本編2  「僕たちは何処へ行くのか」

 

「とりあえず・・・観光でもするかー?」

「そやねー・・・!」

越後湯沢の駅に降り立った我々2人は、予想外の雪の少なさに萎えた気持ちを奮い立たせるように、見知らぬ街への探索に乗り出した。

 

観光案内所で地図を貰い、観光できそうな場所を探す。駅の近くに大きなイラスト入りで「熊野神社」とある。

最初に旅の安全を神仏に祈っておくのも悪くないので、ここへ少し足を運んでみることにした。

工事現場みたいなところから裏庭みたいな場所を抜け、急な階段を昇ると、崖のてっぺんにショボいお社がポツンとたっていた。

「なにこれ?」

「・・・たぶん熊野神社」

「・・・」

「・・・」


気を取り直して地図を開く。大きなイラスト入りで「宝寿庵」とある。

重要文化財だというから、こことは違いさぞかし立派な寺院ではなかろうか。 そう思って次の目的地をここに決める。

コンクリート舗装されたフツーの道をトボトボテクテクと歩く。

30分ぐらい歩いただろうか。民家と民家の合間に古い寺のような建物が見つかった。朽ちたような門。

そこを抜けると、全ての窓・戸を板で封印した古い建物がポツン・・・とたっている。

「・・・」

「・・・」

「・・・なんだこりゃ」

「・・・」


気を取り直して地図を開く。 大きなイラスト入りで「白瀧酒造」とある。

ここは銘酒「上善如水」の蔵元で、なんかお酒のテイスティングができる、コミニティなんたらというのがあるらしい。

工場見学みたいなもんかな?と足を運ぶ。30分くらい歩いただろうか。

全ての門にシャッターが閉まった大きな白い工場が目の前に現われた。

「・・・土日祝日は閉館だってさ」

「・・・」

「あー・・・」

「・・・」

 

こうして午前の観光タイムは終了した。

しだいに口数が少なくなり、「負」のオーラみたいなのが2人の周囲を包み始めたのはこのころからであろうか。

 

※熊野神社 これだけ。

 

本編3

 

 


 

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