追想の山々1317  up-date 2002.09.30

雄阿寒岳(1371m) 登頂日1999.07.16 単独行
滝口(9.05)−−−1合目(9.30)−−−3合目(10.00)−−−5合目(10.45)−−−雄阿寒岳(11.25-35)−−−5合目(12.10)−−−3合目(12.45)−−−滝口(13.30)
所要時間 4時間25分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
阿寒湖畔に立つ日本300名山
山頂にて


標高は1371mしかないが、登る高低差は1000メートル近い。結構登りがいのある山である。
阿寒には雄阿寒岳と雌阿寒岳の2つがあり、ほかに阿寒富士というのもある。一番背の高いのは雌阿寒岳1499m、阿寒富士が1476m、雄阿寒岳が1371mという順になる。
高さから言って、阿寒岳と言えば雌阿寒岳が代表するように思っていた。しかし深田久弥の「日本百名山」では、どちらかと言えば雄健な姿の雄阿寒岳に注目していたようだし、日本300名山選定の日本山岳会は、はっきりと雄阿寒岳と表記している。
私は高さをもって、雌阿寒岳へ登り、これで日本百名山を登ったつもりでいたが、その誤りに気づいたことと、日本300名山踏破のために、遅れ馳せながら雄阿寒岳の山頂を目指すことにした。

北海道登山は1995年8月以来4年ぶり、ずいぶん長いことご無沙汰してい たことになる。
釧路湿原外周の国道から、阿寒の山々が薄墨色に見えてきた。登山口となる阿寒湖畔滝口へは、釧路市内から1時間30分だった。駐車スペースは、10台ほどの車が止まっているだけで満杯だった。
9時を回っている。登山ポストに登山届けを提出して登山開殆。こんなに遅い時刻から登る人はないようだ。滝口の水門堰堤を越えると太郎湖のほとりに登山道がつけられている。木立の中の小さな湖は静まりかえり、樹林の緑を吸い込んだ湖面は、濃緑の水をたたえていた。 太郎湖を離れて緩く登ってゆくと、左手の木の間越しに見えてきたのが次郎湖だ。トドマツなど、針葉樹が手づかずに鬱蒼と茂っている。
登山口から比較的なだらかな道を30分ほどで1合目の標識となる。1合目までの所要が30分というのは、これから積算すると山頂10合までは300分、6時間 ということになる。コースタイムは山頂まで3時間20分だから、1合目だけは特別なんだろと考えがら、勾配の強くなってきた道を少しペースを上げて登っていった。
雄阿寒岳はヒグマが生息していると聞いた事がある。気にはなったが、今日はかなりの入山者がある様子に安心して、熊よけの鈴も省略したままだ。

やはり思いのほか時間がかかって2合目着、道は険しい急登に変わってきた。手足をフルに使い、全身運動で攀じるように登ってゆく。ジグザグを繰り返 しながら一気に高度を稼ぐ。汗が目にしみる。
3合目までの所要1時間、残りは7合ということになるが、これでほぼコースタイムに追いついたことになる。

これでもかと言うような厳しい登りの途中で早くも下山してくる人にすれちが う。早朝6時ころ出発すればこの時間に下ってきてもおかしくない。
まだかまだかと思ううちにようやく4合目、このあたりで樹木の丈が低くなってきて、少し視界が開けてきた。眼下に阿寒湖が俯瞰できる。その先には雌阿寒岳、阿寒富士の姿も望めるようになった。
急登はなおもつづき、やがて5合目の標識となる。かなり高度を稼いだ感じがするのに、これで5合目?変だなあ。
腑に落ちないままに上部を見上げると、打って変わったなだらかな尾根が展開していた。どうやら急峻の登りは終わったらしい。なだらかな山腹を斜めに横切るように登ってゆく。6合目、7合目の間隔は極端に短くなった。いったいどういう基準になっているの?そんな疑問が沸いてく る。この調子だとあとわずかで山頂に達してしまいそうだ。5合目が行程の半分ではなかったのか。
8合目までもわけなかった。昔気象観測用の建物があったという跡には、石造りの門柱が残されていた。視界は完全に開けて遮るものもない。前方に見えているこんもり盛り上がったふくらみが雄阿寒岳のピークだ。もう一投足という距離だ。イワギキョウが咲き、メアカンキンパイの花も見える。吹き抜ける涼風を受けながら、眼下の阿寒湖、それに雌阿寒岳・阿寒富士の眺めにひとときの小休止をとった後、最後の行程へと向かった。  

なだらかに下った先が9合目のコルで、ここから山頂までは10分も要しなかった。
山頂は岩石がむき出しになった意外に狭いピークだった。 10人ほどがそれぞれ場所を占めて休んでいた。
山頂に着くのを待っていたかのようにガスが上がってきた。たちまち視界を閉ざして、 オホーツクや大雪連山までも望めるという楽しみは得ることはできなかった。
4年ぶりの北海道で、高山植物との再会も楽しみだったのに、雄阿寒岳は高山植物は案外少なかった。

途中の合目表示を見ながら、山頂まで4時間もかかると思ったのに、所用時間は2時間20分、化かされたような気分だった。
ガスで眺望もなく、昼食をとった後すぐに山頂を後にした。
下山後阿寒湖畔レストハウスの温泉で汗を流してから釧路へと向かっ た
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