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山行報告-伏見岳=ふしみだけ(1792m)
北海道(日高山脈北部) 2001.07.25 単独
コース 伏見岳小屋(5.35)−−−五合目(6.45)−−−伏見岳(7.40-50)−−−伏見岳小屋(9.10)===日高町沙流川キャンプ場へ
2001夏・北海道の山旅(6)

伏見岳山頂
昨日東大雪のウペペサンケ山を登ったあと、然別湖を経由芽室町を抜けて伏見岳登山口まで車を飛ばしてきた。
登山口となる伏見岳小屋までの道順がわかりにくかったが、地図とにらめっこで何とか迷わずにたどり着いた。

小屋前の広場で夕食の準備をしていると、芽室山岳会の人が来あわせて「このあたりはヒグマが濃いですから気をつけて」と教えてくれた。

雨が降り出した。小屋には入らずに自動車の中で早々に横になる。天気予報は明日も雨のようだ。
夜中に何かが自動車の回りをうろつく気配を感じる。まさかヒグマではないだろうが気持ち悪い。何しろ周囲何キロかは私一人しかいない山奥なのだから。

目を覚まして洗腸にとりかかる。雨が降っていたが無人の小屋の中でやることができたのは幸いだった。
洗腸が一段落して出発する。今日の予定は標高差1100メートルほどの伏見岳まで登り、そこから稜線のハイマツを漕いでビパイロ岳を5時間かけて往復、そして登りと同じコースを下るというものであった。かなりハードな行程となる。
雨模様の中、このハードコースを歩く元気はない。それにこんな天候のときは見とおしもきかないからヒグマが怖い。今回の山旅のメインの一つであったピパイロ岳をパスしてしまうのは無念だったが天候には勝てない。無理は避けて伏見岳のみに変更した。

小屋から少し先の、林道終点となる大きな駐車場まで行き、そこから歩きはじめる。
登山届をめくって見るとピパイロ岳を登っている人がかなり多い。天気さえ良ければ思うと無念だ。
緩いジグザグを二つほど折りかえすと、とたんに急勾配が待っている。あとはぐいぐいと高度を上げて行く。雨でぬかった道に、たちまちジョギングシューズは泥まみれだ。
標高差で450メートルほど稼いだところで、急になだらかな道に変わる。しばらくは平坦な道で足の疲れが癒える。
しかしこの後は再びいやになるような急登が待っている。ダケカンバの巨木やエゾマツの茂る原生林はいかにもヒグマのすみかという感じだ。腰に下げたクマ避けスプレーを思わず手で確認する。

8合目の表示が過ぎると「もうすぐ山頂」という期待感が広がる。ところがそれからも長い行程だった。樹林がまばらになって9合目の標識を見るあたりから森林限界らしい雰囲気に変わる。しかし濃い霧で周囲の状況はとんとわからない。拓かれた登山道を忠実にたどって行くのみだ。
目の前の高みが山頂か・・・・騙されてまた次の高みを山頂と期待してまた裏切られ、ようやく開けた岩場のピークに伏見岳の標識を見ることができた。

好天であれば日高の盟主幌尻岳を始めとする雄峰が居並ぶ光景が見られたのに、目の前には激しく去来する霧があるのみ。1100メートル余の高度を攀じってきた報酬にしては淋しすぎる。
そう言えば日高の山にもかなり登っているが、展望に恵まれた記憶は少ない。わずかにアポイ岳くらいのものかもしれない。
日高の山とは相性が悪いらしい。
再訪のチャンスがあるかどうかわからない山頂に、こころを残して下山の途についた。

こんな天候の中でも、途中で登って来る男女の二人連れに会った。時間的にはやはり伏見岳までだろう。

下山後日勝峠を越えて日高町へ。チロロ岳登山のため日高営林署に寄って林道ゲートの鍵を借り、沙流川キャンプ場へ入った。
明日の好天を願いながらキャンプ場隣接の温泉で汗を流してほっとする間もなく、集中豪雨のような激しい雨が襲った。この山旅は天候に見放されてしまったようだ。