クィーンシャーロット諸島Day8(7/30)

トラジェント・キラーホエール


「秋になった。心にしみる、極北の紅葉。

私たちが何かを決める時、  人の言葉ではなく、その時見た空の青さとか、  何の関わりもない風景に励まされたり、  勇気を与えられることがあるような気がする。  

僕は結論を出していた。森を買ったのだ。」

<イニュイック-星野道夫>

スーザンの自給自足の生活を 見ていて、強烈に自分の家を建てたいと思うようになった。

これまでは、家族をもっているのに、定住という 概念がなかったような気がする。 心の奥深いところでは、今はどこか、仮の住まいに 暮らしていて、長い長い旅の途中にいるように とらえていたのだと思う。 そう、そして僕は間違いなく通過点にいる。

もうすぐ不惑の歳を迎えるころになって、

大地といっしょに、生きたい。

そして本気になりたい。 そんな想いが少しづつ大きくなってきていた。

家を持ち、田畑とともに暮らし始めた山の師匠U氏の 影響も大きいのだろう。

自分でこまかいところを決めて素敵な木と土の家を 建てた渡爺にもインスパイアされていた。

そして、今、スーザンの暮らしをみていて、 本気で、その土地に根ざした暮らしがしたいと痛切に 思うようになった。

旅人だった僕は、日本中の、世界中の山川海を旅してきた。 素敵な出会いもあったし、好きな場所もたくさんできた。 守らなければいけない場所も。 でも、その気持ちは定住している人々の本気度に 比べると、足元にもおよばない脆いものであったように思う。 全身全霊をそこに、つぎ込んできたか?

と問われれば、恥ずかしい話だけど、首を立てに振ることはできない。

川辺川ダム反対闘争で、寝食を惜しんで奔走する 川漁師の方々、手弁当で駆けつけるスタッフ達。

自分の生まれ育った場所を、子どもたちや次の世代に渡したい。

都会や若者の間では、なかなか受けいれられない想いだが、

そこに、本当に大切なものがある。 それに僕も目覚め始めたのだろう。

自分の足で立ち、自分で食料を調達し、 すなわち、僕がやりたいことは、自立なのだ。

ローズハーバーの小高い草原に座りそんなことを漠然と考えていた。 今日は最終日で、ゆっくりゆっくりパッキングをはじめた。 今日は、週2日しかないモレズビーエクスプローラズのドロップオフ&ピック アップ日。日が高くなってくると、ローズハーバーはがぜん、ニギヤカになってきた。 何日かのツアーを終え、引き上げていく人々が カヤックで帰ってきたのだ。 バタフライツアーズのお客さんはSandspitの宿で いっしょだった人々だった。再会の挨拶。 笑顔笑顔。

バタフライのガイドのゴードが、僕の顔をみて カココトの日本語ではなしかけてきた。 ゴードはNCKの村田番長のツアーをガイドしたことがある。

「ヤスヒロ(村田番長)に、よろしく!」

ゴードはお客さんに愛されているようで、最後お別れは 参加者全員ウェーブでの感謝の意。 いいな。素敵だな。小柄な女性スタッフの顔を生き生きしていて 跳ねる様に動き回っていた。

人口が減少していき、モレズビーのガイドのカートが一番最後に 僕らをピックアップにきてくれた。

ボートに乗り込んでしまったので、スーザンとお別れを言うチャンスを 逃してしまった。遠くからスーザンの小屋をみると、別のゾデアックからおりてきた 人と抱擁の再会。モレズビーでガイドをしているというスーザンの子どもなのだろう。 二人ならんで、コテージへと帰って行く。

スーザンに心の中で手をふった。 また、大好きな人をつれて、素敵なディナーを食べに来るよ。 いつか、きっと。

モレズビーエクスプローラーのガイドは、面白くて 素敵な人ぞろいだけど、カートもいろいろ楽しませて くれた。

カヤックで、ザトウクジラを見た海域で、またまた 彼(彼女?)と遭遇。 尻尾をふわっと持ち上げて潜っていく。

ハリバット漁の操業船に近寄って見物。

そして、小型のボートがいたので、寄っていく。

その時、小型ボートとはなぜか反対方向をみていた Chiggyが声をあげた。

「たいちょお、あれ、オルカとちがう?」

その先に、でた黒く鋭い背びれは!

大きい!間違いなくオルカ(シャチ)ホエールだ。

すげー。さすがChiggy。

「こういうことが、よくあるの。  何かに気をとられている時に、  動物を見逃すことがあるのよ」

カートが目の色を変えて、オルカを追跡。 小さな岩礁に近づいていく。 大きいやつと中くらいのやつ、そしてチビと 3頭の集団。

彼らがねらっているのは、岩礁の上でのんびり ヒルネをしているゴマアザラシたちだ。

岩のすぐ傍まで、巨大な背びれがせまる。 幸か不幸か、キラー・ホエールたちによる ジェノサイドは見られなかったが、 すごいショーをじっくり見れた。

ジョンストン海峡でみた性格の良い シャチたちと違って、移動型(トラジェント) のシャチは凶暴で、トドやセイウチのような 巨大な海獣を襲うこともある。

カヤックで近づかなくて本当によかった。 ゾデアックのシートの下にしまったデジカメを Ryuがとりだして、証拠写真を撮る。

「冷たい風うけてて、指が動かなかったっす。。。」

といいながら、見事カメラに収めたのだからさすがだ。

お腹一杯ツアーの最後にまたまた素敵なプレゼントだ。 しっかり別腹で堪能してしまった。

お決まりの中華料理で打ち上げ!

それにしても、毎日毎日出来事がありすぎて、 こんなに長い話を書く羽目になるとは思わなかったし、 読まされるとは、思わなかったでしょう?

ここまで、つきあってくださった友達のみんな。 本当にありがとう。

そして旅のパートナー、Ryu&chiggyのお二人さん。 また、いつか、こういう旅をしよおぜ。

みんなマックロ。写真をとってもらったのは後ろの飛行機のパイロットさん!

そして、今回も、文句いいながらも、手配をし、 自由に飛び出させてさえてくれた すばらしい友人のせいちゃんに心から感謝。

いろいろ力をくれた「えびがに団」、バズーガ村田、セニョール本郷、 ビニ・ブルース三澤、3人の友に乾杯。