり、人間から免疫システムの機能を奪ってしまうのだ。


だからこそ、同類のウイルスが人類に良い方へ作用したならば、と考えると、期待は計り知れないものがあるのだ。




[進化について5(よい病気①)] '11.10.16--(ウイルス8-7)

君は、『よい病気』という概念があるのを知っているだろうか? 病気といえば悪いものに決まっていそうだが、ところが、ウイルスに関しては、少し違ってくる。

動物でも人間でもよいのだが、ウイルスに感染することを「病気」と考えれば、ウイルスに感染して病気になることによって、その「種」の性能が向上することがあるのだ。


そもそも、ウイルスとは何か? 少なくとも生物ではない。1996年に発行された『ウイルス進化論』著者・中原英臣氏、佐川峻氏によれば、細胞の部品ではないかというのである。

細胞部品? では、他の細胞部品に何があるかといえば、ミトコンドリア、リボソーム、葉緑体などがある。細胞の中で働いている器官である。ウイルスがそれらの仲間ではないかというのだ。つまり、ウイルスは細胞の外交担当ということになる。

細胞部品をいい換えれば、細胞内器官、あるいは細胞小器官。

細胞部品であるウイルスは、細胞に入ったり出たりして情報を細胞に伝えたり出したりする。そういう役割をする。

だから、本来、ウイルスは、動物でも人間でもよいのだが、悪い病気を引き起こすことを本意としていない。個体を超えて、それどころか種を超えて、有用な遺伝情報を伝達していくのが本来の役割なのである。


動物や人間を悪い病気にするウイルスは、むしろウイルスの突然変異なのかも知れないのだ。(← 動物や人間を病気にし、ひいては死に至らしめるウイルスには、本当はもっと深い目的と意味があるのだろうが、)

だから、地球上に天文学的な数のウイルスが存在するのに、たとえば、ウイルス病に罹った野菜を人間が食べたとしても何んにも起こらない。つまり、ほとんどのウイルスは無害なかたちで存在している。





[進化について4-(縄文人)] '11.10.10---(ウイルス8-6)

中学生のときだったろうか? 歴史の授業で縄文人のことについて教わったことがある。縄文人のイメージは、原始的な生活をしていた、ということだった。

竪穴式住居というほったて小屋に住み、使用する土器などもひどく粗末なものだった。彼らは野山をかけ回って狩をし、どんぐりの実などを拾っては、渋抜きして食べた。

縄文時代は800年から1万年つづいた。その後、日本列島に弥生人が入ってくると、縄文人は、その侵入者に追われるように偏狭の地へ逃避行してしまった。

上記が、学校で教わったイメージである。土器についてなど、縄文人がつくった土器はヤボッタイものだった。それに比べ、弥生人のつくった土器は、機能性に優れ、表面など滑らかで美しく出来ているというのである。


ところが、ぼくが成人してから縄文人について得た知識は、まったく違うものだった。縄文人は高度な文明を持っていた。高い文化的生活をしていたのである。それに、弥生人によって滅ぼされたのではなく、縄文民族全体で病気に罹ってしまって、それで人口を減らしたのだった。(← ひとつの学説だ。)結果、弥生人に駆逐されたようになってしまった。

たしかに彼らの作った土器はプリミティブなものに思えるが、しかし、火焔土器などをよく見れば、精神的に豊でないとつくれない器なのである。また、縄文時代から、陸稲かも知れないが稲作があったようなのである。


縄文人が罹ってしまった病気が何かというと、ATL = 成人T細胞白血病 である。風土病といっていい。ATLはHTLV-I ウイルスの感染によって発症する。このウイルスを、また、レトロウイルスとも呼ぶ。

レトロウイルスは、簡単にいうとRNAを持つウイルスのことである。もうひとつ、逆転写酵素を持つ。現在もっとも有名なレトロウイルスがHIV、エイズウイルスだ。




[進化について3-(脳3)] '11.9.22---(ウイルス8-5)

人間は、脳の機能を、脳の外へ出すことに心血を注いできたようである。文字をつくったのもそうだし、印刷技術を開発したのもそうである。パソコンもそう。スーパーコンピュータなどは、創造行為以外の脳の働きを全て外に出してしまった感がある。

前回、宴会での伴奏なしの歌を話題にしたが、… 現代人にとって「カラオケ」は、日常必要な娯楽である。そのカラオケでは、モニターに歌詞が出るので、歌うに歌詞を記憶してなくてもよいのである。これも脳の記憶部分を外へ出したものである。車のナビゲーションなども、情報や記憶を脳の外へ出してしまったものだ。


『人間の脳は、発達どころか退化しているのではないか』と、前回書いたが、脳にとっての便利さの追求は、かえって脳の機能を後退させてしまっているのではないか、と思えるのである。


出来事 [進化について3]は、人間が進化するとしたら、脳をおいて他にはないだろうと考えたわけである。そこで脳を考察してみたのだ。… すると、脳は、進化というより、その反対の退化のイメージになって来てしまったのである。
あるいは、人間の脳は、情報をどんどん外へ出して、外で記録しようとするので、これ以上、脳の容量は必要なくなってきた。つまり、進化というより、退化、退化が言い過ぎならば現状維持でよい、そんな雰囲気になってきたのである。


… とはいえ、進化は偶然ではない。するときが来たならする。人間も、いつか、人間とは呼べない新しい種に進化する。やはり、決定的に変化するのは、脳だろうと思うのだ。




[進化について3-(脳2)] '11.9.21---(ウイルス8-4)

[進化について3-(脳1)]は、若干、壮大なイメージを書いてしまったが、もう少し身近なことを書けば、そう、30年ぐらい前のことだろうか?

ぼくの村では村人が、集落センターで、あるいは薬師堂で会議を開くのだが、決議したあとは、しょちゅう宴会になった。宴会が佳境になってくると、必ず手拍子の歌が始まった。当時は、ビールも焼酎割りも出なかった。飲む酒は、全て燗をした日本酒だった。ときにヤカンに入った酒が出てきて、それを湯飲み茶碗で飲んだ。

手拍子の歌とは、炭坑節や黒田節、それに、歌謡曲や春歌(=エッチな歌詞を含む歌)。そんなのを多くの先輩たちが知っていて、代わりばんこに歌った。ふだん吃音のある先輩がいるのだが、酔ってひとたび歌いはじめると、朗々と歌いあげる、それは感動ものだったのだ。

そこに参加しているぼくはといえば、そらで覚えている歌などひとつも無かった。

そらで歌を歌うということは、脳が活発に活動をしている証左だし、高度な活動をしているということだろう。個人だけでなく集団も。

最近は、村人が宴会を催しても、もはや手拍子の歌などは出なくなってしまった。なんとも良い文化だったのだが、


つまり、たった数十年のスパンでも、人間の脳は、発達どころか退化しているように思えるのだ。人間というより、ぼくも含む日本人は、高度な精神活動を拒否し、脳の退化を容認しているように思えてしかたない。





[進化について3-(脳1)] '11.9.18---(ウイルス8-3)

「口承(こうしょう)」という言葉がある。意味は、人びとが口から口へと伝説などを伝えることとある。語りもだが、歌でうたいつぐのも口承に入るだろう。口伝(くでん)、口づたえでの伝承である。口承には、「口秘」などと呼ばれるものもある。それは、限られた、選ばれた者によって伝承する。


人間が文字を使うようになったのは、いつの頃からだろうか? メソポタミアやエジプトなどの古代文明の頃だろうか? 初めの頃に象形文字が使われたのはよく知られている。 

思うのだが、人間が脳を、とりわけ大脳皮質を思いっきりフル回転させていたのは、文字がまだ無かった時代ではないだろうか? … つまり、人間どうしが情報を伝達するのに、文字が無い時代には、口から発せられたらすぐ消える「ことば」で伝達をしていたわけで、つまり、よっぽど正確な脳への転写力と、記憶力がなければならなかった。… 今よりずっと大脳皮質が働いていたと思えるのだ。

たとえば叙事詩。古代の叙事詩は、地球上のどの地域にもあるが、吟遊詩人や語り部などによって、つまり、口承によって伝えられたという。今は記述されて残されているだろうが、それらは、時間が経っても、一字一句誤りがなく伝えられたというのだ。

現代人には想像もつかない、脳の記憶容量と精度だったに違いない。きっと、吟遊詩人や語り部の頭の中には、物語のクリアーな映像が展開していたのだろう。


人間の脳がマックスに発達したのは、人間が、類人猿から人間になったときと、上に書いた時代とではなかったかと思うのである。




[進化について2] '11.9.6---(ウイルス8-2)

それでは[出来事]的進化とは … 誰もが期待する進化とは、どんなものだろうか?


だいいち、人間あるいは人類に、これから先、進化の余地があるのだろうか? 進化するとしたら、人間はどんな様態になるのだろか?


逆に、期待しない進化を考えてみてもいい。 オリンピック選手のように、優れた身体的能力などは必要ないだろう。人間は、自動車や鉄道、航空機などと、身体の外へ運動能力の代行を進めている。だから、身体の能力のアップは必要ない。← 少し極端に表現するとだ。

人間には、脳を活発に使うことが生きがいのようなところがある。人類が繁栄し続ける限り、たえず創造的なものを生み出していかなくてはならない。宿命だろう。つまり、「脳の進化」は人間に必要である。


人間は、SFのアニメや映画のような進化を求めているのかもしれない。たとえば、ガンダムの主人公、アムロ・レイである。作者は「ニュータイプ」という呼び名を使って超能力を表現していたが、 アムロがガンダムに乗って戦闘するとき、数秒先の未来を予知できた。テレパシーも使えた。

映画「Xメン」のウルバリンは金属の骨格を持っていて、手から金属の鋭い爪を出すことができた。ただ、ウルバリンは科学者の手によって誕生したみたいなので、人造人間ということになる。自然による進化ではない。だからここでは対象外のヒーローになる。Xメンで対象になるのはマグニトゥーだ。金属を思うように操作できるマグニトゥーは、生まれつきの超能力者みたいだ。

テレビ番組で、「ヒーローズ」という題名のドラマをやっていた。クレアは不死の体を持っていたし、ヒロ・ナカムラは、時空間移動や時間を止めることができた。ネイサンは空を飛ぶことができた。


上記のSFのように、誰もが超能力を持ちたい、と考えるだろう。また、そのように進化すればよいと、

ところが、超能力というのは、稀有(けう)だからよいのである。稀有だから価値がある。みんなが持ってしまったら、あまり、ありがたみがなくなってしまう。

人類全体の意思は、超能力の取得は望まないように思うのである。エゴの塊のような人間が超能力を持ってしまったら、きっと収拾がつかなくなってしまう。




[進化について1] '11.9.3---(ウイルス8-1

ガラパゴス諸島に、ダーウィンフィンチというスズメのようなブンチョウのような鳥が生息している。正確には、ダーウィンフィンチの他にガラパゴスフィンチ、ハシボソガラパゴスフィンチなどがいる。それらの小鳥の先祖は一種類だったというのである。ガラパゴス諸島には14種類のフィンチ類がいるというが、それらは一種類の小鳥から枝わかれしていったというのである。その変化を進化論では 適者生存 自然淘汰 適応放散 などと呼ぶ。

「進化」といっても、定義しだいで、何を進化と呼ぶかで、範囲はだいぶ広くなってしまう。上の例も進化と呼べるかもしれないが、しかし、[出来事]では、もう少しドラスティックな変化を「進化」と呼びたい。上の例は、ただ単に、生物が環境へ適応した例である、としたい。


それでは[出来事]的進化とは、あるいはすみし雑記帳的進化とは … ぼくも、あるいは、誰もが期待するだろう進化とはどんなものだろうか?

たとえば、類人猿が人間になるような、そのようなレベルの進化のことである。




[DNA] '10.1.29---(ウイルス7-2)

DNAとは、デオキシリボ核酸のことである。4種類の塩基で構成されている。A,T,G,C、アデニン、グアニン、シトシン、チミン。DNAは二重螺旋構造になっていて、そのなかに遺伝情報が書かれている。つまり、DNAは遺伝子である。

デオキシリボ核酸を細胞から取り出してpH(ペーハー)を測ってみると酸性を示す。「核酸」と言われるだけのことはある。上記では塩基で構成されていると書いたが、塩基というのはアルカリ性物質のことだ。矛盾している。

では核酸とは? 塩基と糖、リン酸からなるヌクレオチドがリン酸エステル結合で連なった生体高分子【Wikipedia】である。… さっぱり分からないが、DNAの外側の2本の紐(二重螺旋)の部分が、酸性を示すのだろう。


「デオキシリボ核酸」を英語で書くと、

Deoxyribonucleic acid (ディーオクシィリボ ヌークライス エイスィド)

Deoxyribo = 糖

nucleic = 核

acid = 酸 = (リン酸=P)

nucleic acid = 核酸

つまりデオキシリボ核酸は、糖とリン酸と塩基でつくられている。


外側の紐の部分が糖とリン酸で出来ていて、その間に挟まれているのが塩基である。外側の紐から無数の塩基が出ていて、もう片方の紐からも塩基が出ている。その両方がくっつき合っている。それを俯瞰すると、捻れたリボン様になるのだ。具体的には、AとT、CとGが決まったペアをつくって結合している。

AとT、CとGがくっつき合っているのだが、それらをくっつけているのは水素原子の電荷の力である。水素結合というらしいが、比較的弱いつながりなので、水素結合がはずれるとDNAの二重らせんがほどける。


インターネットでDNAを検索すると、Wikipediaをはじめ、多くのホームページが出て来て、DNAのイメージ図や化学構造式を目にすることができる。それは、見ていてあまりにも精緻すぎるのだ。

地球が誕生したのが46億年前、生命が誕生したのが40億年前~35億年前と言われているが、しかし、DNAのような生命を定義づける生体高分子が、原始のスープのなかで自然に、あるいは偶然に出来るだろうか? 想像するのが困難になる。

ぼくは思ったのだ。それだったら、宇宙が誕生したのが137億年前のビックバーンからだが、もう、その瞬間から、すでに生命を誕生させるアイデアはあったと考える方が自然ではなかろうかと、 あるいは、もっとそれ以前に、




[RNA] '10.1.22---(ウイルス7-1)

昨年からずっとウイルスについて書いているのだが、いまだに関心が薄れない。ウイルスに感染してしまったのかもしれない。


ウイルスを理解しようとすると、どーしてもDNA,RNAの理解が必要になってくる。たとえばHIV(エイズ)ウイルスは、レトロウイルスといってRNAを持っていたりする。… ウイルスの大きさの中に遺伝子が入るのか? と疑問がわいてくるが、ウイルス固有のRNA情報だけなので、入るのかもしれない。


君は、DNAとRNAの違いを知っているだろうか? ぼくは忘れてしまっていた。学校の生物で教わったはずなのだが、… DNAは二重螺旋構造、RNAは一重の螺旋構造、このくらいは知っている。

人間をはじめ多くの生物が細胞核の中にDNAを持っている。調べてみると、どうやら、DNAのいる同じ細胞核の中にRNAも存在していた。
 … 知らなかった。てっきり、HIVウイルスのようにRNAを持つ生命形態とDNAを持つ生命形態とが別々にあるのだと思っていたのだ。


細胞が細胞分裂するには、その前に、分裂前の細胞の中で遺伝子が複製されていなければならない。… 同じ2つの遺伝子をつくっておく。… 分裂を始める間際に、2対の遺伝子が中央に集まって整列するのである。それから細胞の真ん中がくびれ始める。細胞の両端から遺伝子を引っ張るような線が現れたりして、遺伝子は離れていく。

細胞分裂前の細胞の中で遺伝子が複製されるとき、当然、コピーのためにDNAの二重螺旋がほどける工程がある。そのほどける現象のことだが、調べてみると、細胞分裂とは別の目的でも、ほどけることがわかった。

以下は細胞分裂のとき以外でのことだ。
核の中にRNAがいて、ほどけた、つまり一重螺旋になったDNAの … DNAの紐を梯子(はしご)に例えるならば、縦木の片方が無くなり、足場=段の部分がむき出しになる。… その段は2分の1と短くなっているが( … たぶん)、… その一重螺旋になったDNAにRNAが重なるようにして情報を写し取っていく( … たぶん)。

DNA情報を持ったRNAの紐は、核の外、つまり細胞質へ出ていく。細胞質の中にはミトコンドリアやリボソームがいるのだが、RNAの紐はそのリボソームの中に入っていく。リボソームはタンパク質の製造工場である。リボゾームの中で、RNAにくっついて並んでいる塩基、A,G,C,U(T)の配列にしたがい、アミノ酸を選定し、そしてタンパク質をつくっていくのである。これがRNAのひとつの仕事だった。

RNAにはそのほか、いろいろな機能を持つものが存在する。いま書いたRNAは、mRNA=メッセンジャーRNAという。そのほかに、tRNA=トランスファーRNAとか、rRNA=リボソームRNAとかがいる。




[善悪の喫水域] '09.12.31---(ウイルス6-4)

[ウイルス6-1] では、映画「アンドロメダ」のことを書いたが、その中に出てくる秘密の研究施設は、実は、国家によって細菌兵器を開発するのが目的で建造されたものだった。主人公などの科学者はそれを知らされていなかったのだが、

生物兵器や化学兵器の研究施設が、防医大にもあるだろうと想像してしまったのは、「アンドロメダ」に触発されたからだ。もちろん、日本で生物兵器や化学兵器の研究施設があったとしても、それは防御が目的だろうが、

生物兵器や化学兵器の使用は、現実にあるから恐ろしい。日本では、カルト教団がテロに使ったのが記憶に新しい。海外では、イラクで、サダム・フセインが大統領の座にあったとき、自国のクルドの市民に対して化学兵器を使用したという情報がある。


話は変わるが、ぼくは、二十歳の頃、極貧の生活をしたことがあった。そこで、自分の血を売れないだろうかと、考えたことがあったのだ。つまり売血だ。しかし、調べてみると、すでに売血は1960年代に法的にできなくなり、ぼくが二十歳の頃は、とっくに、市民が善意でおこなう献血に代わっていた。

売血は、やはり、モラルを遠くへ追いやってしまうようである。輸血する人のことなど考えない。それよりも、代価を得るのを優先する。自分の血液がウイルスなどに汚染されていても関係ない。
「黄色い血」などという表現も出てくる。売血する者は、それを頻繁にするので、赤血球が血液中に少なくなってしまって、血液の色が黄色くなってしまうというのである。

献血は赤十字がやっているが、売血に関しては、その昔、血液銀行と称して民間の会社がやっていた。興味を引くのは、血液銀行の設立者に、731部隊にいた人の名前があるということである。売血が中止になった頃、その血液銀行はミドリ十字と社名を変更している。ミドリ十字といえば、血友病患者に対して、ウイルスを不活化しなかった非加熱製剤を使用し、エイズ感染者を生み出してしまった、あの薬害エイズ事件の会社である。


731部隊。日中戦争から太平洋戦争にかけて存在した、旧日本軍の生物・化学兵器の研究部隊とされている。活動していた場所は、満州国のハルピン。捕らえた中国の人たちをマルタと呼称して、人体実験や生体実験をしたと言われている。事実ならおぞましい非倫理的、非人道的な所業である。

ミドリ十字の前身の血液銀行に731部隊に所属していた人がいると書いたが、敗戦と同時に、東京裁判があったわけだ。しかし、731部隊にいた軍人は、裁かれることなく、ミドリ十字をはじめ、東京大学や京都大学の理化学系の教授などになっている。それは、人体実験などの事実がなかった、あるいは、その証拠が揃わなかったからなのか。それとも、戦勝国に戦犯免責を得る代わりに、研究データを渡した、つまり、司法取引をしたからなのか。客観的事実は、我々には、よく判らないところにある。

大学も教授も法には触れていないだろうが、京都大学に、昔、731部隊に所属していた人が教授として召致されたことがあるという。 731部隊は「石井部隊」とも言われているが、石井四郎という軍人は、京都帝国大学医学部を卒業している。… 細菌兵器などのことを考えていたら、つい、731部隊の話にまで行ってしまった。


さて、話を細菌学やウイルス学の最先端研究のことに切り替える。「生命倫理」などという言葉があるが、例えばクローン技術などは、倫理や人道のことを、絶えず意識しなくてはならない領域になるだろう。細菌学やウイルス学もおなじである。現在の大学のキャンパスにも、たまに、善悪の喫水域のようなものが現れて、新進気鋭の教授たちは、ときにそれを怖れ、抗い、また触発されたりしているのかもしれない。





[防医大2] '09.12.28---(ウイルス6-3

前回書いたように、ぼくも世話になった防医大だが、防医大が存在することによって、所沢市をはじめ、近隣地域の住民は多大な恩恵をこうむっている。

しかし、防医大の本来の使命は何だろうか? それを考えるとき、そのイメージは若干変わってくる。

軍医や従軍看護師を育てる目的があるだろう。しかし、そのほかに、細菌や毒ガスなどの攻撃に対して、国民や自衛隊員を守る、そんな目的もあるのではないだろうか。思うに、生物や化学物質を使った兵器に対して、その防御だとか解毒だとか、あらゆる研究が、密かになされているにちがいないのだ。

生物兵器や化学兵器は、近年、国家間での紛争もだが、テロによる使用が現実味を帯びてきている。

防医大のホームページを閲覧しても、そのようなセクションのことは記述されていない。つまり、一般市民の目からは秘匿されている。それを明らかにしてしまっては大変だ。例えば、生物兵器の研究のことをディスクローズすれば、市民は恐怖におののくに違いない。そして市民は防医大を当該地区から即刻退去することを要求するだろう。


防医大の研究棟には、出来事[ウイルス6-1]--(アンドロメダ) で書いたような、秘密基地的な施設が存在しているかもしれない。

「アンドロメダ」のところで、レベル1からレベル5まである実験室のことを書いたが、現実にも、細菌、ウイルスなどの病原体を取り扱うのに、その実験室に格付けがある。昔は「P」で表現していた。P1、P2、P3、P4と。P4は、最高度安全実験施設のことである。Pは、Protection level(防御レベル)のこと。最近は、バイオセーフティーレベル(Biosafety Level)、略して BSL と呼ばれる格付けが使われている。防医大の研究棟にも秘密施設があって、すべての階層の実験室がつくられていてもおかしくない。


貞子が出てくる「リング」は鈴木光司氏の作品だが、彼のシリーズ的な小説の中に「天然痘」の話が出てくる。天然痘は現在撲滅されたことになっている。しかし、世界で二つの施設に保管されていることが書かれていた。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)とロシア国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センター(VECTOR)である。

生物兵器は、治療法が確立していないものは適さないという法則がある。そういう意味で天然痘ウイルスは生物兵器になりうる。だから、案外、密かに、防医大あたりにも天然痘ウイルスが保存されているかも知れない。ジュネーヴ議定書は尊守するにしてもだ。

(空想をかなり暴走させてしまっている。)

嫌な話ではあるが、国家の危機管理となると、当然、上記のことなどが考えられてしまうのだ。そして、それら生物兵器は環境中に絶対漏れてはいけない。また、その情報も絶対漏れてはいけない。天然痘とまでは言わずとも、防医大にもその種の緊張感を要する隠し事はあるだろう、ということである。





[防医大1] '09.12.25---(ウイルス6-2)

ずいぶん昔のことだが、親知らずが痛くなってしまったことがあった。そこで、行きつけの歯科、以前書いたが、ハミルトン歯科へ行って診察してもらったのである。

すると、「うちでは治療できない」と言われてしまったのだ。炎症を起こしている親知らずは、下顎(したあご)の骨の中に埋もれてしまっていて、下顎の一部を削らなければ抜歯できない、というのである。

そこで、そのような手術ができる病院を紹介してもらうことになった。都内の歯科大学病院でも紹介してもらえるのかと思ったら、なんと、紹介されたのは所沢市にある防衛医科大学校だった。

… ちなみに所沢市の人は、防衛医科大学校を「防大」と呼んでいるようだが、ここではわかりやすいように「防医大」と書くことにする。…

「防医大に歯科などあったっけ?」と最初思ったが、考えてみると、自衛隊員が戦闘をする際に、歯痛をおこしていては、パフォーマンスが少なからず落ちてしまうに違いない。つまり、防医大にも当然のこととして、歯科があるわけである。

手術をするにも、自宅から遠くない大学病院なのでよかったのだが、とにかく、ぼくは、防医大の歯科に紹介状を持っていき、そこの先生と手術の打ち合わせをしたのだった。
手術が終わったら、その日のうちに帰ることができるし、車で来てもよいといわれた。


顎の骨を削ると聞いただけで貧血を起こしそうだが、手術は局部麻酔だけで執り行われた。

におい! 顎の骨を削られるとき、思いっきり嫌な臭いがした。骨の内部の臭いである。 …  だから思った。人間の腐乱死体など、どれほど強烈な臭いになってしまうのだろうかと。そんな想像を掻き立てられる、ひどい臭いだったのである。

手術は無事に終わった。

防医大にも薬局はあると思うのだが、ぼくの場合は、化膿止めや痛み止めの薬を、病院の外の薬局でもらいように指示された。そこまで行くのに50mくらいはあっただろうか?

手術は無事に終わってはいなかった!

車は防医大の駐車場に置き、徒歩で薬局へ向かったのだが、その途中で、早くも麻酔が切れて来てしまったのである。
強烈な痛みが襲ってきた。痛みにも重さのようなものがあって、痛みの重さに耐え切れず、立っていられない感じになってきてしまった。生涯でこのときだけである、救急車を呼びたくなったのは。

口の中からは意思に反してピンク色のよだれが垂れてくるし、しかし、がんばって、どーにか薬局へたどり着いたのだった。

有事の際に、負傷した自衛隊員のことを思えば、このくらいのことはと、結局、痛みをこらえて車で自宅まで帰って来てしまった。それから処方された薬を飲んだのである。


防医大のことを書こうと考えたら、上記のようなことを思い出してしまった。本題は次回としよう。




[アンドロメダ] '09.12.3---(ウイルス6-1)

もし、SF映画を撮ろうとするならば、このくらい綿密に調べあげるべきであると思った作品があった。… 観るものをその世界に引きずり込むには、観客の常識を上回り、独創的で、しかもリアリティーのある舞台にしなくてはならないと、

邦題で『アンドロメダ』というのだが、君はその映画を知っているだろうか? ずいぶん前にテレビで放映されたのを視たのだが、いまだに忘れられないのである。 原題は「The Andromeda Strain」。 調べてみると、小説は1969に書かれ、映画化は1971年にされた。ウッドストックや大阪万博の頃である。それをテレビで視られたのだから、放映権などの問題で、5年や10年は経ってからのことだろう。


アメリカのある片田舎に小型の人工衛星が落ちた。同時に村人が全員倒れて死んでしまった。血液は凝固して砂時計の砂のようになってしまった。
政府は極秘裏に医学者や科学者を各地から召集した。原因を調べるためである。
村人が全員死んだと書いたが、生き残った人間が二人いた。アル中みたいな老人と泣き叫んでうるさい赤ん坊である。

いわゆるネタバレになってしまうので、ぼくがこの映画で魅了された部分をほとんど書くことができない。ほんのワンシーンだけを紹介させてもらうことにする。


政府の管理する農業試験場がネバダの砂漠にあった。その中に平屋の事務所があるのだが、それはカムフラージュで、地下には、未知の病原体などを研究する施設がつくられていた。

その研究施設がすごい。岩盤をくりぬいた円筒形の建造物で、中央にエレベーターが配置されている。5階建てになっていて、下へくほど生物学的にクリーンになっている。地下1階部分をレベル1、地下5階部分がレベル5と呼ばれている。

地下5階のその下には、核爆弾の自爆装置が仕掛けられていた。万が一施設が汚染された場合、自爆装置が働くようになっている。起動してしまった自爆装置を解除するには鍵が必要で、その鍵を主人公の科学者が預かることになった。

人工衛星と生き残った二人の人間は、レベル5に移され、科学者によって原因を探るべく分析されることになる。

人間の体を完全には殺菌できないだろうが、科学者たちは、それぞれの階で、徹底的に検疫されてレベル5まで下りることになる。

映画を視た当時、グローブボックスは知っていたが、人間そのものが入ってしまうグローブボックスなど目にしたことはなかった。それに入って患者を診察したりした。


ダイ・ハードやターミネータのストーリー展開は見るものを飽きさせないが、同じような興奮をこの映画でもさせてくれたのだ。


密閉されたガラス張りの隔離室がある。その部屋の中央には、小型の人工衛星が置かれている。その部屋の壁には、複数の実験動物がガラス製のゲージに入って並べられている。サル、モルモット、マウス。

実験動物を選び、ゲージのままテーブルの上に置き、とりあえずふたを開けてみた。動物は死んでしまった。まだ、衛星のカプセルの中に未知の病原菌が生きていることが判った。

再び動物の入った新しいゲージを用意して、今度は死んだ動物のゲージと新しいゲージとをホースで繋いだ。ホースにはフィルターが装着されている。

その作業はすべて、マニュピュレーター(マジックハンド)を使って、外から作業する。

科学者たちの台詞である。

「まずは100オングストロームのフィルターからやってみよう」
「およそヴィールスのサイズですね!?」

生きていた。

「ビールスより大きいようだ」
「1ミクロンのフィルターを使おう」 

生きていた。

「かなり大きいようですね!ハエタタキでも持ってきましょうか」
「今度は2ミクロンだ」

「ああ。やられた」

「細胞くらいの大きさか!?」

病原体の大きさが判ると、やはり遠隔操作の顕微鏡を使い、人工衛星を直接見て病原菌を探す作業に入った。




[マスク3] '09.11.19---(ウイルス4-9

インターネットで 「マスク インフルエンザ」 この辺のキーワードで検索してみると、インフルエンザ用マスクの通販のホームページが数多く出てくる。

マスクの通販のホームページに出てくるコメントやイメージ図が面白い。イメージ図には、ウイルスとマスク繊維の空隙などが描かれている。

医療関係者などは、飛沫ウイルスの防御が大事だと言っているのに対して、マスクの通販では、多くのホームページが、イメージ図、コメントともに、ウイルスそのものの侵入を防ぐことが大事だと主張している。
インフルエンザウイルスは 0.1~0.3ミクロンだが、それを(弊社のマスクは)99%捕捉できると、たとえば説明している。


以下、あるホームページに書かれていたものだが、

インフルエンザの予防は、N95 のマスクでないとダメだという。今まで使われてきた不織布マスクのほとんどが効能がないと断言している。長い文で説明していたが、そのなかに「飛沫」というウイルスの生存形態は出てこない。

そのホームページで、新型でなくて、トリインフルエンザのことを説明していたのだが、以下、長い文の一部語句を取り出してみる。

『 人類を滅亡に追いやる危険因子
  悲惨な菌
  殺人兵器
  核戦争 核を超える危険
  致死率が70%以上
  戦後最大の脅威
  人類史上最悪と言える病原体
  殺人ウィルス
  マスク着用なしでの行動は自殺行為 』

こんな表現を使って、マスクとマスクの備蓄の必要性を訴えていた。


話は変わるが、昨日、深夜にテレビのニュースを見たのだが、短いニュースだったが、
販売されているマスクの中には、ウイルスを防ぐ数値を95%とか99%とか謳っているが、少なからずの製品で、数値が達成されていないものがあると報じていた。




[マスク2] '09.11.17---(ウイルス4-8

前回 N95 という性能の高いマスクのことを書いたが、いくら飛沫核などの小さい粒子を防ぐからといって、そのマスクをかけただけで、あとは普段の服装で外出したりするのは、かなり格好の悪いことになってしまう。ファッションでいえばトータルコーディネートがされていないのである。

N95 のマスクといえば、ずいぶん前に流行(はや)った SARS (サーズ、重症性呼吸器症候群[新型肺炎])を思い出す。コロナウイルスとか、スーパースプレッダーなどという言葉を加えて思い出すが、そのとき医療関係者がかけていたのが、たしか N95 のマスクである。それにゴーグル(あるいはフェースガード)もしていた。ウイルスが眼球などから体内に進入するのを防ぐためである。衣類などに付着するのも計算に入れなくてはならない。だから使い捨てにしたりする。つまり、トータルで感染予防しなければ、マスクだけかけていても意味がないのである。
N95 のマスクをして外出するのだったら、せめてゴーグルや、身体をすっぽり包める防御服などを着て出かけたい。そうでないと、高性能なマスクはアンバランスだし、格好悪いのである。

米国疾病対策センター(CDC)が、マスクの感染拡大予防の効果について、疑問を投げかけているのは有名な話だが、たしかに上記のことを考えれば、その通りなのである。マスクがよいとなると、一般人は、それだけに頼ってしまいそうである。


マスクの表面を無造作に手で触(さわ)れば、そこに付着しているウイルスを手に移してしまい、その手を舐めるようなことをすれば、マスクをかけた意味はなくなってしまうし、

インフルエンザ対策には、『飛沫ウイルスを防げる』と書いてある市販のマスクをかける程度が、日常では適当なのかもしれない。また、インフルエンザウイルスに感染した疑いのある者が、周囲に飛沫を飛散させない。この辺を目的としてマスクをかけるのがよいのかもしれない。総合すると、そういうことになりそうだ。




[マスク1] '09.11.13---(ウイルス4-7)

インフルエンザウイルスの感染を考るとき、その予防にマスクのことが頭に浮かんでくる。


まずは用語の解説からだ。ガーゼマスクに不織布マスク。 ガーゼマスクはわかるが、不織布が何だかわからない人もいるだろう。ぼくは最初、読み方さえわからなかった。「ふしきふ」と読んでしまった。そのままネットで検索したら、漢字も「不敷布」と誤変換してしまって、遠回りの検索をしてしまった。… 不織布は「ふしょくふ」と読む。そして、文字通り、繊維を織(お)らずに絡み合わせたシート状のものをいう。

もう一つ、用語の説明をしてしまう。「N95」と出てくるが、これは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格のひとつだ。ちなみに、N99というのもある。


マスクは、市販されているウイルス用のマスクは、本当にウイルスをカットすることができるのだろうか? 調べたくなってくるのである。

調べてみた。

一般的な不織布マスクの捕捉粒子の大きさは200分の1ミリ(5マイクロメートル=ミクロン)という。そして、インフルエンザウイルスの大きさは、1万分の1ミリである。 … どー考えてもウイルスは、マスク繊維の空隙をスイスイ通過してしまう。

ただし、ウイルスは、単独では存在しない。単独では浮遊もしないようである。感染者から体外へ出たウイルスは、鼻水や唾液に包まれている。いわゆる飛沫の中にいる。飛沫の大きさは200分の1ミリ以上だという。それだったらマスクで防ぐことができる。だからマスクのパッケージには「飛沫ウイルスを防ぐ」と表示してある。

再び、ただし、飛沫にも、ウイルスを包んでいる飛沫が乾いてしまった状態がある。これを飛沫核と呼ぶが、これだと、かなり小さくなってしまう。1万分の3ミリ。一般的なマスクでは防げないし、飛沫核はまだ感染力を保持している場合がある。

飛沫によって感染してしまうのを飛沫感染。飛沫核によって感染してしまうのを飛沫核感染と呼ぶ。飛沫核感染の方は、もう、粒子の大きさからして空気感染といってもいいらしい。

飛沫核を防ぐマスクもある。「N95」と表示されたマスクだ。1万分の3ミリ以上(0.3マイクロメートル)の粒子を捕捉できる。マスクの値段がいくらするかわからないが、… また、それを装着すると、息苦しいかもしれない。




[クイズ] '09.11.11---(ウイルス4-6)

さて、君に問題を出します。

マスクには、ガーゼマスクと不織布マスクがありますが、「不織布」と書いて、なんと読むでしょうか? また、どーいう物ですか?




[宇宙パトロール] '09.10.17---(ウイルス5)

戦艦エンタープライズは、単独で宇宙パトロールの任に就いていた。そして、未知の惑星の周回軌道に乗ろうとしていた。
エンタープライズの艦橋では、ジェームズ・カーク艦長が、傍らにいる副長のスポックに指示を出した。
「ミスター・スポック。この惑星に生命反応があるかどうか走査してくれ」
「了解しました。艦長」
間もなくして、スポックがカークに報告した。
「生命反応はありません。艦長」
「大気組成は地球とほぼ同じです」
「よしわかった、ミスター・スポック。上陸班を急いで編成してくれ。わたしも行く」


ぼくの好きな 宇宙パトロール(スター・トレック) では、上記のような感じでストーリーがよく始まる。しかし、ウイルスのことがだんだん解ってくると、生命反応が無いからといって、未知の惑星に安易に降り立つのは、ひどく危険に思えてくるのである。

生命反応を走査したエンタープライズの計器は、おそらく、生物の出す熱や生物の代謝から発生するガス等を捉えるものだろう。
もしかすると、この未知の惑星にはかつて生物が繁栄していて、その生物に寄生してウイルスもいて、現在、生物から飛び出して、何万年ものあいだ岩などにくっついてじっとしているかも知れないのだ。
だから、今のぼくとしては、せめてカーク艦長には、有機体、とりわけ微小有機体の走査もスポックに命令して欲しかったのだ。





[消毒] '09.10.15---(ウイルス4-5)

[ウイルス4] は、インフルエンザウイルスについて書いているのだが、4-3,4-4ではノロウイルスの方へ関心がいってしまった。再びインフルエンザに話を戻す。

今回はインフルエンザウイルスの消毒についてだ。これを説明するには、 Wikipedia(ウィキペディア)「インフルエンザウイルス」の記述の一部をコピーさせてもらうのが一番いい。

『インフルエンザウイルスは、エンベロープを持つウイルスであり、石けんや消毒用アルコールなどで、容易にエンベロープが破壊されて失活する。ウイルス感染は、空気中のエアロゾルだけでなく手や衣類についた飛沫からも起きることがあるため、手洗いが感染予防に有効である。特に石けんや消毒剤を用いると効果が大きい。
熱に対する抵抗性も病原体としては比較的低く、煮沸処理(?100℃)や一般的な消毒の加熱条件(60℃30分処理など)、一般的な食品の加熱調理の条件(75℃?)などで失活させることが可能である。』Wikipedia「インフルエンザウイルス」

エンベロープとあるが、これは外套(envelope)の意味で、ウイルスはタンパク質の殻をもっているのだが、その殻の外を覆っている脂質?の膜がエンベローブである。ウイルスが宿主細胞から出てくるときに、そういうコーティングをして出てくるらしい。
エンベローブのないウイルスもいるが、面白いのは、このエンベローブがあった方が、消毒などに弱い。上記の Wikipedia の通りだ。ノロウイルスにはそれが無いので強い。だから次亜塩素酸ソーダなどの消毒が必要になってくる。

加熱処理条件のことも書いてあるが、ノロウイルスが85℃以上で1分以上必要であるのに対して、インフルエンザウイルスは60℃30分とか、低温で失活する。




[血液型] '09.10.13---(ウイルス4-4)

このホームページ「今週の出来事」は、ネットで公開されているわけである。にもかかわらず、この[ウイルス] のシリーズでは、見てくれている人のことを無視して、専門の深みにはまっていってしまっている。 … しかし、まだつづく。

罪滅ぼしに、お役立ち情報だ!…?

ひきつづき、ウイルス性の下痢症をひき起こすノロウイルスのことだが、Wikipedia で「ノロウイルス」を閲覧していると、面白い記述を発見したので報告しておく。

人間の血液型によって、ノロウイルスの感染に差があるというのである。O型は感染しやすく、B型は感染しにくいという。B型の人には福音だ。ちなみにぼくは、犠牲者になりやすいO型である。

何故かについては、『血液型抗原であるH(O),A,Leb型抗原に吸着されやすい事から、』と書いてあった。この記述の理解については。後日に譲るとする。




[ノロウイルス] '09.10.11---(ウイルス4-3)

感染症に詳しい女の子は、「インフルエンザウイルスは弱いものです」と教えてくれたのだが、それは、ノロウイルスと比較してのことのようだった。ノロウイルスは非常に強いと彼女はいった。


以下は専門家の彼女に聞いたわけでなく、ネットで調べたものだが、少しメモ代わりに書いておく。

ノロウイルス。10万分の3~3.8ミリの大きさだ。ウイルスの中では小さい。小型球形ウイルスと呼ばれている。
そしてノロウイルスが惹き起こす疾病は、非細菌性急性胃腸炎だ。よく生牡蠣(なまがき)を食してそれに罹ることがある。また、院内感染などを起こしやすい。非細菌性急性胃腸炎とは、簡単にいえば食中毒のことだ。

これまでは、食中毒の原因といえば細菌(*1)によるもだった。サルモネラ菌、病原大腸菌、黄色ぶどう球菌など。しかし近年人々は、非細菌であるウイルス性の食中毒にも注意を払わねばならなくなった。
近年といえば、こちらは細菌類だが、腸管出血性大腸菌O-157の出現も近年だったが、


『ノロウイルスは非常に強い』についてだが、厚労省のノロウイルスに関するQ&Aにはこんなことが書いてあった。
『ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。』と、

インフルエンザウイルスは、ヒトから外へ出てしまうと、比較的早く感染力を失い、不活化してしまうが、上の記述を読むと、ノロウイルスの方は浮遊し漂う粉塵の中でも感染性を維持し続けることになる。

厚労省のQ&Aや Wikipedia を読んでみると、なかなか厄介なウイルスであることがわかる。

実験室での培養がし難い。だから、研究が進まない。ノロウイルスのワクチンなども無い。また、食中毒事件が発生しても、どの食品が汚染されていたか、究明が困難な場合が多い。それに、エタノールや逆性石鹸(*2)などの一般的な消毒が効かない。 85℃以上での加熱を1分以上すると効く。次亜塩素酸ナトリウ(*3)が効く。


(*1)ところで、ノロウイルスは10万分の3~3.8ミリだが、細菌はどのくらいの大きさなのだろうか? ウイルスと違い、単細胞ながら細胞を持っている。鞭毛なども付いていたりする。つまり、丸くはない形状をしている。調べてみると、サルモネラ菌は 0.5×2㎛ の大きさだという。㎛ はマイクロメートル。1㎛ は千分の1ミリ。㎛ をミリにして大きさを理解したい。0.5×2㎛ の計算で、0.5x2 を =1 と計算してはいけないから 0.5x2 と表記しているのだと思うが、… そこはよく理解できないのだが、0.5x2=1 と計算すれば、… サルモネラ菌は千分の1ミリ程度といことになる。

(*2) 石鹸で、たとえば手を洗うのは、効果が無いわけではない。石鹸ではウイルスを破壊できないが、よく洗えば、手の油分などと一緒にウイルスを剥がして流せるという。そういう意味では、効果があるのだ。
逆性石鹸だが、マキロンがそれにあたるという。上記で手洗いについて書いたが、薬用石鹸などと、逆性石鹸は、別物のようだ。

(*3) 次亜塩素酸ナトリウム(ソーダ)NaClO 。強アルカリ性。酸化作用、漂白作用、殺菌作用がある。似たような化学式にCa(ClO)2がある。次亜塩素酸カルシウム、さらし粉のことだ。プールの殺菌などに使う。どちらも同じような臭いがすると思う。





[インフルエンザウイルス2] '09.10.8---(ウイルス4-2)

インフルエンザウイルス。1万分の1ミリの大きさだという。[ウイルス1] で一般的なウイルスの大きさは10万分の1ミリから1万分の1ミリだと書いておいたが、そうすると、インフルエンザウイルスはウイルスとしては大きい方の部類に入るのかも知れない。


先日、感染症関係の専門家と少し話をする機会があった。

インフルエンザウイルスについて、どーもわからないことがあったので、聞いてみることにした。ネットで調べてもはっきりしないので、

インフルエンザウイルスが、鼻水などの飛沫とともにヒトの外へ出て、それがたとえば床に落ちた場合。その飛沫が乾いてから、ウイルスの寿命はどれくらいなのでしょうか? というものだ。

専門家の答えは、寿命については、『はっきりしたことは言えない』だった。ウイルスの寿命を測る環境のパラメーターによって、おそらく、かなり変化してしまう代物なのだろう。(もちろん、ウイルスは非生物だから、寿命という表現は比喩である。)
ネットで調べてみると、1時間から8時間程度。などと書いてあったが、誰が書いたかわからないので、信用するには権威が無さすぎるのだ。


専門家というのは女の子なのだが、その娘(こ)が話の中で力説していたのは、『インフルエンザウイルスは、体外へ出るとかなり弱いものです』だった。

たとえば、ぼくがインフルエンザに感染しているのを知らないで、夜、大人に開放されている中学校の体育館へ行ってバレーボールをしてしまったとする。そしてぼくは、咳やくしゃみをしながら、ウイルスを体育館の至るところに撒き散らしてきてしまった。
この場合、もちろん、一緒にバレーボールの練習した仲間は感染する危険がひどく高い。

しかし、翌日中学生が体育館を使っう場合、ぼくの撒き散らしたウイルスは弱いので、すでに感染能力を失っている。あるいは、不活性化してしまっているのである。だから、中学生に感染させることはないというのだ。(← かなり女の子の個人的見解に近そうである。)

どーやら、インフルエンザの感染は、発病した人のウイルス入りの飛沫を、直接粘膜に取り込んでしまった場合などが主のようである。つまり、人ごみなどがデンジャラスゾーンなのである。




[インフルエンザウイルス1] '09.10.6---(ウイルス4-1)

インフルエンザといえば、温度が低く乾燥した季節に流行するものと思っていたが、今年は、夏場でも患者が出ている。新型ということだが、これからは、一年中インフルエンザの感染に怯えなくてはならないのだろうか? 憂鬱になる。


この新型インフルエンザ、4月頃からだったろうか?ニュースになってきたのは、 WHOの事務局長マーガレット・アン氏がニュースに頻繁に登場してきたのを思い出す。

当時は、豚インフルエンザ(A型H1N1 亜型)と呼ばれていた。メキシコで発生した。成田空港では、発生国から入国してきた航空便に機内検疫を行った。
現在は「新型インフルエンザ」あるいは「A型インフルエンザ」と呼ばれている。いま書いたが、豚インフルエンザウイルス由来で、弱毒性だという。


面白い( = 興味深い)のは、1919年、世界的大流行になって5千万人もの命を奪ったスペイン風邪だが、その型が、A型H1N1 亜型なのである。メキシコで発生した新型インフルエンザと同じなのだ。ただし、スペイン風邪は鳥由来、新型は豚由来だ。 年寄りが罹患しにくいという噂は、ここから来ているのだろう(*)。


さて、一番初めに書いた憂鬱のこと。『これからは、一年中インフルエンザの感染に怯えなくてはならないのだろうか?』についてだが、調べてみると、どーやら、季節はずれに はやる のは1回のみらしい。

よかった。

といっても、今年の冬は全盛になるかも知れないが、

季節はずれに はやる のは1回のみらしい。とは、どーいうことか?

人類は過去に3回の新型インフルエンザの大流行を経験している。スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪だ。その3回のうちどれもが、季節を無視して はやった。日本では、3回とも、春から夏にかけて流行したらしい。つまり、新型に対しては、人類に免疫なりの抵抗がないためである。そのことに比べたら、気温や湿度の条件がインフルエンザの流行に最重要ではないということである。熱帯地方では、一年中 はやっているし、

感染拡大はパンデミック(世界的大流行)と呼ばれるピークまでいくが、その後は結局、冬に はやる「季節性インフルエンザ」に落ち着くという。


問題なのは、近い将来出現するだろう、鳥インフルエンザウイルス由来の強毒性のやつである。A型H5N1 亜型。

(*) 1919年というと、4年間つづいた第一次世界大戦が前年に終わっている。大戦終了の翌年である。大正8年。90年前だ。だから、スペイン風邪に成人してから罹患したが、死ぬことなく生き延びた、などという人がいても、免疫を獲得している、していない、とかに関係なく、すでに現在はご存命ではないだろう。





[インシュリン2] '09.9.30---(ウイルス3-2)

インシュリンを人工的につくるには、大腸菌を使う。大腸菌にインシュリンをつくってもらうのだ。

まず、人間の細胞から、ヒト・インシュリンをつくる遺伝子を取り出す。ここからが肝心なのだが、今回主役のウイルスが登場する。ウイルスや、たしかプラスミドと言ったと思ったが、これらウイルス族に、取り出したヒト・インシュリンの設計図を貼り付ける。

あとは、大腸菌にそのウイルスが入ってくれればよい。侵入はウイルスの特技だから心配ない。そして、ウイルスは大腸菌の遺伝情報を書き換えてしまうので、大腸菌はインシュリンをつくるようになる。

言い方を変えれば、大腸菌はウイルスに感染したのである。ヒト・インシュリンをつくる病気になってしまったのだ。


上記で、人間の細胞からヒト・インシュリンをつくる遺伝子を取り出す。と書いたが、遺伝子をカットするには、酵素を使う。制限酵素だ。貼り付けるにも酵素を使う。リガーゼという。




[インシュリン1] '09.9.29---(ウイルス3-1)

君は、膵臓(すいぞう)が体のどこにあるか、知っているだろうか? 知らないなら、… 知らないということは、ある意味、健康な証拠かもしれない。

糖尿病を患っている人にとっては、状況が一変する。医師からのインフォームド・コンセントなどにより、否応なしに、膵臓の位置も含めて、知識が入って来てしまうだろう。

膵臓は、十二指腸に接しているくらいだから、胃の下の方のうしろにある。十二指腸に接している部分と反対側の、細くなっているほうは脾臓(ひぞう)に接近している。

膵臓は、インシュリンを作っている。

人は、糖分を口から摂取して、それを消化器官でブドウ糖に分解してエネルギーにしている。
余ったブドウ糖は、脂肪やグリコーゲンとして体中に蓄える。もちろんグリコーゲンは肝臓にだ。

インシュリンは、ブドウ糖を脂肪やグリコーゲンに合成するホルモンである。

膵臓の機能が弱ってインシュリンがつくれなくなると、ブドウ糖を脂肪やグリコーゲンに合成できなくなる。余剰になってしまったブドウ糖はオシッコとして体外へ排出される。

糖尿病の人は、インシュリンが足らないので、補充しなくてはならない。今も使用されているのだろうか、わからないが、昔はブタのインシュリンを使っていたそうである。いかにも、アレルギーとか出そうだ。とにかく、動物のホルモンを注射するなど、気持ちのいいものではない。

最近は、インシュリンを人工的に作れるという。大腸菌を使うのだ。


---- 本題は次回で、




[ウイルスの定義] '09.9.24---(ウイルス2)

ウイルス。 非常に興味深い存在だ。ウイルスは、遺伝情報物質であるDNA(あるいはRNA)と、それを保護するタンパク質のカプセルからできている。(カプセルからはスパイク状のものが出ていたりするが、)とにかく、カプセルに自らの設計図を入れただけの単純な構造なのだ。

ウイルスは自ら分裂できないので、他の生物の細胞に寄生して増殖する。他の生物の代謝を使って、自身の増殖に必要な物質を、自分の遺伝情報にしたがい、入り込んだ細胞に作ってもらう。

ウイルスは細胞を持たないので、生物の定義からすると、非生物になってしまう。「非細胞性生物」などという呼び名もあるが、

むかし読んだウイルスの本には、「生物か、無生物か、いまだに結論のでない重大なテーマだ」と書いてあったが、
ここへきて、Wikipedia などを見てみても、やはり、「生命の最小単位である細胞をもたないので、生物学上は非生物とされている」と書いてあった。つまり、ウイルスが、いったい何者なのかの結論は、いまだ見いだされていないようなのである。




[ウイルスの大きさ] '09.9.20---(ウイルス1)

最近、老眼が入ってきてしまったので見ることはできなくなったが、ぼくはウイルスに関心を持っている。

ウイルスというと、コンピュータ関係にもあるが、ここで取り上げるのは微生物の方だ。

ウイルス。非常に小さい。 数十nm から数百nm である。 nm はナノメートルと読む。


その前に、… nm とかの単位を、君は理解しているだろうか?


nm は 10^-9メートルだ。10億分の1メートル。視覚的に理解できるようにゼロをつけてちゃんと書けば、1/1,000,000,000m だ。よりリアルにするために、日常で一番小さい単位、ミリ(mm)で表せば、1/1,000,000mm つまり、百万分の1ミリメートルということになる。← たぶん、自信ない。

つまりウイルスは、数十nm から数百nm ということだから、1/100,000,000m ~ 1/10,000,000m ということになる。再びミリに直せば 1/100,000mm ~ 1/10,000mm となる10万分の1ミリから1万分の1ミリだ。← たぶん。


ところで、単位についての余談だが、よくわからなかったことがあった。

自分でも視覚的に理解したかったので、メートル(m) からミリ (mm) へ直してみたのだが、最初、ナノメートル が 10^-9メートルということで、1/1,000,000,000m このように書いた。それをmmに直すのに、0を3つ増やせばいいと考えたのである。10^-12 つまり、1/1,000,000,000,000mm と。これだと、1兆分の1ミリメートルということになる。ところが、この計算は間違いだったようなのである。

数学のことはよくわからないが、マイナス乗の場合は? 0を3つ取るべきだったようである。いまだに感覚的によくわからないが、1/1,000,000,000mをミリ(mm) に直すと、1/1,000,000mmになるようなのである。

ぼくのわからなかったこと、わかってくれただろうか?


せっかくだから、余談を続けよう。 ㎛ という単位もある。マイクロメートル(micrometer)。1マイクロメートルは10^-6m = 1/1,000,000m。よって、1/10,000mm、1000nmとなる。


これまで馴染みのあった単位、ミクロン µ だが、最近は使われなくなったらしい。国際単位から外れているという。いまはマイクロメートル ㎛ に替わっている。← ぼくの日常には、メートルと尺があれば十分なのだが、


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(最下)