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BreakTime VI 〜近衛師団月報〜

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【◯◯にしてあげたい事インタビュー】



クライフ 「今回のお題は、じゃーん! 『◯◯にしてあげたい事』! だぜ! この◯◯は誰でもオッケー!」

ク 「って事でこの度俺がインタビュアーを務めさせていただくぜ!」

ヴィルトール「はい、すみません先生、訳が判りません。しかも何で冬の早朝中庭? 中入りたいなぁ寒いし」

ク 「近衛師団月報の記事だよ、12月号の『現場から』コーナー、第一大隊(ウチ)担当だから。締め切り今日で昨日ようやくテーマ決めたからこれから出勤してきたところをキャッチする」

ヴ 「ああ、はいはい。誌面をそんな事に使うんだね」

ク 「じゃまず、俺から!」

ヴ 「お前の分いる?」

ク 「はぁ? ンだそれ3時のオヤツみてェに言いやがってっつーかオヤツもいるけどな!」

ヴ 「はいはい、じゃ仕方ないな、私が記録係やってあげるから始めよう。ほら、さっさとお前の分終わらせないと」

ク 「だから何なんだよその雑な扱い。まいいけどよ。しっかり記録しろよ。んじゃまあ俺ね、俺が何かしてあげたい相手っつーとぉ……いや、俺かぁ、照れるなへへ、俺はー俺はぁー」

ヴ 「……」

ク 「ほら誰にかっつーとそりゃほら、なあ!」

ヴ 「……」

ク 「ま、ほら、フフフフレイザーなんだけどよ、判ってんだろォ! フレイザーに……ヤッベちょ、マジ照れる、照れねぇこれ?」

ヴ 「……」

ク 「まあフレイザーにィー、いやぁはははそのぉ」

ヴ 「おーいインタビュアー替えてー、いや、クライフ替えてー」

ク 「待てコラ! 聞け! 聞いてくれ! 頼むから! 聞いて!」

ヴ 「ほんといつもテンプレで騒がしいねお前は。いいからほら、副将が来たから副将からインタビューしなよ」

ク 「後で俺の話聞けよ!」

ヴ 「はいはい、ほらほら」

ク 「何か腹立つ……。あ、失礼します副将、月報のインタビューです。副将、副将が……」

グランスレイ 「私が?」

ク 「副将が……、フ……フレ……」

グ 「フレ?」

ク 「フレぇー……」

ヴ 「しっかりしろー」

ク 「フ……! フレー! フレー! って上将に言いたいっすよね!」

ヴ 「あーあー」

グ 「そうだな。常に成長していただきたいと思っている」

ク 「あざっす! 感動しました! 次! ロットバルト!」

ロットバルト 「何ですか、来た途端騒がしいな」

ク 「インタビューインタビュー、月報の。お前、上将にしてあげたい事答えろ」

ロ 「上将? まあそうですね、サポート全般ですか」

ク 「フツーだな、例えば」

ロ 「何でも構いませんよ、軍務面でも事務面でも予算面でも体制面でも社交面でも」

ク 「うっ、後光が……っ」

ヴ 「拝もう。ありがとう。いつもありがとう」

ク 「あ、フレイザー!」

ヴ 「え、どこ? あ、あんな遠くに……あ、走ってった……ゴールデンレトリバー、いやシベリアンハスキー」

ク 「フレイザー、おはよう! 今日も一段と……一段と……い……インタビューなんですけど!」

フレイザー 「インタビュー? 私に? 何の?」

ク 「◯◯にしてあげたい事っていう月報の企画でさ、まあ気楽に答えてくれればいいから」

フ 「へえ、面白そうね」

ク 「だろ?! んじゃ、まずー、そうだなー、フレイザーにはー誰がいいかなぁ、誰にかっつーとー」

ヴ 「マイクを噛むなよ」

ク 「お……俺……」

フ 「あら、クライフにしてあげたい事?」

ク 「ちっ……ち違います! いえ、違わないけど!」

フ 「クライフじゃなくて?」

ク 「や」

ヴ 「副将にしてあげたい事は? フレイザー」

フ 「えっ? そんな、やだ、私そんな別に……」

ク 「……」

フ 「そうね、えっと……やだ、どうしよう……。あの……、りょ……料理、かしら……」

ク (滂沱)

フ 「あっ、絶対副将には言わないでね、絶対よ!」

ヴ 「ありがとう、フレイザー。実現する時は教えて欲しいな、応援するよ」

フ 「ええ、そうする。じゃあね、インタビューがんばって」

ク 「……」

ヴ 「フレイザーの手料理か、以前大パニックに陥った記憶が蘇ったなぁ。副将に胃薬用意しなきゃね。あ、ほら元気出せクライフ」

ク 「……」

ヴ 「次、ほら上将来たよ」

ク 「上将ー!!ッ」

レオアリス 「えっ? ああ、クライフか、ちょっと驚いた、おはよう」

ク 「おはようございます! いい天気ですね!」

レ 「そうだな。……どうかしたか? 元気なさそうだけど」

ク 「いやあ、何でも……なん……うっ」

レ 「クライフ? 大丈夫か?」

ク 「か、感激ッス……上将だけッス……俺に優しいの……」

レ 「?」

ヴ 「失恋したばかりで。ま、ほっときましょう。というか上将、今度の近衛師団月報の企画なんですが、インタビューをよろしいですか」

レ 「月報の企画、決まったのか」

ヴ 「はい、クライフが考えたヤツで誰かにしてあげたい事を聞くという企画になりました。それで今、一人ひとり聞いているところなんですが、上将は、アスタロト様にしてあげたい事は何ですか?」

レ 「アスタロトに? そうだな……」

ヴ、ク 「……」

レ 「そういやあんまり考えた事なかったな……」

ヴ、ク 「……」

レ 「うーん……ああ」

ヴ、ク 「!」

レ 「一度限界って言うまで食わせてやりたいかな」

ヴ、ク 「……」

レ 「何がどこまで入るのか見てみた……え、もしかしてそういう事じゃないとか?」

ヴ 「いえ、いいと思います」

ク 「……いや、てことは上将、アスタロト様が限界まで食べるところ見た事がないんですか?」

レ 「無い!」

ヴ、ク、レ 「…………」

ク 「あっざいやした!!!」

レ 「ああ、じゃあ。早朝からお疲れさま」

ヴ、ク 「お疲れ様です!」

ク 「ふー、これでメインどころは全員聞いたか……あ、そういやまだヴィルトールに聞いてなかったな」

ヴ 「聞いてくれ」

ク 「しょうがねぇな、聞いてやるよ、言ってみ?」

ヴ 「クライフが振られたら話を聞いてあげたい」

ク 「ああ?」

ヴ 「あ、振られた話を聞いてあげたい、かな」

ク 「おいコラ」

ヴ 「待てよ、どうせどう転んでも振られるんだから、ただ話を聞いてあげたい、でいいか」

ク 「おいコラ」

ヴ 「バッチリ記事にしろよ、そしたら聞いてくれる人増えると思うし」

ク 「するか阿保ゥ。けっ、無視だ無視、てめーなんか相手にしてたら腹立ち損だ。取り敢えず締め切りまでに間に合いそうだしな。ここで締め切り破るとトゥレス大将に締められるからなぁ。ほら記録寄越せ、あとは原稿作るだけ……」

ヴ 「……あ、ごめん。今の録音されてなかった。悪いんだけどもう一度聞いてきてくれるかい」

ク 「!!! ばかじゃねーのばかじゃねーのばかじゃねーの!!!」



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