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上田市眞田 達磨堂(約1100m)

 
長野 2015.04.30 単独行  三等三角点・・・見つからず
コース 眞田氏本城跡(5.30)---山道入口(5.50)---達磨山・達磨堂分岐(6.00)---達磨堂(6.45-6.20)---尾根上(6.55)---小ピーク休憩(7.00-7.05)---明確な二つ目のピーク(7.30)---往路休憩の小ピーク(7.55)---林道(8.15)---長谷寺(8.35-8.40)---眞田氏本城跡(9.15)

達磨山・達磨堂へ登るのは初めてだと思って出かけた。ところが高台にある登山口、真田氏本城跡に立った時、かすかに記憶に響くものを感じた。いわゆる既視感(デジャブ)というやつだ。帰宅して調べて見ると、その山は2006年3月、すでに登頂済みだった。今回はピークにいたることができなかったが、気持の上では新しい山へ登るのと同じ感覚だった。    2006年3月 達磨山はこちら



好天に誘われての軽い春山散策・・・のつもりが、意外にも敵は手強く、大いに苦戦する羽目に。
登山口となる上田市眞田の「眞田氏本城跡」へ。眞田氏とは言わずと知れた、来年の大河ドラマ『眞田幸村』のこと。自宅から菅平高原を越えて約45分。

林道入口の灯篭 分岐道標 達磨堂
     
 岩の多い尾根  このピークで引き返す 眞田本城跡

眞田氏本城は、上田城築城前の城の跡とのこと。ここに車を残して出発。
駐車場を出て左へ。道は二分、大きな灯篭と道標がある。ヤマブキが咲いている。のんきな春気分・・・は少しの間だけ。古びた道標の「達磨堂」というかすれた文字を確認して右の林道へ入る。途中数個の赤テープがかたまってつけられている。その先に薄い踏跡。たどっと見ると水道施設のようだ。戻ってさらに林道を進む。20分ほどで林道が終わって山道に変わる。10分ほどでまた道標、右達磨堂20分、左達磨山を指している。達磨山の方は時間が消えかかって読めない。達磨堂コースは達磨山へとつながっているだろうと勝手に判断。右手の達磨堂をめざす。

10数分で、巨岩根元にいくつかの岩窟が並んでいる。いちばんしっかりした岩窟の中には石仏などが見える。これが達磨堂らしい。ここまでは何の問題もなかった・・・・が、これからが予想外の展開。

さっきの分岐まで下って達磨山を目指す方法もあったが、このまま斜面を登れば達磨山へのルートとなる尾根に上がれると根拠のない判断。それが大間違いの元。かなりの急斜面だが、獣道らしい様子もうかがえる。登山道がなくても普通の里山、何とかなるだろう。・・・いつもの楽観的観測で急斜面直登に決める。

ところがこの斜面、一筋縄ではいかない。ザイルが一本あればと思うが、無いものはどうしようもない。戻る気にはなれずに、危ない急斜面を、足場を確認しまばらに生える灌木を頼りにして一歩、また一歩と上を目指す。岩とザレの急斜面、落ちたらただではすまない。足元が不安定、一歩一歩確認しなくてはならない。崩れたら一大事だ。慎重に足場を探して、右へ左へ・・・行きどまって3、4歩戻り別の足場を探す。達磨堂断崖の右手斜面を這い上っているのだ。ザイルが欲しいと、また無いものねだり。すぐ上に尾根がありそうに見えるが、10歩登るにも一苦労。掴んだ岩がスポッとはずれてヒヤリッ・・・石はすごい勢いで下へ転がっていった。今度は踏んだ石から足が離れた瞬間、落下して音響とともに転がり落ちて行った。

ようやく頼りになりそうな灌木が多くなってきて、何とか体の支えが効く。目に染みる汗を拭うこともできなかった、緊張の登りが終わって尾根上に出ることができた。緊張の連続まさにヤレヤレだった。ここを登る人まずいないだろう。

登りついた尾根筋には、大小の露岩がお多い。この尾根は途中で目にした分岐標識の「達磨山」と書かれていたそのルートの延長道と勝手に確信していた。
尾根に上がって最初の露岩小ピークで休憩をとる。体より気持ちの方が疲れた感じだ。

それほど時間を要することなく、達磨山三角点へ到着できると踏んでいた。尾根には頻繁に赤テープが付けられている。危険を脱したルンルン気分で登って行く。いちばん遠くに見えるピーク、そこは濃い緑色、多分赤松の木だろう。目ざすピークにちがいない。

三角点を見逃さないように注意しながら、明瞭なピークを二つ越え、松の緑濃いピークに達した。ところが山頂表示も三角点もない。この尾根の先には目立つピークは見えない。これはいったいどういうこと?

これ以上進むことは諦めて下山することにした。
危険な急登を這い登った尾根地点まで戻る。もちろんこの急斜面を降りる勇気はない。多すぎるほどに目につくテープ頼りに下っていく。踏跡を追っていると、ある地点で急にテープが見えなくなっていることに気づく。この尾根を下れば、達磨堂・達磨山分岐表示のあったところへ降りられると思ったのに、何かがちがう。テープを見落としたのだろうか。

あとは感頼り。太陽の位置を確認すると、向っているのは頭の中に描いてる方向とはちがう。しょうがない、このまま下るしかない。どこかへ行き着くだろう。すると突然林道へ降り立った。今朝の道ではない。ヒトリシズカやtニリンソウの花を見たりしながら、20分ほど林道を下って行くと獣よけゲートとなり、その先が長谷寺だった。地図を見ると長谷寺が載っている。現在地が分かってやれやれ一安心。駐車した本城跡まで1時間ほどでだりつけそうだ。

春の花が咲き乱れる長谷寺境内を出て、あとは舗装道のテクテク歩き。
目的の三角点ピークには達し得なかったが、久々に「気持を集中した山登り」という充実感があった。想定外のこうした苦労をするのはたいてい小さな山と決まっている。たっぷりと汗をかかされた3時間50分だった。



歳も考えずに無謀、危険な行動だと非難されそうだが、これまでの体験でその限界は承知しているつもり。確かにリスクはあるが、イチかバチかではないことをお断りしておく。怖い思いはありますが、ぎりぎりながら安全性は保持しての行動です。


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