追想の山々1267  up-date 2002.01.19

一日3座の早駈け登山
浅間隠山  鼻曲山  湯の丸山〜烏帽子岳

(2003.02.25 烏帽子・湯の丸山の冬季積雪期登頂記録はこちらへ)
 登頂日1992.10.31 単独行
東京(4.00)===渋川IC===二度上峠登山口(7.35)−−−浅間隠山(8.20-35)−−−二度上峠(9.15)−−−鼻曲山(10.30-45)−−−二度上峠(11.45)===鹿沢峠経由地蔵峠(13.00)−−−湯の丸山(13.40)−−−烏帽子岳(14.25-35)−−−地蔵峠(15.25)===高峰スキー場にて車内泊
所要時間 合計6時間35分   
浅間隠山(1757m)・・・・日本300名山=55
浅間隠山


北軽井沢へ入るのは、高崎からR18号と決めつけていたが、ふと思 い立って渋川伊香保ICから長野原を経由してみた。これが正解だった。自宅から二度上峠登山口まで3時間かからなかっ た。

二度上峠からわずか高崎寄りに下ったところに、浅間隠山への登山口 がある。軽装で出発する。既に秋を過ぎて初冬のたたずまいを見せ、霜柱の道は落葉で埋まっている。冬枯れの梢を透かして、吸い込まれるような紺碧の空が広がる。
短い登りで尾根上に立つと、さんさんと陽を浴びた浅間隠山の姿があった。それからは浅間隠山の姿を視野に入れながら、平坦道からやがてやや急な登りを経て、稜線を伝って行く。最後に笹の道を抜けるともう山頂だった。当然のことながら、まず目を引くのは浅間山、昨日の雨が浅間山の山頂付近では雪だったらしい。8合目あたりにかけて、 刷毛を引いたような縞模様の雪化粧をしていた。雨裂が縞模様を作る雪景色は、やはり浅間山のトレードマークである。
奥秩父連山の上に頭を覗かせた富士山、そして西上州の山並、榛名山、 赤城山、妙義山、さらに八ヶ岳・・・・このあと登る鼻曲山、湯の丸山、籠ノ登山もある。 スケッチをしたりしてから登山口に戻った。



鼻曲山(1655m)・・・信州百名山
鼻曲山
碓井峠の北方に横たわる静かな山がある。角落山、鼻曲山、 浅間隠山などである。
浅間隠山から下山すると、すぐ自動車で二度上峠まで移動、本日二つ目の鼻曲山を目指す。
標高差は浅間隠山と比べて小さいが、コースは逆に長い。峠には鼻曲山へのコースを示す標識は全く見当たらない。真南への薄い踏み跡へ入ると、すぐにしっかりした登山道になっ た。
メインのコースでないせいか、登山道の整備状況は不十分で、笹や薮が邪魔になる。たいした登りもなく、小さい上下を繰り返して約30分で『永妻山』の標識のある小ピークがあった。尾根中間のコブという程度のピークだった。
やや顕著な下りの後、枯れすすきなどの草地の中を通り過ぎ、砂礫状の登りに変わる。 踏ん張りの効かない急登をひとしきり頑張ると、傾斜が緩んで霧積温泉からのコースと交わうピーク、小天狗に着いた。ここは好展望台であった。
鼻曲山は東の大天狗、西に小天狗の双峰からなっていた。一投足の大天狗は高木に囲まれて眺望は余りよくない。霧積温泉からの登山者が数人いた。
眺望のいい小天狗へ戻り、浅間隠山を上回る好展望を楽しんだ。
先程登った浅間隠山が、太陽の順光を受けて透けるように見えていた。圧巻は浅間山の眺めであった。眼下の浅間高原に広がるカラマツの黄葉が今最盛期、黄金を敷き詰めたような贅沢な景観が欲しいままだった。
下山は、緊張感を欠いて2度も道を間違えてしまった。


湯の丸山(2105m)〜烏帽子岳(2066m)・・・・信州百名山
湯の丸山

地図を見ると、上信国境が大きく屈曲したところに、この二山は播居 している。烏帽子岳は信州百名山である。
鼻曲山から二度上峠へ降りるとすぐに湯の丸山登山口の地蔵峠へ向かった。この日三つ目の山である。
北軽井沢の町を抜けたところで、大笹、鹿沢温泉への標識を見て、それに従って自動車を向けると、それは浅間広域農道で、快調に飛ばして1時間もかからずに地蔵峠へ到着した。

湯の丸山への登山口がはっきりしなかったので、スキー場ゲレンデの真ん中を適当に直登、10分ほどでリフト終点となり、湯の丸山への登山道に出会った。樹林が切れて明るい草原が広がっている。前方に茶碗を伏せたような湯の丸山が見える。伏せた茶碗の縁まではほば平坦な散歩道であるが、円頂への登りはかなり勾配がある。浅間隠山や鼻曲山に比べると、標高が300メートルは高く、それだけに登山道の日陰には、あられのような雪が消え残っていた。
露出した岩を踏んだりして、ひと汗かくと山頂だった。真冬のような冷たい北風に、思わず体を堅くする。頂は岩石が堆積し、いくつものケルンが乱雑に立ち並んでいる。寒さに震えながら周囲の展望に目をやった。まず目につくのは四阿山である。雄大な裾野を引いて悠然と聳える姿は貫録十分である。浅間山、黒斑山、籠ノ登山、はるかに富士の高嶺も見える。そしてこのあと足を延ばす烏帽子岳もいい。

寒風に追われて烏帽子岳との鞍部まで、150メートルほどの高度をかけ下った。そして烏帽子岳の稜線を目指した。
笹や草原の中、よく踏まれた道をたどって、ワンピッチで登りついたところが稜線の南端で、ここから北端のピークへ向かっての気持ちいい稜線の道は楽しいプロムナードであった。途中大岩のある小ピークを過ぎ、ゆったりとした登りをたどると山頂だった。
山頂は巨岩累々として高山の趣がある。ここも四阿山から根子岳の眺めが素晴らしい。西側は足下から急傾斜で落ち込んでいる。その底には小諸の盆地が千曲川に沿って開けてい る。銀竜のように蛇行する千曲川の水面が鈍く反射していた。

ハシゴ登山も今日はここまで。
帰りは稜線の南端まで行かずに、途中から薄い踏み跡を見つけてそれを急降下、半分程の時間で鞍部まで下ってしまった。

下山後、一軒宿の鹿沢温泉「紅葉館」に入浴する。この湯宿は、その昔、登山家として高名な西掘栄三郎氏が仲間と宿泊した折、つれづれに作った「雪山賛歌」〜 雪よ岩よ我らが宿り〜の生まれた宿としても知られている。

車中に一泊したあと、翌日は「水の塔山・籠の登山」と「高峰山」を登って帰京した。

(2003.02.25 烏帽子・湯の丸山の冬季積雪期登頂記録はこちらへ)

 (2018.05.17 烏帽子・湯ノ丸山の記録はこちら)