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テトラクテュス  [G] tetractys


[G] tetractysτετρακτυς, tetraktyuus, hee)
[L] tetradium, n, [E] tetrad

  ギリシア語で、「四個の組」「四組系」或いは 「第四」の意味。典型的に は、プトレマイオス派(ヴァレンティノス派)グノーシス主義において、原初、 知ることのできない「至高の上なる先在の父」より、光の存在流出が生じた時、 「先在の父(プロパトール=ビュトス)」はその女性的位相であり、第二至高 アイオーンである「エンノイア=シーゲー(静寂)」に、アイオーンの種子 (sperma)を置き、これによって、「万物の父」とも称される、第三アイオー ンの「ヌース(叡智)」または「独り子(モノゲネース)」が生み出されたと される。ヌースの女性的位相は、アレーテイア(真理)と呼ばれ、この四柱、 二組の至高アイオーンが、プレーローマにおける、原初の「テトラクテュス」、 即ち「四つ組」を構成した。また更に、「父(パテール)」と呼ばれるヌース より、ロゴス(言葉)とゾーエー(生命)の対が流出し、これらの二つから、 アントローポス(人間)とエクレーシア(教会)が流出し、こうして根源の 「オグドアス」が成立する。

  しかし、以上の説明は、エイレナイオスに依拠したものであり、ヒッポリュ トスは、これとは幾分異なる神的世界の流出の構造を報告している。ヒッポ リュトスは、エイレナイオス報告における至高第二アイオーン=シーゲーの存 在を述べず、至高なる先在の父=プロパトールは、女性的位相とは無関係に、 三組の至高アイオーンを流出したとする。この説では、「テトラクテュス」は 成立せず、また「オグドアス」も成立しない。しかし、「三十アイオーン」界 とも呼んでいる三十のアイオーンで構成されるプレーローマは、ソピアーを第 三十アイオーンとしてではなく、第二十八アイオーンとして、なお成立する。

  参照 →〈オグドアス〉,→「オグドアス・プレーローマ構成表




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