奈良女子大学・記念館
旧奈良高等師範学校本館 重要文化財





平成15年11月5日(水)晴れ、記念館を見学。


記念館は、平成6年2月26日から平成6年12月25日にかけて改修工事が行われた。
記念館の一般公開 平成15年11月1日〜11月7日(金)
一般公開は平成9年から春、秋2回ずつ、テーマを変えて行われています。


 奈良女子高等師範学校(現奈良女子大学)は、奈良市の市街地にあり、明治41年3月に設置され、42年5月から授業を開始した。校舎の工事は41年2月の本館の着工に始まり、42年10月には主要な建物が完成した。
現在残る旧本館(現奈良女子大学記念館)及び守衛室はこのときの建物で、本館は42年10月守衛室同年12月の竣工である。工事は文部省建築課が行い、京都帝国大学建築部長で奈良出張所長心得の山本冶兵衛が実務の中心的役割をはたした。
 旧本館はキャンバス中央南寄りにあって東に面して建ち、旧本館の真向かいに正門、正門の北西に守衛室が建つ。


正面は東大寺二月堂


 旧本館は木造二階建で、外壁の一部をハーフティンバー形式とする。正面中央に玄関が取り付き、南側に便所が付属している。屋根は桟瓦葺で中央に塔屋が付き、正背面に各二箇所、両側面に各一箇所のドーマー窓を設ける。一階は中央南北に廊下が通り両側を校長室・応接室等の部屋とし、二階は全体を講堂とする。講堂の天井は、中央部を二重に折上げ、小壁に化粧の窓を設ける。



 一段と高くなっている二階天井中央部
の花形飾りは換気口になっています。
熱気が屋根から自然に外へ逃げていくよ
うに設計されています。

 



[そこで管理人の勝手な提言。]
 ・洋風折衷 建築設計図集の中で「建築技師小野武雄・著」「小野武雄・著 総論・ 総論U 第三採光と換気」で詳しく述べています。

 電動式の換気装置のない時代、HPの写真のように、ただ部屋の四隅にガラリを付けている、だけではありません。自然吸気とそして天井裏に逃がした排気は外部に巧みに誘導されて、排気されるように設計されています。

 何時から一般住宅の建築に於いて採光はともかく、換気に神経を払わなくなったのでしょうか。
メーカはいろいろな機種の換気扇を市場に提供しているにも係わらず、業者は一部の居間やトイレ、バス、洗面等しか設備をしていません。施主のオプションで施工すると言うのが普通ではないでしょうか。今、高気密の部屋の中に換気不良と新建材や、接着等の化学反応で、シックハウス徴候群、アトピ等、身体の不調に悩まされている方がたくさん居られるなか、行政はその方面の指導が少しかけているのでは、と思われます。
 明治43年頃、建築技師、小野武雄は住宅を建てるについて、熟練の大工さんによって施工するのもよいが、少し単価が上がるかも知れませんが、建築家に設計管理を依頼すれば、今後長い間、快適に生活することが可能であると、述べています。・・・・・



 記念館一般公開に戻ります。

壁のコーナーを突出して交差し天井面に
漆喰塗りの化粧張りを設けて廊下の交差部を囲み
天井の板張りも中央の照明を囲むように
斜めに張っている。

階段の勾配はゆるく手摺も低い。
親柱の上部浮彫と手摺の透彫に講堂の腰板
と同じ模様を使っている。ホールの天井は講堂と
同じ高さで漆喰塗りの大壁を新設の
補強梁が連結している。

設計図面の一部です

右の設計図面には山本冶兵衛の印鑑が
捺印されています


あとがき
初秋の奈良を訪ねて
 平成15年10月30日(木)に辰野金吾の建築した
奈良ホテルを見学に行くのが目的で奈良で遊びました。その折に正倉院展を奈良博物館に見学し、お茶の接待を受けました。
奈良女子大のお嬢さんたちが、お茶会の運営とお琴の演奏等なさっていました。そのとき頂いたパンフレットに一般公開の記事が掲載されていました。再度11月5日に奈良を訪ねたしだいです。



[別記]
記念館の解説は、記念館HP
http://koto.nara-wu.ac.jp/kinennkan/
より引用しました。
管理人。
2003・11・7
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