追想の山々1247  up-date 2001.12.28


霧島連山縦走(韓国岳1700m) 登頂日1998.10.31 単独行
小林市内ホテル(6.45)===えびの高原(7.15-8.45)−−−韓国岳(10.00-20)−−−獅子戸岳(11.40-12.20)−−−新燃岳(13.05-10)−−−中岳(13.40-50)−−−高千穂河原(14.35)===新湯温泉===湯之野温泉付近で車中泊
所要時間 5時間50分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
ピーカン、友人ご夫妻との縦走=61
新燃岳と高千穂峰
昨日はあいにくの天候の中、阿蘇根子岳を登頂。
今日は九州山旅8日目、4年半ぶりに再会のKさんと霧島縦走である。Kさんとは4年半前、巻機山登頂の折りに一緒になり、帰路東京までマイカーへの同乗をお誘いしてからのお付き合いである。Kさんは今は九州へ単身赴任している。電話でのやりとりがうまく行って、この霧島山行が同行出きることになった。

えびの高原での約束が午前9時。うれしくて早くホテル出てしまい、7時ちょっと過ぎにはえびの高原へ着いてしまった。ところがKさんも7時45分に到着してしまった。東京からちょうど奥さんも来ていて、今日は一緒に歩くという。楽しい山歩きになりそうだ。久々の挨拶を済ますと、早速下山予定地の高千穂河原まで自動車を回すべく出発、1台を高千穂河原に残してふたたびえびの高原へ戻った。

今日は絶好の登山日和、3人でおしゃべりをしながらのんびりとしたペースで韓国岳をめざす。天気が良いのと土曜日ということで、登山者も大変な数だ。以前の滑りやすかった道は、丸太の階段に変って歩きやすくなっていた。
奥さんもしっかりした足取りで意外に早く韓国岳の山頂へ到着。私には2度目の山頂である。山頂は人々で賑わっている。足下にはエメラルドグリーンの水をたたえた大浪池、そして獅子戸岳、新燃岳さらには整った姿の高千穂峰と、霧島の素晴らしい眺めが広がる。北に目をやれば市房山がはっきりと確認できた。
Kさん持参のワインで再会と登頂を祝って乾杯。気心の知れた人との登山は、単独行とは違った楽しさがある。
一休みして次のピーク獅子戸岳へと向かった。一度大きく下ってから登りかえす。韓国岳からこっちは嘘のように登山者の姿がまばらになった。ほとんどが自動車を置いた場所へ戻るために、トンボ返りしなければならないのだ。
正面に高千穂を眺めながら、散策気分の軽やかな歩きだ。今日はこの時期としては気温も上がって、千数百メートルの稜線でも寒さは感じない。そよふく風が実に快適に感じる。おしゃべりが途切れることなく、韓国岳から1時間20分で獅子戸岳へ登りついた。 ここにはほとんど人影がなく、静けさに満ちている。ここで昼食とする。ここでもワインとKさんの沸かしてくれたコーヒーでくつろいだ。

新燃岳の火口付近から水蒸気ガスが立ち上っている。双眼鏡を借りて高千穂を眺めると、蟻のように人の列が続いていた。楽園にいるような気分で40分の大休憩を楽しんでから、新燃岳へと向かった。奥さんとも家庭のことや、単身赴任のことや、東京の住まいのことや、思い付くままに会話をしながら歩いていると、あっという間に時間が過ぎて、知らぬ間に新燃岳山頂へと来てしまった。大きな火口底には緑とコバルトブルーに色分けされた水がたたえられ、火口の内壁が火山の生々しさを見せている。

新燃岳を過ぎるとコースは、高原を散策するようななだらかな道となって、一面にススキの穂が銀色の波をつくって揺れている。1300メートルの稜線というより、秋の高原の風情そのものである。
起伏の少ない散歩道は中岳までつづいていた。中岳山頂付近はどうしたわけか立ち枯れた樹木が目立つ。新燃岳が噴火したときの影響かもしれない。稜線はここから高千穂河原へ一気に高度を下げてゆく。ミヤマキリシマが多く初夏にはさぞ美しいことだろう。ヤマラッキョウの花も目につく。ときどき高千穂河原から散策に上がってきた観光客とすれ違う。目の下に高千穂河原が見えているが、それでも中岳から45分ほどかかって下り終えた。
回しておいた自動車でえびの高原へ戻る途中、新湯温泉で入浴、皮膚病に効果があるという。
Kさん夫婦は、今日はエビノ高原のホテルに宿泊するという。
思いもかけず一緒に同行できた奥さんとの3人の山行は、大変楽しいものであった。4年半も過ぎているので、初対面のようなものだが、波長が合うというのか、まったく気も使わないし、気取る必要も感じないし、訥々としていて一緒にいてもその存在が少しも苦にならない。登山には最高のパートナーである。次回の再会を楽しみにえびの高原でお別れした。

その後奥さんには、去る10月に東京でお会いする機会があって、縦走の思い出話などに花を咲かせた。

この夜は、湯之野温泉近くの空地で車中泊。翌日は新湯温泉から霧島主稜線を横断して大幡山を登頂。硫黄谷温泉に寄ってから宮崎港へ。10日間の山旅を終えて大阪南港へ向かった。

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1989年5月、雨中の韓国岳登山はこちらへ