■定食考

定食というとどんな物を想像しますか?。とりあえずご飯、おかず、味噌汁の3つがあれば定食って感じになりますよね。自炊に慣れてくると、そういう料理を作って食べたいなぁって思う事もあると思います。
またいわゆる和定食は、おかずと味噌汁の種類をこまめに変えれば、結構バリエーションを増やす事ができます。そうすると結構飽きが来ないんですよ。そんなわけで、個々の単品料理を組み合わせて普段のご飯として食べ続けるためにも、ぜひ定食に挑戦して欲しいものです。それでは定食に必要な白飯、おかず、味噌汁それぞれについて、定食という観点から考えていこうと思います。

1.白飯

白飯は、定食を一から作ろうとしたとき一番手間がかかる献立になります。味噌汁やおかずは材料や行程を考慮すれば一から作るにしても20分程度で完成させることができますが、白飯は米を炊飯器/鍋で炊くしかないので、米を洗ってから炊き上がるまで最低40分はかかります。また、お米に何かを混ぜる以外にはあまり工夫ができないので、おかずや味噌汁に比べてバリエーションを増やす事ができません。

そこでよしを的提言なんですが、工夫しにくい白飯について毎日悩むよりも、普段は思い切り手を抜いておかずや味噌汁に日々の工夫をしてみる事にしましょう。定食にバリエーションを持たせるのに白飯に毎日知恵を絞るのは骨が折れますし、白飯のために毎度20分余計に時間がかかるというのも効率が悪いというものです。
具体的には、休日などにまとめて炊いて冷凍しておき、食べる時に電子レンジなどで解凍する、という方法をとるのが手間がかからなくて良いと思います。実際のご飯の炊き方については【初心者編】〜3.とにかく飢えをしのぐにはを参照してもらうことにして、白飯についてはあまりこだわらない方が日々の定食をこなしていくには良いように思えます。
もちろん、それでも白飯に飽きてきた場合や、もっといろいろ試してみたくなった場合ば別です。特におかずの素材数が少ない場合は、豆やひじきなどを加えてバリエーションを増やす事で栄養バランスを保つ事も必要です。詳細は別頁を参照してみてください。

2.おかずと味噌汁

上に書いたとおり労力をさほどかけずに工夫できる料理なので、毎日いろいろ試すのにうってつけです。 ただし、個々の詳しい工夫点については各項目を参照してください。その代わりここでは、いかに費やす労力と時間を少なくするかについて考えていこうと思います。
まず、どうして労力と時間を節約しようとしてるのか、について考えてみます。そもそも定食は、少なくとも3品以上の料理を同時進行的に作り、最終的に全品が出来たてになるように作るのが目標になると思います。でも自炊を始めたばっかりの人が、いきなりそんな高度な事をしようとしても無理だと思うんですよ。だからと言って、各調理が同時進行でなければ時間がかかり過ぎますし、全てが出来たてじゃなかったら美味しくないと思うんですね。そこで定食を毎日続けるためにも、無駄な労力を減らしつつ上の目標をめざした方が良いと思ったわけです。

そこで、おかずを毎日作る上で欠かせない工夫(手抜き?)のポイントを考えていきたいと思います。
調理方法にもよるんですが、おかずはともかく味噌汁には加熱が必要ですよね。そうすると当然加熱の時間ってのがかかってくるわけです。加熱中に他の調理をするので無駄にはならないという考え方もありますが、加熱に長く時間がかかるのは省エネ的観点から言ってももったいないですし、基本的に料理の時間は短いほど楽なわけで、そこに工夫の余地がある事になります。
単純に加熱にかかる時間は素材の火の通りにくさに比例するので、味噌汁の具に火の通り易い素材(ワカメや豆腐など)を使うのがベストという事になります。具体的には、昆布などのだしと味噌であらかじめ汁部分を(もちろん加熱して)作っておいて、食べる寸前に素材を入れてちょっと加熱する事で、手間も時間もガス代もかなり減らす事ができます。
また同時に加熱が必要なおかずを作る場合は、料理の最初に火の通りに食い素材(葉っぱ類や練り物、もしくは肉や芋類でも薄く切ったもの)を火にかけておかずを作り始め、それが出来上がる頃に味噌汁に素材を入れて火にかけると個々にかかる時間と全部にかかる時間を短縮できます。また焼き魚やソテーなども、あらかじめ解凍しておいて薄く切ったりする事で、比較的短時間に完成する事ができます。もちろん生で良いおかずの場合は、ただ切ったりするだけなので、さらなる時間の短縮ができます。
特にどうしても調理に時間が取れない時は、生で食べられるものや茹でるだけの料理だけで構成すると、レンジでごはんを解凍している間に定食を完成させることができます。

また白飯の場合と同様、週末などにおかずを作りだめする事で、さらに早く調理を済ます事ができます。特に冷凍の可能なソテーや網焼き、春巻き等を作りだめしておくと、加熱が必要な料理を毎日加熱せずに食べる事もできます。ここも詳しくは各項目に説明を譲るので、そちらを参照してみてください。

■いろいろ味噌汁

白いご飯のお供といえば、やっぱり味噌汁です。これに漬物と煮物(もしくは魚料理)があれば立派な和定食になるわけです。また、一人暮らしの食卓にとって、味噌汁はかなり効率的な栄養供給源になりえます。ぜひ皆さんも味噌汁に挑戦してください。

1.味噌汁を作るのに必要なもの

道具:
  • 小鍋
    普通の煮物と異なり、それほど大量に作る事はないので小さい鍋で充分です。また、芋などの火の通りが悪い素材を使うのでなければ、早く熱が伝わるような薄手のゆきひら鍋なんかがオススメです。
  • おたま
    味噌汁をお椀に盛り付ける時や、味噌を溶き入れる時に使います。レンゲやカレー用の大きめのスプーンなどでも代用できます。
  • 菜箸
    味噌を溶いたりするのに使います。これも普通の箸でも構わないと思います。
材料:
  • 味噌
    味噌には色々は種類がありますが、特にこだわりが無ければどこの味噌でもいいと思います。個人的には白味噌は豚汁や具に大根などの根菜を使った時にあい、赤味噌はワカメや豆腐、その他の海産物を使った味噌汁にあうような気がします。詳しくは【調味料辞典】の味噌のところを参照して下さい。
  • だし
    味噌汁の味は意外にだしに左右されるので、実は手を抜けない素材です。面倒な時は顆粒状の物が便利ですが、時間がある時は煮干し、昆布などを入れた方が格段に美味しいです。その選択ポイントとしては、具が植物系の場合は動物系の出汁、動物系の具の場合は植物系の出汁を使うと、出汁の風味がケンカしないので良いみたいです。また鳥や豚などの肉を使う場合はその素材からでる出汁を有効に使うと美味しくできます。

2.味噌汁の作り方

基本的には他の煮物と一緒ですが、その目的によって2種類の作り方ができます。野菜や肉をたっぷり入れ一品おかずとして作る場合(以下いろいろ入れるモード)と、ちょっとしたもので手早く作っておかずの品数を増やすために作る場合(以下簡単モード)です。と言う事で、ここではその2種類に分けて解説していこうと思います。

<簡単モード>
手順:
  1. 他の料理(煮物等)でコンロを使っている時に、もう一つのコンロ(電子レンジや伝熱調理器などを利用すると良いです)でやかん等にお湯を沸かしておきます。
  2. 味噌汁に入れる素材を食べやすい大きさに切っておきます。またワカメ等の乾物は、他の料理を作り始める前に味噌汁用のお椀の中に水と一緒に入れて戻しておきましょう。
  3. 他の料理が終わったらその料理で使っていた鍋をさっと水で洗い、先ほど沸かしておいたお湯とだしの素(顆粒状もしくは濃縮タイプ)を入れて火にかけます。
  4. 鍋のお湯が沸騰してきたら素材を入れ少しの間煮て火を止めます。
  5. 味噌をおたまに半分くらいとって鍋の中に入れ、おたまの中に煮汁を入れる様にして菜箸で解きほぐします。
  6. お椀に入れて出来上がり。
簡単モードに向いている素材:
簡単モードは、他に煮物などを作っている事を前提としているのでそれほど火の通りが早く手間のかからない素材を主に使います。
  • 豆腐+ワカメ
    定番の組合せなんですが、いずれもそれほど加熱する必要もなく簡単モードにむいた素材です。
  • 長ネギ、にら、ほうれん草等+油揚げ
    長ネギ、油揚げは長めに加熱した方が味が染みて美味しいので電子レンジなどを使って温めておくと良いです。ほうれん草やにらなどの青菜類はあまり火を通さないでおきましょう。
  • みょうが+ナス
    ナスはあくがあるので5分くらい水に浸けておきます。みょうがは薄くスライスしておきます。また、ナスのせいで煮汁が青くなるのでビックリしない様にしましょう。味噌を入れるとあまり目立たなくなるのであまり気にしないでおいても良いです。
  • きのこ類
    しめじやしいたけ、なめこなどは味噌汁にとても合うので、おすすめの素材です。あまり火を通す必要もないのでお手軽に使えます。ただなす同様に煮汁に色がつくので、びっくりしないようにしましょう。
  • 乾物
    出汁が出るものに関しては、戻し汁を取っておいて味噌汁が完成する直前に足します。乾物自体は火を通す必要がないものがほとんどなので、他の素材に火が通った段階で鍋の中に入れればOKです。
他に、トッピングに貝割れ大根やみつばなど入れると味が引き締まりますし、また簡単モードにもかかわらず見た目もカッコ良くなります。
<いろいろ入れるモード>
手順:
  1. 味噌汁に入れる素材(根菜や肉)を食べやすい大きさに切ります。また、乾物はあらかじめ戻し始めておきましょう。
  2. 鍋に水を張って、昆布を一切れ(2〜3cm四方程度)入れます。
  3. 続いて根菜や肉などの火が通りにくい素材を鍋に入れ、火にかけます。
  4. 鍋のお湯が沸騰してきたら、火の通りやすい素材(青菜類)を入れ少しの間煮て火を止めます。
  5. 味噌をおたまに半分くらいとって鍋の中に入れ、おたまの中に煮汁を入れる様にして菜箸で解きほぐします。
  6. 冷ましながら火が通るまで待ちます(最低15分程度)。この間他の料理を作りましょう。
  7. 食べごろになったら火にかけてひと煮立ちさせ、乾物などを入れる場合は入れてからお椀に盛り付けて出来上がり。
※乾燥昆布や煮干し等をだしに使う場合、遅くても20分くらい前には小鍋の中に入れて水を注いでおきましょう。もし面倒なようなら、その前の食事が終わった時に鍋に水を張ってだしを入れておくとよく味が出ていい感になります。
いろいろ入れるモードに向いている素材:
このモードでは他に鍋を使う料理が無い場合に、味噌汁にいろいろ具を入れてしまおうというのがコンセプトです。したがって究極を言えばご飯にこのモードの味噌汁でも食事が成り立ってしまうくらい多種類の素材を入れるのがコツです。具に関しては、時間をかけて加熱する余裕があるので「簡単モード」と異なり火が通りにくい物、つまり動物性の素材(魚、肉類)や根菜類を入れる事ができます。イメージ的にはいわゆる豚汁を思い浮かべて頂ければOKです。
  • 根菜類
    ジャガイモ、サツマイモ、里芋、にんじん、ゴボウ、ニンニク、生姜、玉ねぎ
  • 青菜類
    ニラ、チンゲンサイ、小松菜、もちろんこれらは最後に入れ加熱のし過ぎに注意しましょう。
  • その他野菜
    ニンニクの芽(茎)、鞘インゲン(エンドウ)、長ネギ、白菜、キャベツ
  • 練り物等加工品
    こんにゃく(要下茹で)、かまぼこ、がんもどき、油揚げ、厚揚げ、
  • 乾物
    高野豆腐、乾燥ワカメ、麩、
  • 肉・魚
    豚、鳥、それらの挽肉、赤身の魚、それらのすり身
と、ほとんど考え付くものは何でも入れていいと思います。後は組み合わせですね。

いろいろ入れる場合は味がしみるのや火が通るのに時間がかかるので、組み合わせるおかずは簡単な物(例えば納豆や山芋等を使った生のまま食せる簡単な料理)にするとスムーズに料理できます。また普通に加熱しただけでは味が上手くしみないという場合は、全ての具を入れた後味噌汁が沸騰しそうになったら火を止めて冷ますととても味が染みますので試してみましょう。
味付けのポイントは、味噌の味がちゃんと素材にしみるようにあらかじめ必要な味噌の量の半分くらいを入れて煮る事です。特に大根などの薄味の素材は味噌味がしみないとあまり美味しくないと感じる方も多いと思うので、この点には注意しましょう。

勘違いしないで欲しいのは、基本的にいろいろ入れるモードの方が手抜き度の高い食事になります。おかずを別に作らなくとも栄養的には満足できる献立構成になるので、面倒な方や時間の無いけど栄養にこだわる方にはおすすめです。特に時間の無い朝ご飯などの場合は、夜のうちに全部の材料(具と調味料)を鍋に入れて一回沸騰させてその後火を止めて放置しておくと朝にはご飯を電子レンジで再加熱するだけですぐ食べられる朝ご飯ができるので試してみましょう。