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シニア海外ボランティアになるまで

1.動機  私は会社勤めをしていたかなり以前から、海外でボランティア的な仕事をしたい、という夢を持っていました。
 私が56歳のとき、駅でJICAのシニア海外ボランティアの応募ポスターを見かけました。そのとき、これだ!と思い、早速応募することにしました。
 当時私は未だ会社に勤めていましたが、自分の意思を通せたのは、家内の私の生き方に対する理解と協力があったからこそと、とても感謝しています。

2.応募条件  シニア海外ボランティアになるには40歳から69歳までの、健康で意欲があれば誰でも応募できます。但し、人に伝えられるだけの何かの技術を持っていることが条件になります。
 幸い私は30年以上、システムエンジニアとしてコンピュータ技術の仕事をしてきました。それも大型コンピュータのシステム開発からマイクロコンピュータのプログラミングまで、コンピュータのほぼあらゆる分野の仕事を手がけてきました。このため、IT分野の殆どの分野に対応できるのでは、と思いました。
 また、海外で仕事をするので英語は必須ですが、私は若いときから英語に興味を持っていて、常日頃から英会話のクラスに通ったり、1年間アメリカ人の英会話学校の先生を自宅にホームステイさせるなどして英会話力の向上に努めてきました。

3.取得資格  将来的に自分の能力を客観的に証明できる資格が必要なことを、かなり以前から感じていました。
 このため、常日頃から資格取得の勉強に努めてきました。IT関連については、当時通産省の情報処理技術者資格の「上級システムアドミニストレータ」を取得しました。また、英語については「TOEIC775点」をとっています。
 
4.合格までの経緯  JICAの募集は毎年春と秋(4月、10月)の二回あります。応募に先立って、JICAから公開されている応募案件を調べ、自分に最も相応しい案件を選びます。
 当時、私は案件内容の冊子を郵送してもらいましたが、今はJICAのホームページから閲覧できます。(応募用紙は郵送してもらう必要があります)
 案件内容はほんの数行しか書かれていないので、その文面から自分のやるべき仕事を考えて決めます。案件は二件まで応募できますが、私はヨルダンとフィジーのに二つの案件に応募しました。
 私は4月の春募集に応募しましたが、一次試験は書類審査で5月に合格通知がきました。二次試験は英語の試験と面接があります。英語はヒアリングと文法の試験がありますが、それほど難しい内容ではありませんでした。その後に面接試験がありましたが、応募動機や自分の持っている技術そして異文化に対する適応性等について質問されました。試験官は5名ほどいましたが、とても和やかな雰囲気で進められました。二次試験の発表は6月にありました。
 私は幸い二件とも合格しましたが、当時フィジーは軍事クーデターが発生していたのと、アラブの文化にとても興味があったのでヨルダンの案件に決めました。

5.研修受講  派遣までの間に研修がありました。これは派遣に先立って外国で暮らすときの一般的な注意や心構えを10日間程かけて受けます。これには安全や健康について重きがおかれます。
 研修の後に三週間ほどの語学研修があります。これには簡単な英語のテストがあってクラス分けされました。私はAクラスでしたが、他の国に派遣される人達と一緒で、いろいろな分野の思いを同じくする人達と打ち解けられた楽しい三週間でした。

6.派遣までの準備  研修が終わり11月の派遣までの間は、外国で暮らすための準備や案件内容からの技術的な習得に時間を費やしました。特にIT技術は進歩が早く、常に新聞や雑誌、参考書から最新の技術を、常に自分のものにしていく努力が必要で大変ですが、それがまた面白くもあります。また、赴任先のどんな技術的な要求にも応じられるように、予め送る荷物の多くが参考書で占められていました。
 また、私の場合最初の一年は一人暮らしになるので、家内から料理の手ほどきを受け、また健康のためにかなりな量のサプリメントも荷物に加えました。お陰さまで2年間殆ど病気もせずに元気に過ごすことができました。

7.ボランティア的な生き方  私は定年退職後の生き方を以下のように考えています。
 学校を出てから30年以上、専門的な仕事をしてきましたが、それは社会に対する貢献という意味もありますが、結局は一企業のためのものでした。そして定年退職してぷっつりとこれらの技術と経験が全然生かせなくなってしまうのは、何とももったいないしまた残念だと思っていました。シニア海外ボランティアは40歳から69歳まで参加できますので、定年退職したあとも10年近くは自分の経験と技術を外国の他の人のために生かすことができます。これは中高年のシニアにとって大きな生きがいとなると思います。
 外国の、特に開発途上国の人達から大いに感謝され、またその国に住んでいる人達と感情を共にして交流し、異文化の中で生活できることは、何にも変えられない貴重な経験になると思います。
 私はこのヨルダンでの生活は、私の今までの人生の中で最も輝いていた二年間だったと思っています。

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