Prime-Optimus
#9 決断
数日後、オプティマス・プライムは司令室にサイバトロンの主要メンバーを集めた。
「私は、かねてよりのメガトロンの勧告を受け入れようと思う。」
開口一発の台詞に、集まった面々は口々に驚愕の声を上げた。
「本気ですか、司令官!」
「ああ。皆の意見を聞かせてくれ」
「俺は賛成です」サンストリーカーがすかさず言った。
「俺は反対だ!」アイアンハイドが声を荒げた。
「私は賛成です。」プロールが言った。「実際、我々に選択の余地はありません」
オプティマス・プライムは重々しく頷いた。
「それじゃあ、デストロンに降伏するんですか?!」
「事実上はそうなるな」マイスターがため息を吐いた。
オプティマス・プライムは机の上で組んだ両手に視線を落として言った。「彼は・・・メガトロンは、サイバトロンとデストロンの両者が対等な身分での併合を保証している。」
「後で気が変わった、と言われませんかね」
「さらに、これは皆にとっては意味のないことだと思うが、長年サイバトロンのリーダーであった私の戦争責任は問わないと言っている」
「彼の言葉を信じるんですか?」ラチェットが彼を見た。
「ああ。彼の言う事は嘘ではない。私もずっと疑っていたが、実際は、彼らが我々にここまで譲歩する理由はないんだ。最後に残った可能性は一つ、彼らは本当にセイバートロン星の統一を望んでいるということだ」
オプティマス・プライムの言葉に、メンバーは黙り込んだ。
彼は顔を上げ、再び口を開いた。「我々はやはり、この惑星にとっては招かれざる客なんだ。今もまた、我々の存在が、人間達の新たな争いの元になろうとしている」
アイアンハイドが椅子を蹴って立ち上がった。「司令官は人間に気を遣い過ぎです!」
「我々は、もう充分すぎるほど長い間この土地に留まった。これ以上いては、人間の世界に悪影響を及ぼすだけだ。我々は、我々のあるべき場所に帰るべきだと思う」
「セイバートロン星にですか」
マイスターが訊くと、オプティマス・プライムは頷いた。「その通りだ」
「我々自身の問題は、やはり我々の土地で解決するべきだったんだ。遠い宇宙の果てにまで内輪揉めの戦火を広げたことは、恥ずべき行為だった。これを決断するのに長い時間がかかったが、ここらがもう引き時だと思う。皆には迷惑をかけた。すまない」オプティマス・プライムが頭を下げると、彼の部下達はぎょっとした。
「何を言うんです、司令官!」
「戦いが泥沼化して、こんなにも被害が拡大したのは私の責任だ。私にもっと分別があれば、この戦争は600万年も前に終わっていたはずだった。私は狭量な正義にこだわって、いつまでも無益な戦いを続けたのだ。そのせいで多くの生命が失われた」
「そんな! あなたに落ち度はありませんよ!」アイアンハイドが鋭く言った。「あなたはいつだって最善を尽くしてきたじゃないですか!」
「少なくとも、判断の責任は我々にもあります。あなたは独断で事を片付けてきた訳ではないんですから」プロールが言った。
「ありがとうプロール。だがやはり、最高司令官として愚かな判断の責任は免れない」
苦しげに歪みながらも、オプティマス・プライムの声にはどこか吹っ切れたような響きがあった。嫌な予感がしてマイスターが視線を走らせると、ラチェットと目が合った。彼も同じことを感じたらしかったが、彼らにできることはもう何もなかった。
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