洋風折衷・建築設計図集U附解説
第5号 小住宅設計(第11図より第14図に至る)



洋風折衷・建築設計図集U(附解説)及び、HPに掲載している全ての図面類
(今後公開する設計図面)、は古谷三代吉のオリジナル設計図面です。
現在管理人が保管している、論文、書籍群、イラスト図面、取り壊された建物も含み、
現在重文等に、指定され保護されている建造物の当時の写真類は全て
三代吉が残したものであり著作権は全て管理人にあります。2004・1・1
in Memory of Miyokiti Furutani

 はじめに
 平成16年は、別書籍、建築設計図より全てイラストですが、立面図、平面図、坪数(平米)、
総工費、坪単価、設計解説(明治40年当時)を洋風折衷設計図集Uとして小野武雄の論文を再び掲載したく思います。(洋風折衷設計図集「附解説」・・・この専門書に全く忠実に記したいと思います。この書を参考にして頂く時にはメートル方に換算し、また当時の物価指数を割り出して計算してください。)

 この附解説には、一般住宅、大邸宅、別荘、写真館、医院、門設計、四阿屋設計(1,2,3)、
小商店改築設計、商店設計、時計店、西洋料理店、ビヤホール設計、、事務所、銀行設計、
図書館、小学校、音楽堂、寺院、その他の設計と附解説をイラスト図案として簡単ですが掲載します。 
平成16年1月3日    管理人記す。

第5号 小住宅設計(第11図より第14図に至る)

階下坪数 30坪7合5勺
工費ー1、537円50銭 坪當りー50円
階上坪数 21坪
工費ー672円 坪當りー32円

総工費=2、295円

第11図は書斎及び椽側(たるき)を示したもの、即ち西北面建図で、



  第13図は玄関正面を現したもので、中程にある3個の円形の部分は空気抜き穴で、之には金網を張ります。室内の空気は天井に抜け、此所に導かれるので、換気の点に於いても申し分ありません。
第13図正面図共黒色の部分は硝子障子を示したものです。



 上記の小住宅の解説は、内外部に西洋風を加味し、最もローコストを旨として設計しました。屋根は瓦葺きで、外部はセメント漆喰塗りです。
セメントは叩き塗り、或いは掃け目入りに致すべきです。
 
 第12図、第14図中の黒色の部分は壁であります。柱は室内に於いては描(えがく)も粉はしきを以って、壁と同様黒塗りとしました。
玄関、広間、書斎等の天井は廻り縁のみ木製とし、平らな部分は漆喰ぬりにいたします。
 この種の建築に在りては、天井板に上材を用いることは経費の上より許さず、さりとて杉の無節赤板位は使用したいと思うも、是亦案外高価ですから、いっそ前記の如く漆喰塗りにした方が宜しい。漆喰の色は、白が厭味がなくて宜しいが、好みにより適宜の薄色を配しても悪くはありません。
この間取りに於れば、客は玄関広間より階段を昇りて、直ちに階上の客室に至り、婢僕(はしため、しもべ)は裏階段より茶菓を運び得るのです。
それから都合によっては階下の夫妻寝室を階上寝室に移し、下の方を客室に用いても宜しいのです。
平成16年1月3日      

ここに掲載している論文、写真、設計図面、イラスト画像は個人的にプリントアウトするなどの場合を除き、著作権法上、権利者に無断での複製、配布、ホームページ・
その他の書籍等に掲載は禁じられています。






図書館設計 
図書館設計