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美ケ原 王ケ頭(2034m) 王ケ鼻(2008m)

長野県 2015.03.14
    〜15
ホテル車送迎 王ケ頭 三等三角点
王ケ頭ホテル〜王ケ鼻 往復1時間弱

3月半ば、標高2000mの高原はまだ冬のつづき。
ネットで親しくしてもらっているS女史と現地で合流。歩くところがないということで妻も同行。

美ケ原には何回も訪れているが、いずれも登山・ハイキングが目的。今回は観光に比重のかかった美ケ原。
レンゲツツジの初夏、牛が放牧された牧歌的風景、秋の黄葉とさまざまな顔を見てきたが、今回は一味違うマイナス気温の冬世界。美ケ原では雪の一番多い時期だという。

ホテルの送迎マイクロバスは、山辺マイナリーからの乗車。バスは途中からチェーンを装着、エンジンをうならせて高低差1200mを上って行く。雪の斜面に鹿の姿を何回か見る。ここでも鹿の食害に困っているらしい。ときにはバス目がけて突進し傷をつけられることもあるらしい。次第に雪が深くなってくる。最後は幅すれすれ、バスの高さを超える雪の壁を巧みな運転ですり抜けて、山頂の一軒宿『王ケ頭ホテル』玄関前へ。昨日までは途中から雪上車に乗り換えていたとのこと。
ホテルのすぐ裏は、美ケ原最高点2034mだ。無雪期しか知らない目には、記憶に焼き付いている春夏の光景とは似ても似つかぬ新鮮さがある。

『ホテル』と呼ばれるほどの佇まいと品質を保持し、真冬でも営業しているホテルとしては、日本で最も標高が高いかもしれない。接遇、施設、温泉並みの大浴場など雰囲気設備とも上等。部屋もゆったりしていて、登山者の宿泊施設とは似てのにつかぬ、立派な観光客用のホテルだ。部屋からは、大きな窓越しに、遠く南アルプス、八ケ連峰、奥秩父連山、浅間山などが望める。

ホテル到着時、頭上を覆う灰色の雲に落胆するも、今回訪問の期待は次の4つ。

    @   北アルプスに陽が沈む夕景
    A   夜空の星座
   B   モルゲンロート
   C   山岳大パノラマ

ホテルの雪上車(南極越冬で使用したものと同じとのこと)で美しの塔まで周遊。低い天井、乗り心地は・・・・?
風呂は温泉風のゆったりとした木製の大きな浴槽。壁いっぱいに開かれたガラス越しに外の景観が見通せる。晴れていたらさぞやと想像される。

日没刻限が近づくにつれ、青空がどんどん広がりはじめた。やがて快晴に・・・おお、ラッキー。ホテル裏の高みに立って落ちてゆく夕日を瞬きも惜しむように見つめる。太陽が北アルプスの稜線に隠れると、微妙に色を変えながら西の空を真っ赤に染めて行く。

ゆったりとした食堂での夕食、品数が多く、懐石風に次々と運ばれてくる。ほろ酔い加減で夜は星座観察。とりわけ反射望遠鏡による木星観察は初体験。幸運にも木星衛生ガリレオが、縦直列に4つ並んだ貴重な姿も見ることができた。

翌朝は、肌を刺す寒さと強めの寒風に雪煙が舞う中でご来光を待つ。浅間山と八ケ岳連峰の間あたりから昇る火の玉のような瞬間を目に焼き付けた。富士山も意外なほど大きな姿を見せている。美ケ原は山国信州でもその中央に位置しているため、日本百名山の半数近くの47座が確認できるという。

朝食のあと、一人雪を踏んで1qほど西方にあるピーク王ケ鼻を往復。スノーシューなどの足跡を拾っていくと、坪足でもそれほど深く沈むことはない。山岳展望に見入ったり、雪の風紋の美しさや、動物の足跡を カメラに収めたりしながら、ほぼ30分で王ケ鼻のピークへ着く。眼下には松本の盆地、そして圧巻は北アルプス連峰、それはまさに銀の屏風を連ねたというのがぴったり。王ケ頭の展望をしのぐものがあった。笠ケ岳から穂高、槍、常念〜鹿島槍、五竜〜白馬三山、天との境を画して連なっていた。乗鞍、御嶽、中央アルプス・・・・一座一座指呼、しばし大パノラマを楽しんだあとホテルへ戻った。

ネットで知り合いとなったSさんとの初対面も果たせた満足の2日間だった。

【美ケ原高原】
王ケ頭(2034m)牛伏山(1990m)鹿伏山(1977m)焼 山(1907m) 武石峰(1973m) 
長野県 2011.06.29 単独 マイカー 地図 山辺(長野)
    三才山(長野)
王ケ頭 三等三角点
鹿伏山 三等三角点
武石峰 一等三角点
コース 美ケ原自然保護センター駐車場(6.20)−−−王ケ頭(6.45)−−−牛伏山(7.20)−−−鹿伏山(7.40)−−−王ケ頭(8.25-8.30)−−−自然保護センター駐車場(8.45)

武石峰への道標(8.50)−−−焼山(9.05)−−−武石峰への道標−−−武石峰(9.35-9.40)−−−武石峰への道標地点へ戻る(10.05)
満開のレンゲツヅシ

満開のレンゲツツジを楽しむ

10年ぶりの美ケ原高原。梅雨の晴れ間、上空には青空が広がっている。
松本方面から美鈴湖を経由、王ケ頭下の自然保護センター駐車場へ向かう。6時を過ぎたばかり、すでに夜が明けて早朝とは言えないほどに日は昇っている。車や人がやたらと多い。大半が三脚・カメラをかかえたアマチュアカメラマンたちだ。お目当ては真っ盛りのレンゲツヅシ、朝の陽ざしを受けて緋の絨緞さながらに埋尽くしている。

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のどかな牧場風景 美ケ原のシンボル美くの塔


車を止め、レンズをレンゲツツジに向けて数コマシャッターを切ってから駐車場へ到着。

さっそく遊歩道をたどって王ケ頭まで登る。ここもカメラマンだらけ。しかし北アルプスには雲が絡み、本来のアルプス展望は得られない。カメラマンたちはがっかりだろう。

美ケ原というのはいわゆる高原台地全体を指していて、実はこの台地の辺縁にはいくつかのピークがある。茶臼山、物見石山、牛伏山、鹿伏山、王ケ頭、それに少し離れて焼山、武石峰など、2000メートル前後の峰々だ。その中に未踏が二つ、『鹿伏山』と『焼山』、この機会にできたら登りたいと思って今日は出かけてきた。

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牛伏山山頂 鹿伏山山頂

王ケ頭から牛が草を食むのどかな牧場光景を見ながら山本小屋へと向かう。牛の鳴き声も詩情をかきたてる。八ケ岳連峰に雲がまとわりついているのが惜しいものの、緑の草原台地、どこまでも大きな空、2000メートルの高原を吹き渡る爽やかな風、身も心も洗われる心地がする。

山本小屋からまずは丘のように盛り上がった牛伏山へ。道標から牧柵に沿って遊歩道をわずか登っていけばすぐに標高1990メートルの山頂だ。
もう一つ先の丘状のピークが鹿伏山。鹿伏山は立ち入り禁止の牧場の中のピーク。詳しくは書けないが20分余で三等三角点のある鹿伏山に到着。ここからは“一等三角点の百名山”にも名を連ねる武石峰の眺めがいい。
ふたたび王ケ頭へ戻り、高原ホテル裏の三角点を確認したりしてから自然保護センターの駐車場へ降りる。

車を徐行させながらレンゲツヅシを観賞。武石峰への道標のある付近へ駐車する(=松本方面から上がってくると、武石峰山頂直下に武石峰への道標がある。そこからさらに700メートルほど進むと左手に『武石峰を経て思い出の丘1.8キロ』の道標あるところ)

ここから焼山ピークを往復する。この焼山も全体が牧柵で囲まれて無断立ち入りは禁止されている。歩いた様子を書くのはためられわるので省略。

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王ケ頭 焼山から武石峰をのぞむ

丘のようななだらかな山容は、どこが最高地点か判別しにくい。三角点があるわけでもないし、山名表示があるわけでもない。少し傾いた大きなダケカンバが1本、そのすく先にレンゲツツジに覆われた武石峰という構図は、シンプルでなかなかいい。

車道の道標まで戻り、遊歩道を使って武石峰へ。車で山頂直下の歩道入口まで行く方法もあるが、それは1キロにも満たない距離だ。
観光の人影もかなり多い。レンゲツツジの咲く遊歩道を一等三角点の山頂へ。360度開けた山頂からは、本来なら夢見るような眺望を満喫できるのだが、梅雨どき特有の湿った大気は遠望をさえぎったまま、10年ぶりの三角点に触れ、駐車地点へ引き返した。
新しいピーク鹿伏山と焼山へ登れたことに満足して3時間半のハイキングを終わった。

2001.06.05美ケ原高原はこちら・・・王ケ頭(2034m)茶臼山(2006m)牛伏山(2000m)物見石山(1985m)
 
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