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登山とカーナビ  (2013.12.6)

【登山口へのアプローチ】

登山を始めたのは20数年前、カーナビという便利なものがなかった時代です。日本百名山に取りつかれて北海道から九州まで、マイカーを駆って飛び回りました。百名山と言えば知名度の高い山々、地元でも遠来の登山者に配慮して、運転者のアプローチに支障を来さないよう道標などの整備が行き届いた山が多く、ほとんどの山は問題なく登山口へたどり着くことができました。

その後日本300名山をはじめ、認知度が日本百名山ほどには高くなく、道標等もあてにできない山へも足を延ばすようになると、アプローチに苦労することがしばしば起きてきました。苦労の末登山口に到着すれば、8割がた登頂したも同然という感じがしたものです。

ところが、最近里山と言われる山へも足が向くようになりました。先日も奥三河の里山を10数座登ってきました。カーナビがなかったら、途中車を止めては地図を見つめて道を確認、徒に時間がかかったり、ときには迷ってしまったり、難儀な場面もあったと思います。知らぬ土地の無名の里山へ出かける気には、なれなかったところです。カーナビのおかげで予定した奥三河の山をすべて登ってくることができました。

とは言うものの、今回も目指す山の近くまで来ていることは間違いないのだが、最後の林道入口がわからない。地元の農家の方に尋ねます。「○○山へ登りたいのですが、このあたりに登山口へ通じる林道を知りませんか?」「え、そんな山は知らないよ」という返事。こうしたことはよくあることです。地図を見ればまちがいなくこのあたり、おかしいな・・・・と思っても、事実そこに住んでいる人は知らないようです。地元ではきっと他の名前で呼ばれているのだと思います。たとえば東山とか西山とか。

登山に出かけるときはたいていの場合早朝から登り始めるようにしています。まだ住民が起き出してこない時刻です。こんなときは尋ねることもできません。
今思えば、カーナビのない時代によくやったと思います。今はカーナビなしではきっと不安にかられっぱなし、地理不案内の小さな山へ出かける気にもなれないと思います。

時代が変わってもう一つ良くなったことは、ネット情報です。人知れない無名に近いような山でも、検索すると登山記録がたいていヒットします。100%完璧ではありませんが、ずいぶん助けになります。

アプローチが楽になったということは、登山者にとっては計り知れないメリットです。 登山も便利な時代になりました。