追想の山々1195  up-date 2001.11.25


狩場山(1520m) 登頂日1995.08.08 妻同行
賀老新道コース登山口(7.00)−−−下部お花畑−−−真駒内コース分岐(8.50)−−−南狩場山(9.10)−−−狩場山(9.30-45)−−−真駒内コース分岐810.15)−−−新道コース登山口(11.15)
所要時間 4時間15分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
大千軒岳・駒ケ岳・狩場山・ニセコアンヌプリ・余市岳・富良野岳・夕張岳・札幌岳
5回目の北海道山旅(道内9泊)=58才
雨と濃霧の狩場山頂上


6時10分、島牧村漁港の民宿を出た。早起きの漁港は、もう一日の活動が忙しげに始まっている。
今朝は雨が止んでいる。心なしか空の一角が明るい。このまま止んでくれるのだろうか。半信半疑で林道を登山口へ向かった。林道をくんぐん上がって行くと、次第に霧が流れるようになり、うっ そうとしたブナやダケカンバの樹林が風に騒いでいる。賀老キャンプ場を過ざると林道は砂利道に変った。霧のために夜明けどきの薄暗さのままだ。平坦な道をさらに数キロ、登山口を見落とさないよう注意しながら走ると、左へ大さくカーフする橋の手前に、登山口の道標があった。
近くの空き地に駐車して狩場山へ出発した。

今日もまた雨の登山となってしまった。この雨の中、妻の同行は心配だったが、一緒に登るという。 ガイドブックによればヒグマ生息密度の濃い地域、気をつけなくてはいけない山だ。雨と濃霧という薄暗い樹林は、そに辺りか今にもヒグマが飛び出して来そうで薄気味が悪い。
登山口からわずかの間、丸太の階投となっている。この先もコースがしっかりしていることを期待する。
まといつくような濃い霧、長靴に雨衣といういでたち、気分の盛り上がりにはほど遠い。泥道に真新しい登山靴の跡。先行者があることがわかって急に心強くなった。露払いの先行者の存在で、熊への不安がだいぶ解消した。熊よけの鈴をうるさいくらいに鳴らして行く。

エゾソカンゾウの咲く草原に出た。下の花畑と言われるところだ。霧で10数メートル先しか見ることができない。天気がよけれはきっと美しいお花畑が広がっていることだろう。再び樹林へ入ると登りが急になって来た。妻のペースでゆっくりと登っ行く。高山植物が顔を出すようになった。
南狩場山へに急登の途中で、下って来る登山者に出会った。立ち話をしてから、雨水の流れる急坂を攀じると、稜線らしい地形のところに登りついた。ハイマツに「南狩場山」の小さなプレートがかかっていた。
ハイマツがかぶったり、大きな岩が露出した道をしばらくたどると、なだらかな草原が広がっていたが、ここも霧にかすんで全体の感じはつかめない。草原のコース沿いには、イワイチョウが大群落をつくっている。

霧の中に鳥居があらわれて、そこが狩場山の山頂だった。渡島半島の最高峰も、この天候ではどうしようもない。西も東もわからない山頂で、望むべくもない大展望を想像するのみ。寒さに震えながら記念写真を撮ると、早々に山頂を後にした。
雨脚は激しくなり、登山道は川と化している。登ってきた足跡もすっかり消えていた。
下山して日本百名滝の「賀老の滝」を見学する。道内随一とも言われるだけに、轟音を上げて落下する滝の激しい水量に圧倒された。
千走温泉で汗を流し、今日の宿泊予定のニセコへ向かった。