スチュワート川紀行1

summer 2001

ユーコン・カナダは熊に遭ったり、白夜&緑と水にあふれた北の大地をたっぷり楽しめました。 セスナで送ってもらった誰もいない湖での魚釣り&キャンプのはじまり、雪解け水は水温10度、クリスタル・クリアー・ウオーターと呼ぶ! ほんと、これには、いつも感激するのだ。

太陽はなかなか沈まず夜のない日々。 ぐるっと円を描いて、北の山からいきなりまぶしく暑く照りつけ、出てきた北の山に戻っていく。星空はなく、朝夕の焚き火料理も明るい日差しの中。キャンプ地につくとすぐ火を起こす。蚊よけの煙を出し、まずはコーヒーを一杯。 不思議なことに、川の上を漂っているときは蚊がこないのだ。

魚のはねる音、鳥の鳴き声、風とゆれる木々、湖畔のさざなみ。風が止まれば静粛そのもの、見飽きることのない湖面に映る、山と雲と空。一番近い100人の住む町まで直線で200km、もちろん道は無い。 湖を見下ろす山道の無い、残雪の山登り。見渡す限りの山と雪と青空、もちろん誰もいない! 動物以外、登らない奥深い山々。ムースやカリブーのケモノ道のみなのだ。日本の夏山は行列で頂上下では順番待ちなのだという話をしたらあきれてた。 ここは北緯64度、標高1800m(北極圏は約67度から北)連日の白夜。

もちろんガイドの友人と二人のみ、誰もいない!、誰もこない!、誰にも会わない!  川旅(450kmスチュワート川)のはじまり。もちろんテレビも、ラジオも、新聞も、電話もない。  真夜中にやっと太陽が山陰に沈む。

今回の川の上流部(200km)はカヌーで下った人がほとんどいないため、持っていった参考資料が100年前のもの。 金鉱探しに川をさかのぼっていった人たちが書いたレポートを大学の図書館から写してきたもの。これしかないというから、楽しいではないか。 1年のうち半分が冬、マイナス50度になる氷と雪の世界に1年以上、川沿いをキャンプしながらさまよったが金持ちには成れなかったようだ。 無念、残念の思いがノーゴールド・クリークなんて名前の小川に見て取れる。冬になると、はるか数百キロの北からエスキモーが犬ぞリで行商に現れたようだ。雪と氷の世界のほうが夏のブッシュや川より自由に動ける。それに蚊もいないし、熊も冬眠中。 足跡がつくからムースや小動物の猟も可能だ。

毎年世話になっているセスナの熟練操縦士のアニ−は、湖から30マイルはカヌーでは下れない、浅くて岩が多い、という。今回は水量の多い7月始め、雪解けの水は晴天が続くと見る見る水位が下がる。もちろん雨が降り続くとドンと水位が上がる。 我々にとって未知なる川に突入!船を見たことない魚たちが水面下を右往左往している様に心弾む。 きっとこの魚たちは簡単に釣れてしまうだろう。昨夜は天然(それ以外ないのだけれど)のレイク・トラウトを食した。 湖から流れる小川はミルミル枝分かれし、カヌーがやっと通れる幅で、ブッシュの中を進む。 目の前にビーバー・ダム(ビーバーがつくった小枝を山盛りにしたハウス)、行く手をさえぎっている。 この程度では、我々はピクリとも、驚きはしないのだ。  続きは次回、気分が乗ったとき、乞うご期待?

Mr.OGURA