図書館設計 
第40号 (第119図より第121図に到る)



はじめに管理人の勝手な提言。
私の住んでいる京都市の地域社会にも数年前に小さな図書館が建設されました。
そこで提言ですが、地域に溶け込んだ小さな図書館が設計されるとき、又それが
コンペという方式で設計されるときなんかに、このようなレトロな図書館設計なんか如何ですか。
この図書館設計の原案は1909年に建築技師、小野武雄が原案と大筋な仕様を提案しています。
このような図書館が建設され地域社会に貢献できれば・・・という思いで一杯です。
是非参考にして戴ければいうことがありません。管理人.2004・6・4

公共図書館設計図案 第119図

立面図


第120図  階上面


第121図  階下面
資料による尺度、200分の一、で描かれています。  
 注) 1909年に設計された原案です。当時のまま正確に、平米数及び仕様、積算等表現します。現在の数値に換算して見て頂きたいと思います。

建坪 48.94坪
工事概算 25.418円  坪當 (約530円)

 欧米に於いては、図書館は各町村の代表的建築物で、又個人の記念建築物として尊重されます。近時我国に於いても其の必要性を認め、各地方に建設されるようになりました。去れば其の設計には十分の注意を払い、様式外観共に厳格荘重を第一の要件とします。建物の性質上、又貴重なる書籍の保存上不燃質物を以って全部を形成すれば上等ですけれど、予算の都合上、本館を木造とした場合には書庫だけは必ず不燃物質を以って建設し、本館と隔離し、廊下続きにすることが必要です。
 本設計は総体石造りとなし、床は総て鉄筋コンクリートで造り、各階段も亦鉄筋コンクリート及び鉄構造としました。
書庫は四半円形とし、扇形に書架を配し、其要には監視室を置き、方各面の監視及び書籍の貸渡しを司る所としました。中央の塔内は円形の広間にして、階上広間の周圍壁には、床より高さ8尺5寸のところに幅5尺の鉄製廻り廊下を設け壁に沿って、書架を天井際迄取り付け、新館図書の陳列棚とし、小鉄椅子及び円形階段を以って昇降に便します。
 中央の円形階段は更に延長して屋上に出られるようにします。即ち円塔の屋根は銅板で張り包み、左右本屋根の陸屋根は鉄筋コンクリート打ちアスファルトラバロイド混合重畳葺とし屋上運動場に供す。階上は閲覧室に用い、階下は休憩室に充てます。
本邦に於いては全ての建造物を問わず、一般に傘下駄の置場を是非とも設けねばならぬので、其の配置には困難を感じます。本館の階上階下に入り口を設けたのも、畢竟此の必要に迫られてであります。
先ず正面階段下の入り口より、閲覧者の一部に入りて下足場を経て受付所に到り、切符を受け、直ちに階上に昇りて目録室に於いて、書名を策引し監視所に於いて書籍の借り渡しを受け、閲覧室に入るのです。
 女子閲覧室は階下に設け、各休憩室、事務室、湯沸室、又階下に属す。湯沸室は小使室兼用にして外部出入り口を設けました。
 蓋し図書館は学校教育の及ばざる所を補うと同時に、読書趣味を鼓吹し、高尚なる志想を普及させる為の物ですから、其の繁昌するに従い、小児室、講義室、参考品陳列室、書籍調査室、装釘室、委員評議室、記念室等幾多の室を要すれども、本設計に於いては坪数を出来る限り節約し、経費を減じて、小建物とし地方の小図書館或いは個人の記念図書館に適するようにしました。故に講義室を要する場合には階下の新聞閲覧室及び休憩室を流用して差し支え在りません。

2004・6・4    管理人
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