第一話「ニューヨークサスペンス」


放送日:84年4月5日
脚本:辻 真先
絵コンテ:安彦良和
演出:浜津 守
作画監督:安彦良和



『悠宇、おまえは覚えているか?1990年、おまえが5歳の時に出来たオウストラル新島のことを。サモアの東南約2000km。オウストラル島の隣に誕生したのでオウストラル新島と名づけられた。・・・ところが・・・しばらくして島の沈没が伝えられ、地図からオウストラル新島は再び完全に姿を消し去られた。・・・それはウソだ。オウストラル新島は沈んではいない。厳然として南の海に存在している。では、何故そんなウソが必要となったのか?島に巨大な謎が潜むことを、巨大組織がかぎつけたためだ。・・・わたしにもしもの事があったら、ニューヨークへ行け。そこには友人のDrウェイブがいる。彼は以前ニューヨーク大学で教えていた学生の一人だ。私同様、オウストラル島の秘密にとりつかれた男だ・・・。』

(Drウェイブ・・・一体どんな人なんだろう?)

飛行機で単身ニューヨークへやってきた田神悠宇

はじめての外国に浮かれ気味なところ、地下鉄でさっそく荷物をかっぱらわれてしまう。その上スラム街で暴走してきたスポーツカーにあわやはねられそうになる。すんでの所で身をかわした悠宇、その様子を見たスポーツカーのドライバーは「ふふっ・・・ニンジャの子孫らしい。」と一言残して去っていく。彼こそが、巨大複合企業GAILの御曹司・ロッド・バルボアであった。



そのGAILの高層ビルからニューヨークを見下ろす、GAIL総帥ロイ・バルボア

「あいかわらず薄汚い眺めだ。エドガー・アラン・ポーの住んでいたころといささかも変わらん・・・。」
「なにぶん、ムシケラどもの巣くう町ですので。」
「ムシケラか・・・そういえば、どうした、あの学者は」
「ぬかりはありません」
「まあ、よかろう。不潔なムシを駆逐するのがキミの役目だ」
「こころえております・・・」
などと、悪代官のような事を言っている。

「ロッドはまだか」
「は」
「遅い。首に縄をつけてでもつれて来いと私は言ったぞ・・・たとえ孫とはいえ、甘やかすわけにはいかんし、約束の時間に遅れるようなら私はあわんぞ」

「間に合ってますよ」
すでにロイの社長机の前で腕をくんでいるロッド。その神出鬼没ぶりにロイは狼狽を見せる。

「おひさしぶりです、おじいさん。ごきげんは、いかが?」



そのころ、悠宇はようやくDrウェイブの住所までやってきていた。
「でも、ホントにこんなところに・・・」
薄汚いビルの階段を上っていく悠宇。轟音が響く。
「う!なんだぁ!?」
おどろいて窓の外を見ると、ハンマークレーンが隣のビルを解体している真っ最中。
「冗談じゃないや・・・」

52号室、ウェイブの部屋のベルを鳴らすと、以外にも中から聞こえてきたのは女の子の声。
「だーれー?」
いささか安心して「あ、あの、ぼく、東京から来たんです。Drウェイブにお会いしたくて・・・」
「東京から?あんた誰?何のよう?」
「父が、ウェイブさんの知り合いで、それで・・・」
「ふーん・・・一人、あんた?いいわ、入って」
鍵が外される。ホッとしてドアを開ける悠宇の眼前に現れたのは巨大な犬。壁際に追い詰められる。
「およし!アルゴス、その子変な人じゃなさそうだわ」
ドリスどうしたんだい?」
素っ裸で出てくるウェイブ。その股間をモップで隠すドリス。「兄さん!もう!」



悠宇はウェイブに事情を話すが、どうもウェイブは頼りなさゲである。妹というドリスに尻にしかれてるし。不安になって、「や、やっぱり、ぼく東京に帰ります」となる悠宇だったが、ウェイブはそれを引き止めて、オウストラルのスライドを見せてくれる。
「いいかね、これは8年前のオウストラルの記録だ・・・。」

だが、その最中何か危険を察知した悠宇。
「・・・・・?」
「どうしたんだい?」
「しっ・・黙って・・・!!ふせて!みんなふせて!」
突如となりのビルを解体していたハンマークレーンが、ウェイブの部屋を木っ端微塵にする。クレーンは確実に彼らを狙ってくる。悠宇の機転もあり、なんとか逃げ出すことに成功した一行。
「いったい誰がこんなことを!」
「きまってるさ、GAILのしわざさ。」
「GAIL?」
「ああ、やつらはボクを殺そうとしたんだ。オウストラル島の秘密を知る僕を・・・」
帰る所を失い途方にくれる一行。だが、Drウェイブは「そうだ!船長に相談しよう!」と目を輝かせる。



そのころ、GAILではロイとロッドの会話が続いていた。

「お言葉ですが、海底マンガンやケチな石油ぐらいじゃあ、ぼくは興味を感じませんね。まだフットボールにあけくれていたほうがマシだ。」
それがさもしいと言うのだ。
「!」
「オウストラルの秘密とはそんなモノではない。全世界・・・人類の明日を決めるようなものだ・・・たぶん・・・」



「ね、キミ、意外とやるのね。もっとドジな子かと思ってたわ。」

公園でDrウェイブの帰りを待つ悠宇とドリス。ドリスは悠宇に「見直しちゃった。お友達になれそうね。あたしドリス!よろしく!」と両手をさしだす。

「ぼ、ぼく、田神悠宇。よ、よろしく。」照れながら手を握り返す悠宇。
「ユウ?ふふっ、ヘンな名前!」
「あ、アハハハ」「うふふ・・」と、結構いいカンジのところにDrウェイブが帰ってくる。
「おーい!喜べ!船長がオウストラル島へ連れて行ってくれるそうだ!」



船長との約束の場所はハドソン川24番埠頭。

ハロウィンの行列にまぎれて移動を開始する一行だったが、刺客たちも変装しており、パレードの最中一行を襲う。

「にっ逃げろ!」
「どうしたの!?」
「あいつらだ!紛れ込んでいる!」
だが、ついに追い詰められた一行。後ろは川である。
「えらく手間をとらせた。こんな野暮なものは使わずにすませたかったが、しかたあるまい・・・これであの世に行ってもらう」拳銃をつきつけられる。
「そんな!僕たちは何も・・・」
「可哀想だがDrウェイブ、あんたはオウストラル島について秘密を知りすぎる・・・悪く思うな!」

引き金が引かれる刹那、悠宇はドリスとDrウェイブとともに川へとダイブした!

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感想
田神博士の独白で始まる第一話。驚くのは、その部分が実写であることだ。
暗闇をバックに、古い地球儀と男の手。独白にピッタリとあわせて演技する様は、「このアニメは何かちがう」と思わせるのに十分であった。

また、しょっぱなからはじまる地下鉄でのかっぱらいとのおっかけっこ。このシーンの場面構成の上手いこと上手いこと。特に、逃げる黒人の少年が、地下鉄の改札をピョンと飛び越えていくのに対して、悠宇が一瞬だけ躊躇して、それでもやはり飛び越えるシーンなどは、見事だ。

なお、この回では、ゴーグのゴの字も出ない。オープニングを見なければ、アクションのやたら多い世界名作劇場?とか思ってしまうかもしれないほど、現実的な話であった。