追想の山々1429
  

木の実ヤ塚(1374m)・薊 岳(1406m) 頂日2000.11.23 単独
麦谷集落(6.20)−−−l林道1100m地点登山口(7.55-8.00)−−−木の実ヤ塚(8.40)−−−薊岳前峰(8.50)−−−薊岳(9.00-9.05)−−−大鏡池(9.50)−−−大又(10.40-10.50)−−−麦谷(11.00)
行程 4時間40分 奈良県 木の実ヤ塚 三等三角点
大又集落には駐車スペースが見当たらなかったので、少し離れた麦谷集落の取りつきに自動車を止める。
渓谷に民家が点在する小さな麦谷集落を抜けると、その先にはもう民家はない。ときおり追い越して行く自動車は山仕事や釣り人らしい。
舗装された林道を登山口へ向かって歩く。車道と言ってもかなりの勾配がある。
麦谷からの長い林道は、ガイドブックによれば2時間40分を要する。林道とは言え、一般道にひけを取らない良い道だ。自動車なら30分もかからないだろう。
勾配の強めの林道は、何回もカーブを繰り返しながら高度を上げて行く。林道だけでかなり高度を稼いしまう。

さらにカーブが頻繁になったあと、ようやく勾配が落ち着いてきた。ゲート用に使う鉄柱のところが、木の実ヤ塚から薊岳への登山口になっていて、目印のテープがつけられていた。1時間35分を要したが、ガイドブックよりかなり早かった。

テープに沿って山道に入る。歩いたばかりのビブラムの足跡がある。杉植林の中を15分ほど登ると、ぱっと明るくなって雑木の尾根である。ここで北へ向かって尾根を辿る。左は植林、右は落葉樹林、すでに木々の葉は散り尽くし、地面が見えないほどに落葉が散り敷いている。風もなく冬木立を通して朝日が斜めに射し込み、実にすがすがしい。
案内書によるとすぐに二階岳だが、何か小さなピークのようなものがあったと感じる程度で、意識することなく通り過ぎてしまった。

小さく下ってから登りに変わるところで、先行する二人の登山者に追いついた。 「早いですねえ」と言われる。林道途中で自動車で私を追い抜いていったにしては、確かにこの二人はゆっくりペースで歩いている。
たちまち二人を後にして、少しうるさい笹の道を登りついたピークが、木の実ヤ塚山頂だった。広々とした円頂に三等三角点があった。山頂はブナなどの落葉樹に囲まれて、厚い落葉に覆われている。いかにも晩秋の山という感じが漂う。葉の茂る季節もいいが、落葉樹の冬木立というのは、また格別の味わいがある。野鳥の囀りもなく、時を忘れたような静寂がこの季節の山の良さだ。樹間の東方に見えるのが、台高主脈の山のようだが、あれは池木屋山だろうか。行く手に見えるのは薊岳、もう一息の距離だ。

二人が山頂に登り着いたのと入れ替わりに、木の実ヤ塚を後にする。小笹の間を下ってから一つピークを越えると薊岳前衛峰だ。
最後の登りに取りつく。岩の露出した険しい登りに変る。岩角に足場を見つけ、潅木につかまって体重を預けて登って行く。たいした高度ではないが、薊岳と言うのは、岩の競りあがった岩峰であることが実感出来る。
稜線に上がって、左へ10メートルほど行ったところが、薊岳山頂だった。テーブルのような大きな岩のある山頂は小じんまりとしている。前回、1月に来たときは雪に覆われ、枯れ木にエビのシッポがついていたが、今日は穏やかな顔で迎えてくれた。
北斜面には先日の雪が少しだけ残っている。大峰山系の稲村ケ岳あたりが見える。
下山は大鏡池を経由して大又へのコースを取る。これは以前登りに使った道だ。険しい岩の痩せ尾根がつづく。50分ほどかかって大鏡池あたりまで来ると、次々と登って来る登山者に出会うようになる。
大又の渓流は紅葉が鮮やかに燃えたっていた。大又から麦谷までは15分ほどだった。
帰りは大宇陀町の「あきのの湯」に寄って汗を流し、帰路についた。    
2000.01.22 雪の薊岳〜明神平はこちら