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独鈷山=とっこさん(1266m)〜富士山=ふじさん(1029m)

長野県 2005.12.10 Mさんと2名 マイカー 独鈷山 二等三角点
富士山 三等三角点
コース 平井寺トンネルからの林道登山口(8.45)−−−尾根上(9.15)−−−独鈷山(9.30-9.40)−−−沢山湖分岐(10.25)−−−梅ノ木峠(11.05)−−−市峠(11.40)−−−富士山(12.00-12.05)−−−市峠(12.20)−−−鹿教湯温泉(12.45)
(長野市街地に隣接した低山)
独鈷山々頂

山友Mさんと1年ぶりの同行登山。お膳立てはすべてMさんに委ねてのお気楽登山だった。

鹿教湯温泉街入口の鹿教湯病院駐車場に下山用の車を駐車させてもらう。もう1台の車で平井寺トンネル料金所から上田市方面へほんのわずか行った先で左折して林道へ入る。ここには独鈷山への道標がある。
道幅の狭い林道を上がって行くと日蔭は積雪、圧雪状態のところもある。林道でかなり標高を稼いで独鈷山登山口の道標となる。

山頂までの登山道は、その昔修験行者が通った道であろう。『座禅岩』など当時を偲ばせる説明書きが見られる。気温はかなり低いが、岩山特有の急な登りに汗がしたたる。雲も多いが、ときどき落葉を終った梢からは陽光がこぼれる。Mさんとは波長が合うというのか、私らしくもなく口数が多くなり、あれこれしゃべりながらきつい登りを踏ん張る。
一汗かいて30分ほどで尾根に登りつく。右手には独鈷山東尾根が険しい岩稜を露にしている。左手西方にコースをとって独鈷山の山頂へ向かう。北向き斜面には雪がついているが、凍結していないので歩くのに支障はない。右手に塩田平を俯瞰しながら比較的歩きやすい道がつづくか、最後に岩稜の登りとなって独鈷山のピークに着く。12年前の11月下旬、霊仙寺からのコースを登って以来の山頂である。二等三角点標石の損傷がひどい。
少し傾いた石祠で記念写真を撮ってから、冷たい風に吹かれながら四囲に開けた展望に目をやる。北方眼下にはセピア色した塩田平の冬景色が広がっている。東信の山々や荒船山など西上州の山並みが淡い藍色にうかがえる。残念ながら浅間山、奥秩父、美ケ原、それに北アルプスなの展望を得ることはできなかった。

これからもう一つ富士山のピークを稼いで鹿教湯温泉へ降りる少し長めのコースを予定している。行程はまだ序の口、これからが長い。
小さなアップダウンを繰り返しながら、梅ノ木峠まで約300メートルの高低差を下って行く。ところどころ岩山らしい険しい顔ものぞかせるが、ルートに危険な箇所はほとんどない。2万5千図に登山道は記されていないが、道ははっきりしていて戸惑うこともない。マツタケ山のため、立ち入り禁止を知らせるビニールテープが、登山道沿いに張り巡らされているが無粋だ。
沢山湖への分岐を過ぎ、独鈷山から合わせて数個の小ピークを上り下りして梅ノ木峠となる。冬枯れの樹木の下に佇む石仏が、いかにも峠の風情を漂わせていた。

富士山の石祠
道は相変わらず歩きいい。顕著なピークを一つ越えたあと、小さな突起を経て市峠となる。この峠にも石仏などがいくつかあって、往時主要な峠道であったことがうかがえる。周囲の山々は雪に煙ってきた。ここにも間もなく雪がきそうな気配だが、目の前の富士山に登ればあとは鹿教湯への下山を残すだけとなる。寒風の吹きすぎる峠で一息入れて富士山への登りにかかる。
これまでとちがって、ルートは薄い踏跡程度の頼りなさになった。一般登山道とは言えない状態だ。薄い踏跡とビニール紐を目印にして登って行く。最初はなだらかだった登りが、山頂手前から藪模様の急登となる。足場も不確かで潅木につかまったりして、這い上がるようにして登り切ると、勾配が緩んだ先が富士山の山頂だった。市峠から20分の登りだった。

落ち葉に埋もれるようにして石祠が一基、そして三等三角点の標識があるだけで、山名表示の標柱など一切見当たらない。ひっそりと静まり返っていた。天気が良くても樹木に囲まれた山頂からは、ほとんど展望は望めそうもない。『××富士』というのは全国各地にあるが、ストレートに『富士山』と名づけられた山はあまりないのではなかろうか。下山後鹿教湯温泉から見ると、平凡な里山ではあるが、形は確かに富士山そっくりの姿をしていた。

市峠まで戻り、あとは鹿教湯に向けて昔の峠道を下って行く。道の付けかたも急坂を避けてうまく作られている。馬頭観音などがたくさん目に付き、その昔、人馬が繁く通った主要な峠道であったことを偲ばせるが、今は竹薮化しつつあるところや、雑木がはびこっているところ、石のごろごろしているところなどもあって、かなり荒れが進んでいる。

下山後鹿教湯温泉の「文殊の湯」に浸かって体を温めてから登山口の車を取りに行った。


逆コースで鹿教湯側から富士山へ登るには、R254号を西へ向かい、鹿教湯温泉街へ入る道と鹿教湯トンネルへの分岐手前で、右手火の見櫓のところにある橋を渡り、集落の中を山へ向って上がって行く。やがて舗装道が終わって山道らしくなる。左手に二つ目の墓地を見たところで右手の細い山道へ入れば、後は迷うことなく市峠へは一本道である。
1993.11.20 霊仙寺から独鈷山へはこちらへ
 
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