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王の剣士3 「剣士」
【第一章】


 冥い夜の帳の中で、男は低く笑いを忍ばせた。
 左腕には、先程剣を受けた時の鋭い衝撃が未だに残っている。
 右肩の付け根から腕にかけて、鈍く重い痛みが走るのを感じて、視線を落とした。
 馴れ親しんだ痛みだと、口元を歪めながら思う。
 視線の先、男の右腕は、肩から先が闇に溶けたかのように、そこには無かった。
 忍び笑いが圧し殺しきれない哄笑に変わる。
「もう少し待てよ。もう少し。思う存分、切り刻ませてやる……。楽しみだなぁ」



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renewal:2007.07.16
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