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冠着山(1252m) 別名姨捨山(おばすて)

長野

 2016.03.16

М氏同行   三等三角点
コース さらしな神社(8.00)---第一展望所(9.30―10.00)---第二展望所・鉄塔(10.0-10.20)---冠着山(12.30-13.00)---林道終点---(林道歩き)---荒砥城跡駐車場(14.45)

同行は山友Mさん。踏跡もないまっさらな新雪トレッキングでした。行程約7時間、無雪期なら所要時間2,3割は少なくなるかもしれない。

雪の急斜面を慎重にトラバース

長野県千曲市の山。この地は昔から更級(さらしな)と呼ばれていた。さらしなそばのさらしなである。別名姨捨山(おばすてやま)とも呼ばれ、この方が地元では通りが良いかもしれない。楢山節考(深沢七郎著)に書かれているのが、寒い冬、老母を背負って山の上へ捨てに行くという悲しくも残酷な物語がありますが、この姨捨山もそうしたしきたりの山だったのだろうか。
さらしなは芭蕉や一茶、虚子などが句を詠んでいる月の名所でもある。

18号線から千曲川にかかる大正橋を渡ったところにさらしな神社がある。ここから車2台で林道を23㎞ほど上がっていくと荒砥城跡の入口、ここに車一台をデポしてさらしな神社へ戻る。

さらしな神社からは、車をデポした地点を過ぎ、しばらく進むと冠着山への案内があり、ここから山道へ入っていく。しばらく進むと、少し雪が見はじめる。左手高みの山城跡を巻いたりして進む。

次第に勾配がきつくなってくる。口数も少なくなり、ひたすら上を目指す。次第に雪の上を歩くようになる。冬枯れの木立の隙間から、北アルプスの銀嶺が垣間見えたりする。展望には絶好の日和だ。

このルートは、近年「鳴海」さんという方がこつこつと整備して、普通に歩けるルートにしたという。Mさんの知り合いでもある。目じるしの赤札をつける作業で、Mさんも手伝ったという。今日はそのMさん同行だから心強い。

左から爺ケ岳・鹿島槍ケ岳・五竜岳(第一展望所)

雪が次第に多くなってきた。その分体力も使うし、歩幅も小さくなる。893mの小ピークを越え、次のかなりの急登を終わると第一展望所。ここまで2時間10分。目の先には標高約950m地点に送電鉄塔があり、ここで小休止。稼いだ高度は約450mでまだ半分だ。
北アルプス北部の眺めが目を惹く。白馬・鹿島槍から赤沢岳あたりまで。さらに戸隠、高妻山、妙高山など、銀嶺を眺めながら至福の休憩。
この先が意外に長かった。

積雪が深くなってくる。一歩一歩の負荷が大きい。山頂まではあと2つほどピークを越えなくてはならない。まっさらな雪面に見えるのは鹿やタヌキ、キツネなどの足跡のみ。人の足跡はない。

会話を交わす余力もなくなってきて、ただ黙々と前に向かって足を出す。ときおり野鳥の声が耳をかすめる。足が重い。早く山頂に着きたい・・・・。

ようやく標識の立つ一般ルートに合流。しかしこの先も足跡はない。積雪も深いところでは30cmを超えているだろうか。一歩一歩に体力を使う。急な斜面を横切るようにつけられたトラバースルートがしばらく続き、神経を使う。足元の雪が崩れると、一緒に下へ落とされる危険もある。実際の距離以上に長く感じたトラバースだった。

冠着山山頂

トラバースが終わりほっと一息、いよいよ山頂への最後の尾根道となる。足の疲れもあってかなりの急登に感じる。しかし雪は深いものの尾根道は気分的に楽だ。一歩一歩足を引き上げて、ようやく山頂到着。鉄塔から2時間10分は想定を大きく上回っていた。

三等三角点、鳥居や神社、それに句碑「更級や 姨捨山の 月ぞこれ」、天望盤のある山頂は肝心の北面が樹木に邪魔されて北アルプス方面の一部しか望むことができなかった。樹木にはエビのしっぽが凍りついている。

さて下山、またいくつかのピークを越えて行く元気はなく、予定を変更して山頂からほど近い車道へ降り、その車道を車のデポ地点へとたどることにした。 雪がなければもう少し楽に歩けたと思われるが、想定外の体力消耗だった。
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この山頂には、楽なコースで23年前に登ったことがあるが、そのときの様子は完全に忘れていて、山頂の様子なども記憶に重ねることがまったくできなかった。

1993.11.20の冠着の記録 http://www.joy.hi-ho.ne.jp/h-nebashi/sub1299.htm


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