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(4章16節辺り)


 イリヤには王に、父に会ったら尋ねてみたい事が山ほどあった。
 特にこれだけは絶対に。
 突然現れて、池の上にぷかぷか浮いている父を睨み付ける。
「あんたは――俺の母と王妃様と、どっちを好きだったんだ。答えによっては、俺はやっぱりあんたを許せない」
 王は深い知性を伺わせる黄金の瞳を、静かにイリヤに注いだ。
「――どちらとは言い難い。二人ともそれぞれの美しさを持っていて、性格も面白かった。だが」
 イリヤが息を詰めて次の言葉を待つ。
「胸は断然、王妃の方だった」
「!!! わ――、判ります、父上!!」
「判るんかい」
 レオアリスがぼそりと突っ込む。
「うちの母さん絶壁だったし……仕方ありませんよね……」
「いや、そこで納得すんなよ……」
 自分が今まで右往左往していたのはこんな結末の為だったのかと情けなさそうに肩を落としたレオアリスの背後で、ロットバルトが興味深そうに腕を組む。
「確かに難しい問題だ――。顔や性格は灯りを落としても横になっても変わらないが、胸は感触で判るからな……」
 クライフはがしっとロットバルトの肩を掴んだ。
「ロットバルト――俺達、いい友達になれそうだな!」
「いや、なれませんよ」
「すっぱり否定すんなや」
 一方でイリヤはどこか得意そうに腕を組んで頷いている。
「ラナエは結構爆乳なんだよね。いや、当然それだけじゃないけどさ、やっぱりそこは捨てがたいよ。君もそう思わないか? アスタロト様はどう?」
 くるりと顔を向けられ、レオアリスは一瞬口籠もった。
 イリヤの期待に満ちた目と、頭の中に浮かんだアスタロトの姿と。
 だらだらと油汗を流しつつ、レオアリスは拳を握り締めた。
「――あ……あいつの名誉の為に言っておくが、俺は価値は胸だけじゃねぇと思う!」
「上将、それはフォローになってません」
「っせーなぁ! いいだろ、胸無くたって!」
「墓穴掘ってる掘ってる」
「まあそう悲観せずとも」
「そうだよ、君が納得してるなら、それはそれで」
「てめェ等焼かれろ! つーか俺が斬る!」
「相当無いんだなぁ、アスタロト様」



 フレイザーとラナエは離れた場所でそのやり取りを眺めていたが、フレイザーはふっと唇に鮮やかな笑みを刷き、すらりと剣を抜き放った。
「あの男達、殺してもいいかしら」
「止めません。殺りましょう」


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