追想の山々1265  up-date 2002.01.17


武甲山(1295m) 登頂日1992.05.05 単独行
池袋駅(6.00)〓〓〓横瀬駅(7.50)−−−表参道入口・1丁目(8.55)−−−登山道入口(9.15)−−−武甲山(10.05-35)−−−長者屋敷の頭(10.55)−−−橋立寺(12.05)−−−浦山口駅(12.15)〓〓〓池袋駅へ
所要時間 4時間25分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
石灰岩採取で変形が進む山=55
武甲山

武甲山を登ったのは独身のころだった。数えればもう30数年以上昔のことになる。その記憶もほとんど消えて、初めての山と変わらない。
石灰石採取で、身を削り取られて行く武甲山の姿を、何回も目にしているが、30数年前はどんな姿だったのだろうか。表皮を剥ぎとられ、その下から骨をむきだしにしているように見える。露出した花崗岩の肌は銀色に光り、綱鉄の城塞に似ていた。

西武線横瀬駅から歩きはじめる。武甲山を間近に見つめながら、ときおりダンプカーの行きかう車道を歩い て行くと、武甲山ハイクに向かうらしい乗用車が追い越して行く。石灰工場あたりは、道路、草木、建物といわず粉末が付着し、何だか息苦 しいような錯覚を覚える。こんな所はテクテクと歩くより、自動車でパッと通過してしまいたい。

幾つかの石灰工場、砕石工場が途切れると、緩い勾配の砂利道に変わっ て、気持ち良い若葉に包まれた川沿いの道となる。妻坂峠への分岐が表参道の入口でもある。『一丁目』の石標がある。ここで林道から別れるとすぐ先に最奥『生川』の集落がある。わずか2軒の民家はマス釣場や休憩所を営んでいた。雲ひとつないビーカンの快 晴に、谷川の瀬音がまた気持ちいい。再び林道に出てから指導標に沿って山道に入ると、やっとハイキングの雰囲気になった。
薄暗い植林の道を、つぎつぎと家族連れを追い越す。『丁目』の石標を追いながら、30数年前を思い出そうとするがダメだ。
植林が途切れて明るいトラパース道に出ると、ほっとした解放感がある。スミレの花を眺めながら行くと階段登りがはじまる。急な階段は数えると300段近くあった。

階段を登りきった十字路を右折して少し登ると、その奥に武甲神社の社殿があった。52丁目である。社殿の裏手が頂上で、展望台にもなっていた。
予期せぬほどの展望が広がっていた。そう言えば30数年前に登ったときは雨が降っていたような気がする。秩父の盆地から遠く霞む関東平野、こうした広々とした眺望もいいものだ。日光連山、武尊山、谷川連峰、朝日岳、苗場山、赤城山、榛名連山、 両神山、浅間山、浅間隠山、鼻曲山、奥秩父連峰、蓼科山、八ヶ岳、富 士山の頭部・・・・じっくりと展望を楽しんだ。武甲山の東側は山頂まで削り取られ、絶壁のように切れ落ちている。足下を覗くとダンプカーがミニチュアカーのように動き回っていた。

山頂を後に、下山は浦山口ヘのコースを取った。樹間からは両神山が見え隠れしている。
秩父鉄道浦山口駅に着くと、電車が出たところで次の電車まで1時間以上もある。時間潰しに橋立の鍾乳洞を見物した。