2029

山行報告- 霧訪山=きりとうやま(1305m)
長野県 2001.05.21 単独
コース 小野登山口(13.30)−−−霧訪山(14.20-40)−−−登山口(15.15)
まぼろしの花「オキナグサ」を見る

郷里辰野町と塩尻市の境界に標高1305メートルの霧訪山という山がある。
里の海抜が800メートル前後の住民にとって、1305メートルの山は、ごく小さな裏山でしかない。
生まれ育った町(当時は村)の山なのに、最近までその山のあることも、名前も聞いたことがなかった。集落背後にちょこんと盛り上がったごく平凡な里山でしかなかった。

霧訪山=「きりとうやま」(または「きりとやま」)に登るのは今回が3度目になる。
山名がロマンチックというのか、耳障りが良く、近年山岳雑誌に紹介されたこともあって知名度が上がっているらしい。
とは言ってもまだまだ知れ渡ったような賑わいを見せる山とはちがって地味な山である。

辰野町小野の古町集落あたりの畑の途切れた先に登山口がある。以前は見なかった大きな登山口標識が、幟のように目立っていた。
取りつきから階段の急登がしばらくつづく。平日にもかかわらず下って来る4人
オキナグサ(2)
のハイカーに出会った。以前2回登ったときには休日にもかかわらず、一人のハイカーにも出会わなかった。

「御嶽大権」の碑のところで尾根道となる。
「茸山につき立ち入り禁止」の表示がベタベタと貼られ、登山道の両側には立ち入りを拒むビニール紐が山頂までつづいている。ここはマツタケ山でもあり、無粋だが仕方ない。

3種類ほどの山ツツジが点々と彩りを添えている。 最近になって登山道コース整備がかなり進められているようだ。
またハイカーのグループが下ってきた。「いつの間にか、この山も有名になったものだ」と思いながら赤松林の中を、緩急を繰り返しながら登って行くと小さな見晴台がある。これも新しく出来たものだ。春霞で遠望はきかないが、多分北アルプスなどの眺望が良いはずだ。
汗をかくのがいやで、ザックを背負わずにカメラのみ片手にして、ゆっくりと歩いて1時間で山頂に達した。

歩きながら、「山頂にはオキナグサ自生」という表示があったのを思い出し、いつごろ咲くのだろうか、もしかすると今ごろの時期ということがあるかもしれない。淡い期待が頭をよぎった。

さて山頂に着いたとき、チングルマの穂花に似たひと群れの草が見える。まさかこれがオキナグサ?その回りはロープで囲ってある。以前登ったときにも「オキナグサ自生」と書かれていたのもこの場所だった記憶がある。
期待していなかっただけに、「これがオキナグサか!」 正直いって驚いたし嬉しかった。
めったに見ることの出来ない花である。そしていつかは目にしたかった花である。幸運に感謝感激!!
しっかりと写真に収める。

二等三角点の置かれた山頂展望は、文句なしの大パノラマのはず・・・だが、残念ながら今日は霞が意地悪く邪魔している。 新しく設置された展望盤に刻まれている主な山々は 北アルプス、南アルプス、八ヶ岳、蓼科山、妙高山、高妻山、雨飾山、御岳、空木岳など、中部山岳の主だった山は全部眺められたと言った方が早い。

老母介護のわずかの空き時間を利用した山歩きだったが、オキナクザしいう思わぬ収穫を得ることができた。