追想の山々1244  up-date 2001.12.28


市房山(1721m) 登頂日1998.10.26 単独行
市房やまキャンプ場(6.10)===市房林道終点(6.20)−−−4合目市房神社(6.40)−−−市房山(8.15-35)−−−市房林道終点(10.00)===湯前温泉===国見岳登山口へ
所要時間 3時間40分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
遠方より眺めても存在感のある山=61

市房山々頂
人吉ICを出てから、広域農道を東へ向かって走ると、やがて進行方向に西日を受けた大きな山が見えて来た。それはあたかも『この私が、あなたの目指している市房山ですよ』と言って招いているように、きわだって目をひく姿は一級品の存在感があった。九州で1700メートルを越える山は高山の部類で、市房山はまさに九州の高山として、派手に目立っていた。
昨夕、このキャンプ場へ到着した時、登山帰りの人々を乗せて20台余の自動車が下って行った。さらにキャンプ場奥の市房林道終点まで行ってみると、下山してきた登山者が何人も疲れた足を引き摺っていた。日曜日とあっておおぜいの人が登山を楽しんでいたようだ。

キャンプ場で目覚めると、雲が多くちょっとがっかりする。
キャンプ場を出て、参道入口の鳥居を横目に、市房林道終点まで自動車を乗り入れる。10台分ほどの駐車場がある。
参道と合流する所までは、林の中を横切るよにして進む。10分ほどで参道に合流すると、杉やアスナロの巨木が天を突くように立ち並び、むき出しとなった網の目のような根の上を歩いて行く。まるで根っこで出来た階段を登っているような感じだ。
霧島連山をのぞむ
ひと登りすると4合目の市房神社に到着する。大きな休憩舎の奥、一段高くなった所が祭壇になっているようだ。
神社から本格的な登りがはじまる。地図で見ると等高線のびっしりと混んだ600メートルの登りで、急登の様子がよくわかる。ほとんど一本調子でつづくこの登りは、足場の悪さも加わって、歩いてみるとなかなかハードである。岩につかまり、木の幹に体をあずけ、大きな段差を足を伸ばして踏み上がり、展望もない急登を、ただひたすら登って行く。
6合目はベンチのある休憩ポイント、パイプで水を誘引するようになっているのに、肝心の水は一滴も流れていなかった。木梯子に助けられて岩場を乗り越えたり、鼻のつかえそうな急登は、四肢総動員で体力の消耗も激しいが、その分高度の方は効率よくどんどん稼いでいける。単調な急登にさかんに汗が流れる。赤茶の肌をしたヒメシャラが20本ほどかたまっているあたりを過ぎると、急に足場が良くなってきた。勾配もだいぶ楽になって、厳しい登りはどうやらこれで過ぎたらしい。

楽になったとはいうものの、それでもまだまだ登りはつづく。標高が1400メートルを超えて、カエデ系の紅葉が鮮やかな色を見せてきた。樹間からは市房山々頂あたりと見られる高みものぞめる。 気がつくと樹木の背丈も低くなって、潅木類が主流になっている。傾斜が緩んでからも、結構歩きでがあったが、やがて小広い ピークに達した。
一等三角点標石やいくつかの岩石が点在し、その奥が草地の広場になっていた。これが300名山297座目の山頂、いよいよ最後の大詰めという思いを深くしながら三角点標石に手を触れて、登頂の思いをかみしめた。
南側の展望が開けていて、曇り空ながら高千穂峰から韓国岳へと連なる霧島連山を、意外な近さで望むことができた。
1000メートル近い標高差の山を登ったにしては、途中の展望もなく単調な登りで、あまり心に残るものがなかったのが予想外であった。

山麓の湯前温泉で入浴、村営で300円の低料金ながらタオル、湯上がりタオルを貸してくれて、サービス満点、それに湯量も豊かでいい温泉だった。
人吉ICから八代市IC経由、国見岳登山口へと向かった。

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