僕の好きな先生

(2009.5.02)

僕の大好きな木瀬センセイが亡くなった。
享年69歳。肝臓ガンで。
5/2に家族葬でおくられたという。

僕の大好きなキヨシローが亡くなった。
享年58歳。癌性リンパ管症で。
盟友(チャボ)仲井戸麗市と家族に 見取られて旅立った。
5/2のことだという。

どちらも知らなかった。
だって、僕は旅をしていたから。

ん〜、仕事をサボッテぇ〜、アメリカにいたんだよ〜。

キャンプしてたのさぁ〜。ユタ州でぇ。 焚き火の煙ぃ〜、とても蒼くて〜。

レンタカーには、いつも〜、いまも〜キャンプ道具〜。

彼女、インフル騒ぎ〜、浮かれてる時〜

大自然〜。僕を溶かしてっく〜。。。いぇえ〜。

(「トランジスタ・ラジオ」の節で)

昨日は、テントの中で寝た〜。あの娘と手をつないでぇ〜

アメリカ合衆国の国立のキャンプじょおぉぉぉお〜。

ふたりでぇ、シュラフにくるまぁってぇ〜。

夜中に目が覚めると、満天の星。

大きな流れ星が、流れてぇぇえ〜。

明るく光って消えた〜んだぁ〜。

オイラ、あの人の声を聞いたよ。 ホントさ〜。たしかに聴いたんだ〜。

(「スローバラード」の節で)

あの流れ星は、木瀬センセイだったんだろうか。キヨシローだったんだろうか。 ずーと眺めていたけど、2つだけ、大きく流れた。出来すぎだろうか。 悪い予感のカケラも〜ないさぁ〜と、、、歌いたいところだけど、 大切なものを失ったような感じがした。

「僕の好きなセンセイ〜
 僕の好きなオジサン〜」

キヨシローこと、栗原清志クンが 高校の先生をモデルにして作ったRCサクセションの往年のヒット曲だ。

単位不足で、卒業できそうになかった清志クンを、 タバコの匂いがする先生が救ったという。

清志クンが好きだったオジサンは、美術のセンセイだ。
遅刻が多い清志クンを困った顔で注意していたそうな。

僕が好きだった木瀬セイセイは、生化学のセンセイだ。
遅刻どころか、研究所に顔を出さない僕を笑った(困った?)顔で みていてくれた。

木瀬センセイには、大学4年生から大学院修士2年生までお世話になった。

お金のなかった僕は、アパートを引き払い研究室で暮らしていた。 昼間は、先輩の実験時間と重なって装置がバッティングするので、 バイトにいったり、大学の敷地内にある池にカヌーを浮かべてヒルネをしていた。 夜は腐るほど時間があったので、RCサクセションをラジカセ 大音量でかけて、ノリノリで実験したものだ。

研究室で、ほとんど会わない木瀬センセイから、

「トミウチくんは、大学に居ないのに、データがいっぱいでてくるねー。  おもしろいねー」

といって、喜んでくださった。

僕は、とーっても、うれしくなって、 センセイが思いもよらない変わったことを、ツギツギに考えては実行した。

無敵だった。そう小学校3年生の時に住友センセイと過ごした黄金時代のように。

木瀬センセイは、僕が実験を失敗したときも笑っていた。
学会でトンチンカンな発表をしても笑っていた。
修士論文発表会で、「長波長(ちょうはちょう)」を「大波長(だいはちょう)」と 間違ってしゃべっていても笑っていた。
センセイから倍マンを直撃で上がったときも笑っていた(ひくひくしてたけど)。
有名な導電性高分子専門の先生に酔っ払ってプロレス技(ジャパニーズ・レッグ・クラッチ) をかけて、腰を破壊しまったときにも、笑っていた(と思う。たぶん)

アレシロ、コレシロが、ひとつもなかった。

僕のこと、わかっててくれてた。
何から、何まで。ぜんぶ。わかっていてくれた。

そんな木瀬センセイが逝ってしまわれた。

笑って逝ってしまわれた。

ありがとー。木瀬センセイ。オイラ、センセイに救ってもらったよ。

ありがとー。キヨシロー。オイラ、キヨシローに元気をもらったよ。

離れ離れになんか、ならさいさー。










PS。中学3年の時、好きだった女の子RCサクセションのファンだと知って、 彼女の前で、シッタカブリして、

「あんなぁ、いまいのキヨシローって、しっちょる?カッコええなぁー」

と、忌野(いまわの)(いまいの)と間違えて声に出してしまったノダ。

モチロン、即、訂正された。ヒジョーに、恥ずかしかった。チクショウ。
ちょっとポチャッリしてお色気のある娘だったのに。チクショウ。

面目躍如しようと、徳島に来てくれたRCのコンサートに、なけなしの小遣いで チケットを手に入れてでかけていった。

そのコンサートのことは、昨日のことのように覚えている。 小さな町のコンサートなのに、キヨシローは、全開でビンビンだった。 カッコよかった。リンコも、チャボG2も。みんながみんな輝いていた。

バンドの意味を初めて教えてもらったような気がする。

キヨシローが、足を大きく開いてジャンプした。
そう、オイラが、ロックンロールに出会った瞬間だった。

清志郎、ありがとー。あの世で会えるのをたのしみに、してマス。

愛してるゼぇ〜