追想の山々1194  up-date 2001.11.25


渡島駒ケ岳(1131m) 登頂日1995.08.07 妻同行
6合目(9.30)−−−馬の背−−−剣け峰基部−−−馬の背−−−6合目(11.30)
所要時間 2時間00分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
大千軒岳・駒ケ岳・狩場山・ニセコアンヌプリ・余市岳・富良野岳・夕張岳・札幌岳
5回目の北海道山旅(道内9泊)=58才
駒ケ岳(パンフレットより借用)


函館湯の川温泉の朝。目の前の海は雨に煙っている。予想どおりとはいえ落胆しないわけにはいかない。今日の予定はこの山旅で最も簡単な駒ケ岳にしている。

大沼湖畔は観光最盛期というのに、梅雨のようにしとしとと降る雨に人影もない。深い霧が漂っている。六合目登山口ヘの道がわからず、ガソリンスタンドで給油しながら教えてもらった。林道終点まで上がると広い駐車場がある。この天気だから自動車も登山者もない。
長靴に傘をさし、カメラだけぶら下げて出発した。ふだんは観光客が行き来する火山礫の広い歩道を登って行く。 1時間ほどで馬の背に登りついたが、ひどい濃霧で20メートル先がかすんでいる。
ホワイトアウトのような霧の中、茫洋たる砂轢の斜面は方向感覚もつかめず、うっかり歩くと迷うおそれもある。ここで下山しようと思ったが、せめて剣ケ峰までと欲が出てしまった。底知れないような亀裂の縁に張られたロープをたどって、剣ケ峰と思 われる方向に感を働かせて進んで行った。探せば踏み跡くらいはあるのだろうが、この濃霧ではそれを探すのもむずかしい。ところどころに、帰りの目印となる石を積み、果たして剣ケ峰へ行き着けるのかどうかわからぬまま、手探りで進んで行った。
運よくしっかりとした踏み跡に出会う。これが剣ケ峰へのルートという保証はないが、踏み跡はやがて山腹を斜上して行った。幾すじも踏み跡が交錯する。途中からは妻を残して一人だけで進んでみた。果たせるかな急登となった斜面をしばらく行くと、岩塊が堆積した岩峰の基部 と思われる地点にたどりついた。この岩峰の上が剣ケ峰であろう。
雨で濡れた岩はいかにも滑りやすそうに見える。それに風雨の中で一 人待っている妻のことを思い、ここで引き返すことにした。
計画では馬の背から剣ケ蜂、砂原岳を回って下山することにしていたが、この天侯ではやまを得ない。       

石を積んだ目印しが役に立って、無事駐車場へ下山した。
下山後長万部へ雨の国道を走る。今日の泊まりは狩場山登山口の賀老高原キャ ンプ場。奥尻島を対岸に見る北海道西端の島牧村にある。
依然雨は降り止まず、キャンプが気乗りしなくなって来た。結局陸の孤島のような島牧村の小さな漁港にある民宿へ転がり込んでしまった。