Le
Système de Structure
de l'Hiérarchie Céleste キリスト教天上位階論(天使位階表)
【説明】 : キリスト教における「天使論」は様々に展開された。中世哲学の盛期において、天使とは、類としての個物即ち、「純粋概念存在」とされた。純粋概念存在とは、言い換えれば、「類」を規定する概念そのものが天使の存在であると云うことであり、従って、天使は「個物(レース)」であって、同時に、その概念形相のクラス全体であり、それ故、天使は、個々の人間が、「人間」と云う集合クラスに帰属するような意味での帰属類は持っていない。天使は、その一個体が、即ち「類」であり、個々の天使は、
それぞれ別の類に属している。
しかし、人類が、更に上位のクラス、例えば、「霊長類」とか「哺乳類」と云ったクラスに属するような意味で、類を具現する天使もまた、上位の類に帰属している。諸天使は、上天の神の玉座の周りで、そのクラス・階梯に応じて神を取り巻いており、彼らは一種の「聖なる合唱隊(Chorus Sanctus)」を構成し、神の榮光を讃美し続けているとされる。
天使の「合唱隊」は、天使の「位階(階級)」に応じて天上の位置が定まっており、これを、「天上位階(Hiérarchie Céleste, Celestial Hierarchy, Hierarchia Caelestis=ヒエラルキア・カイレスティス)」構造と呼び、キリスト教の教父たちに始まり、様々な賢者・聖人が、天上位階論を論じ、天上における天使の位階構造を主張した。それらの人々には、聖アンブロシウス、聖ヒエロニュムス、プセウド(偽)ディオニュシオス・ホ・アレオパギテース(註 *1)、聖グレゴリウス I 世大教皇、聖トマス・アクィナス、セヴィリアのイシドール、モーゼス・マイモニデス等がいた。これらの人々は、「天使の位階」を、7段階、9段階、10段階、更に11段階とする説を主張した。また段階数が同じであっても、位階天使の名称や順序が異なっている説もあった。
これらの多様な天使位階論=天上位階論は、聖トマス・アクィナスが、偽ディオニュシオスの三位階を一組として、この組を三つ積み重ねて、全9段階を天上位階とする説に、「祝福」を付与した結果、カトリック教会における聖トマスの権威の確立と共に、これが、カトリック教会のカノン天上位階構造となった。
聖トマス・アクィナスの説でもある、偽ディオニュシオスの天上位階構造は、「セラフィム、ケルビム、座天使」の三位階を上位位階とし、中位位階として、「主天使、力天使、能天使」の三位階を置き、下位位階として、「権天使、大天使、天使」の三位階を置くものであった。
聖座教会(カトリック教会)は、この位階構造論を正統と認めたが、16世紀の宗教改革の後、初期プロテスタントたちは、この位階論について再度、議論すると共に、聖トマスの正統位階論を拒絶した。
(このように、天使の位階を九階梯と定めたことで、膨大な数の天使に関し、具体的に誰がどの位階に帰属し、また各九位階には、どういう名の天使がいるのかと云うことが問題にもなった。キリスト教聖書カノンに登場し、具体的に名称が分かっている天使の数は極めて少なく、そこで、『聖書外典』やユダヤ教の『タルムード』、またユダヤ神秘主義思想カッバーラの『ゾハールの書』などの伝承に登場する天使で、天上位階の階梯構造を満たした。その結果、『新約聖書・ヨハネの黙示録』に登場する、「神の前に立つ七人の大天使」の一人であるガブリエルは、「大天使」の位階であるが、また「座天使」の位階にもあり、更に「第八位階=ケルビム」を統括する天使[智天使]の位階にもあると云うようなことが起こった)。
(天使たちは、位階に応じて、合唱隊を構成しており、天使の階級に応じて、九種類の天的合唱隊が存在するとされる。これらの天の合唱隊は、最高位天使であるセラフィムを代表として、すべて神を讃美する合唱を行っている。『旧約聖書・イザヤ書』6章3に依れば、セラフィムは、神の玉座の傍らにあって、「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、その榮光は全地に満ち充ちる」とうたい、神を讃美しているとされる。この言葉は、ラテン語に翻訳され、聖座教会の讃美の歌や祈りとなっている。"Sanctus, Sanctus, Sanctus Dominus Deus Sabaoth, Pleni sunt Caeli et Terra Gloria Tua." この讃美のラテン語では、『イザヤ書』の言葉とは違い、「全地」が「天地」となって、「天」も含むのと、「その榮光」であったのが、「汝の榮光」と変わっている)。
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以下に表にして示すのは、カトリック教会が正統と決めた、聖トマス・アクィナスの説による九段階天上位階表である(それはまた、偽ディオニュシオス・アレオパギテースの説でもあるが)。その他の説については、取りあえず、様々な説があったと云うことで、目下、具体的に示すことはしない(ダンテ・アリギエリが『神曲』のなかで表明した位階論及び、通常、眼にすることのない、ヘブライ語の天使位階名が使用される、『ゾハールの書』の位階論については、これらだけを別位階論の例として、取り上げる。ダンテの場合、「大天使」と「権天使」の位置の上下が変わっているだけで、他は、聖トマス=偽ディオニュシオスの位階論構造と同じである)。 |
__ カトリック正統天上位階構造表(聖トマスの天上位階論) __
位 |
位階 |
名称 |
単数形 |
複数形 |
複数 カタカナ 名称 |
基本語源 |
上位 |
第一位階 |
熾天使 |
Seraph |
Seraphim |
セラフィーム |
[H] MYiPhaReS |
第二位階 |
智天使 |
Cherub |
Cherubim |
ケルービム |
[H] MYiBWReKh |
第三位階 |
座天使 |
Thronus |
Throni |
トロニー |
[G] Θρονος |
中位 |
第四位階 |
主天使 |
Dominatio |
Dominationes |
ドミナーティオーネース |
[L] ―― |
第五位階 |
力天使 |
Virtus, f |
Virtutes |
ウィルトゥーテース |
[L] ―― |
第六位階 |
能天使 |
Potestas, f |
Potestates |
ポテスターテース |
[L] ―― |
下位 |
第七位階 |
権天使 |
Principatus |
Principatus |
プリンキパートゥース |
[L] ―― |
第八位階 |
大天使 |
Archangelus |
Archangeli |
アルカンゲリー |
[G] ’Αρχαγγελος |
第九位階 |
天 使 |
Angelus |
Angeli |
アンゲリー |
[G] ’Αγγελος |
|
注)ラテン語単数表記の場合、「f」と単語の後に記されているものは、女性名詞。他方、何も記していないのは、すべて、男性名詞です。また、カタカナ表記は、天使の合唱隊を示すため、「複数形」を表記しています。ラテン語の長音を表記したので長々しいですが、普通、省略して表記します。(これらを、長音を短く発音すると、上から下へ、次のように天使位階の名称はなります : セラフィム、ケルビム[チェルビム]、トロニ、ドミナティオネス、ウィルトゥテス、ポテスタテス、プリンキパトゥス、アルカンゲリ、アンゲリ)。
(これらの天使の「位階名称」は、英語のものを参考に、Lewis and Short で調べたものですが、このLatin-English Dictionary (Oxford) は、わたしの持っているラテン語文法書の紹介では、「最良の辞典」だとされていますが(確かに規模的には、大辞典です)、普通の英語の辞典などには載っている「天使位階表」が、どうもないようです。個々の単語で調べたのですが、確認の取れないものが幾つかあります。英語で、virtues と云っている、「力天使」は、virtue に対応するラテン語の単語は、virtus に決まっているのですが、この単語で「天使の名称」と云う説明が出て来ません。……なお、「基本語源」は、Lewis and Short に載っていたものを引用しています。ヘブライ語の場合は、ローマ字転写しました)。
追記)ラテン語表記では一体何なのか、インターネットでラテン語テクストがないか探したのですが、英文テクストはありましたが、ラテン語は見つかりません。聖トマスの Summa もそうですが、書籍ならあるのですが、有料ですし、入手するのに時間がかかります(そう云えば、「用語集」のため、英文やコプト語単語の英語表記確認のため、Nag Hammadi Library in English を探しているのですが、見つかりません。他方、ハンス・ヨナス Hans Jonas の代表的な「Gnostic Religions」は英語版を注文して入荷しているのですが、未だ取りに行っていません。これも、日本語訳だと、原語は何かが分からないためです。ヨナスのこの本は、英語での書き下ろしのようです)。
ディオニュシオスの「天上位階論」のラテン語テクストは手に入らなかったのですが、掲示板で書いたように、イタリアのサイトを検索すると、ダンテの『神曲』のおそらくトスカナ語版と思えるテクストが見つかりました。『天国編28歌』の終わりの方に、九天使階級の名が、トスカナ語で出てきます。『神曲』の翻訳が見つからないので、参照できず、また原文はよく分からないです(脚韻が綺麗に揃っているので、詩として特殊な文法形式になっているのかも知れません。持っているイタリア語辞典が小さいためか、トスカナ語であるためか、辞書に出てこない言葉があるので余計に分かりません)。そこで、順番はともかくとして、ダンテの『神曲』では、天上位階の天使位階名が、次のようになっています :
Serafi, Cherubi, Troni, | Dominazioni, Virtudi, Podestadi, | Principati, Arcangeli, tutto d'Angelici です。現代イタリア語辞書からすると、Virtudi と Podestadi の「di」の意味が分かりませんが、複数形語尾ではないのかも知れません。現代イタリア語では、これらは、di を外した形で複数形になります(単複同形の単語です)。わたしの調べて想定した処では、Seraphim, Cherubim, Throni, | Dominationes, Virtutes, Potestates, | Principatus, Archangeli et Angeli ですから、トスカナ語では、複数形を、-i の形にする単純化が行われていたとすると、ほぼ合致します(ラテン語の第二変化の複数主格は、-i で終わります。わたしの挙げた複数形の -es, -us は、古典ラテン語の第三変化の幾つかの変化形の複数語尾です)。
また、インターネットの米国の或るサイトで天使表を出している人で、書いていることからして、かなり知性のありそうな人にメールを送って尋ねた処、自分も実はよく分からないが、Malcolm Godwin の "Angels" と云う本では、こういう説明があると返答をくれました。このゴドウィンの本なら、おそらく邦訳されていて、わたしは半分ぐらいまで読んだ本のことだと思えるのですが(同名ですから、同じ人物でしょうし、1990年半ば頃に書かれた「天使論」の本だとなると、同じ本だと考えるのが自然です)、ただ翻訳だと全部カタカナになってしまうので、英語では、どう云っていたかは興味深かったです。ゴドウィンの説明では、「座天使」の Thrones は、ヘブライ語で「オファニム」と云うそうです。これは、確認できませんが、ヘブライ語で、「オファン」乃至「オファニム」が、「車輪」のような意味で、元々「座天使」は、車輪の姿をしているのだそうです(Thrones も、このギリシア語原語の thrones も、両方共、「座」「椅子」のような意味なのですが)。従って、座天使がオファニムだと云うのは、「意味的に」対応しているのだとも云えます。 |
__ 偽ディオニュシオス天上位階構造表(ギリシア名天上位階表) __
位 |
位階 |
名称 |
単数形 |
複数形 |
複数 カタカナ 名称 |
基本語源 |
上位 |
第一位階 |
熾天使 |
Seraph |
Seraphim |
セラフィーム |
[H] SeRaPhiYM |
第二位階 |
智天使 |
Cherub |
Cherubim |
ケルビーム |
[H] CheRWBiYM |
第三位階 |
座天使 |
Thronos, ho |
Thronoi |
トロノイ |
[G] Θρονοι |
中位 |
第四位階 |
主天使 |
Kyuriotees, hee |
Kyurioteetes |
キューリオテーテス |
[G] Κυριοτητες |
第五位階 |
力天使 |
Dynamis, hee |
Dynameis |
デュナメイス |
[G] Δυναμεις |
第六位階 |
能天使 |
Eksousiaa, hee |
Eksousiai |
エクスーシアイ |
[G] ’Εξουσιαι |
下位 |
第七位階 |
権天使 |
Arkhee, hee |
Arkhai |
アルカイ |
[G] ’Αρχαι |
第八位階 |
大天使 |
Archangelos, ho |
Archangeloi |
アルカンゲロイ |
[G] ’Αρχαγγελοι |
第九位階 |
天 使 |
Angelos, ho |
Angeloi |
アンゲロイ |
[G] ’Αγγελοι |
|
注)とりあえず記しますが、偽ディオニュシオスの「天上位階論」での天使位階のラテン語名が、どうもはっきり分からないので、調べていた処、ディオニュシオスの位階論表として、英語で天使位階が記されていると同時に、補足的に、何か見慣れない言葉が追加されて記されている表がありまし
た。それらの単語は、形から云えば、ギリシア語の単語の複数形で、意味的にもギリシ
ア語として、天使位階(天使の階級)に相応しいものです。そこで、考えてみると、偽ディオニュシオス・アレオパギテースは、本来、ギリシア語著作家のはずです。ラテン語で呼ぶ時は、名前が偽ディオニュシウス・アレオパギタとなります。彼の「天上位階論」は元々ギリシア語で記されていたはずです。これが、中世にあって、ラテン語に訳され普及したのでしょう。上の表は、ギリシア語での天使位階名称ですが、ラテン語では何と言うのかあやふやと云うか、どうもよく分からなかった、主天使・力天使・能天使・権天使が、ギリシア語で、それぞれ名前が明記されています。(天使・大天使は、元々ギリシア語であり、セラフィム・ケルビムはヘブライ語、そして座天使もギリシア語だと分かっています)。これらのギリシア語の単語の意味を調べると、色々な意味があるのですが、共通しているのは、「複数形」になると「権威・権能・権力・力」などの意味が出てくることです。(なお、英語では、九段階の天使位階名は、それぞれ、Seraphim, Cherubim, Thrones, Dominations, Virtues, Powers, Principalities, Archangels, Angels と呼びます)。
セラフィム・ケルビムは別格で、座天使は、「神の座=臨在」を意味すると考えると、後の四つの天使位階名は、複数形だと、要するに、神の「権能・権威・力」を表現しているのだと考えられます。天上位階論にヴァリエーションがあるのは、主に、セラフィム・ケルビム・座天使と、大天使・天使のあいだの位階においてです。キュリオテテス・デュナメイス・エクスシアイ・アルカイとは、天使位階として、聞いたことがありませんが、これらの言葉をラテン語に翻訳すると、先に聖トマスの位階表で示したラテン語の名前になります。訳し方によって、色々ヴァリエーションがが出てくるはずであり、天上位階論は、それを提唱した人物が、ギリシア語で位階名を述べていたのなら、ギリシア語で比較せねばならず、ラテン語訳された場合も、元のギリシア語では何であったのかを問題にすべきでしょう。このようにして、初めて、天上位階論の主張者による食い違いと云うものが吟味できるはずです。実際、9位階でない場合は、「権威・権能」と云うような意味の名称が位階名として入っているのであり、7位階などの場合は、同じような意味の四つの名称の二つを削ったのだとも考えられます。9位階より多い場合は、もう一つ、ヘブライ語の天使名が入ることがあります。
……未だよく分からないのですが、ギリシア語・ラテン語・ヘブライ語の天使位階名が、色々な人において、色々な対応関係を付けられていると云うのが実状のようです。或る日本語サイトで、ディオニュシオスの天上位階論を表にして、更に、座天使は、オファニムとも云うと説明がありましたが、オファニムは、『ゾハールの書』の天上位階に出てきますが、座天使と対応する位置にあるとは思えません。これらは、結局、天使の位階が、ギリシア語(ギリシア教父の場合)で名前と順序が色々あり、またラテン語(ラテン教父・中世神学者たちの場合)でも、名前と順序が色々あり、更に、ヘブライ語では、その伝承やシステムで、また名前と順序が色々とあり、結局、誰かが、適当に、これらのあいだに、それらしい関係を付けて対応させているのが実状だと云うことになる可能性が高いです。この場合、一応のカノン的な対応表があれば、それを基準にできるのでしょうが、どうも感じる処では、そのようなものはないように思えます。とまれ、現段階では、こういうことが考えられると云うことです。 |
__ ダンテ・アリギエリの 『神曲』 中の天上位階構造表 __
位 |
位階 |
名称 |
単数形 |
複数形 |
複数 カタカナ 名称 |
基本語源 |
上位 |
第一位階 |
熾天使 |
Seraph |
Seraphim |
セラフィーム |
[H] MYiPhaReS |
第二位階 |
智天使 |
Cherub |
Cherubim |
ケルービム |
[H] MYiBWReKh |
第三位階 |
座天使 |
Thronus |
Throni |
トロニー |
[G] Θρονος |
中位 |
第四位階 |
主天使 |
Dominatio |
Dominationes |
ドミナーティオーネース |
[L] ―― |
第五位階 |
力天使 |
Virtus, f |
Virtutes |
ウィルトゥーテース |
[L] ―― |
第六位階 |
能天使 |
Potestas, f |
Potestates |
ポテスターテース |
[L] ―― |
下位 |
第七位階 |
大天使 |
Archangelus |
Archangeli |
アルカンゲリー |
[G] ’Αρχαγγελος |
第八位階 |
権天使 |
Principatus |
Principatus |
プリンキパートゥース |
[L] ―― |
第九位階 |
天 使 |
Angelus |
Angeli |
アンゲリー |
[G] ’Αγγελος |
|
注)ダンテ・アリギエリの『神曲・天国篇』第二十八歌において、ダンテは、グレゴリウス大教皇の霊に呼びかけます。以上の「天上位階」表は、そこで表明されたものです。なお、グレゴリウス教皇の天上位階論構造表は、九位階構造で、上位三位階及び下位二位階は、聖トマスの表と同じで、違っているのは、名称からは同じ位階天使の位階の順です。 |
__ ユダヤ神秘主義思想『ゾハールの書』における天上位階構造表 __
位 |
位階 |
名称 |
単数形 |
複数形 |
複数 カナ名称 |
基本語源 |
十 位 階 |
第一位階 |
マラハ |
Malach |
Malachim |
マラヒーム |
[H] ―― |
第二位階 |
エレル |
Erel |
Erelim |
エレリーム |
[H] ―― |
第三位階 |
セラフ |
Seraph |
Seraphim |
セラフィーム |
[H] ―― |
第四位階 |
ハイヤー(*) |
Hayyah (*) |
Hayyoth |
ハイヨート |
[H] ―― |
第五位階 |
オファン |
Ophan |
Ophanim |
オファニーム |
[H] ―― |
第六位階 |
ハムシャル |
Hamshal |
Hamshalim |
ハムシャリーム |
[H] ―― |
第七位階 |
エル |
El |
Elim |
エリーム |
[H] ―― |
第八位階 |
エロー |
Eloh |
Elohim |
エロヒーム |
[H] ―― |
第九位階 |
ベネ・エロー |
Bene Eloh |
Bene Elohim |
ベネ・エロヒーム |
[H] ―― |
第十位階 |
イシュ |
Ish |
Ishim |
イシーム |
[H] ―― |
注) ヘブライ語は、まったく分からないので、以上は、英文表記されたヘブライ文字を単純に転写しているだけです。「-im」と云うのは、男性複数形を作る語尾であるので、機械的に、im を外した形を単数形としました。ただこの場合、Hayyoth はどうなるのか分かりません(* なお、確認が必要ですが、Hayyah という形の名詞(あるいは、-ah という語尾に終わる女性名詞)の女性複数形が、Hayyoth であるように考えられます。−また、これと関連するのですが、Elohim というのは、『旧約聖書・創世記』に出てくる神の名[称号]でもあり、この呼称は、女性名詞 Eloh に、男性複数語尾 -im を加えて造られていると考えられ、これ故、『創世記』の神は、名前からして「両性」であるとされます。2015:1124)。「bene 何々」と云うのも、特定の意味があったはずですが、忘れたのか、元々知らないのか、現在不明です。 |
Les Noms Anglais et les Images 英語での呼称と天使のイメージ
天使の階級秩序を表現するとき、日本語以外の言葉を使うときは、英語の名称が使用されるのが一般なようです。以下に、英語での呼称と、その読みを、カタカナで示した表を提示します。英語の単語をどう発音するか、カタカナで表記するか、必ずしも一意的に決まってきませんが、一般的な形です。
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英語での天上位階、天使の9階級の呼称
位 |
位階 |
名称 |
単数形 |
複数形 |
複数 カタカナ読み |
特徴・意味・役割 |
上位 |
第一位階 |
熾天使 |
Seraph |
Seraphim |
セラフィム |
「燃え耀く者」の意味。六翼。神の玉座の傍らで神を讃美する。 |
第二位階 |
智天使 |
Cherub |
Cherubim |
ケルビム |
四枚の翼と顔、多数の目を持つ。エデンの園の入り口を守護する。 |
第三位階 |
座天使 |
Throne |
Thrones |
スローンズ |
「王座」の意味。神の義を象徴する。車輪の姿ともされる。 |
中位 |
第四位階 |
主天使 |
Dominion |
Dominions |
ドミニオンズ |
天使の監督者。美しい人の姿で、一対の翼を持つ。 |
第五位階 |
力天使 |
Virtue |
Virtues |
ヴァーチュズ |
予兆や奇蹟の出現を管掌する。天的な力やエネルギーの象徴。 |
第六位階 |
能天使 |
Power |
Powers |
パワーズ |
戦の天使で、悪霊と戦う。完全武装し、盾や剣を帯びる。 |
下位 |
第七位階 |
権天使 |
Principality |
Principalities |
プリンシパリティーズ |
地上の国や教会の守護者、王冠と杖を帯び、芸術等に人を導く。 |
第八位階 |
大天使 |
Archangel |
Archangels |
アークエンジェルズ |
A)「偉大な天使」、B)上位の天使。Aの場合、ケルブ等の別名。 |
第九位階 |
天 使 |
Angel |
Angels |
エンジェルズ |
最下位の天使。使者の意味で、神の命を受けて地上で活動する。 |
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天使のイメージ・絵画的に表現した天使の姿
(続)
補足 (*1 原始キリスト教の初期関係人物として、「ディオニュシオス・アレオパギテース」という人物がいた。厳密には著者不明の一連の文書を、この初期キリスト教の人物の著作であると中世では解釈した為、長く、この人の著作としてきたが、近世以降、疑問が生じ、まったく別人の著作であることが分かり、作者については、「プセウド pseudo-」(偽・疑似)を冠して呼ぶようになった。本来の著者からすれば、自分が自称した訳でもないのに、勝手に作者を決めて、後になって違うと分かれば、「偽」などと呼ぶのは、実に非礼なことであるが、西欧文化には、こういう非礼な習慣がしばしばある)。[return]
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