その日の真夜中、王様とナディムは王子の寝ている部屋にそっとしのびこみました。

王子はぐっすりと眠っていました。王様はふるえながら剣をぬきました。
しかし王様はそれ以上動くことはできませんでした。王様に愛する子供を刺すことなどできる
はずがなかったのです。けれども、レダン姫と結婚したいという気持ちも、とても強いもので
した。王様はもう一度わが子を刺そうと手を上げましたが、やっぱりできませんでした。
3回目に王様が手を振り上げたときです。部屋が突然ぱっと光り、レダン姫が現れました。
王様は姫の美しさと体から発する光を見て、腰をぬかしました。
レダン姫を目の前にして、口もきけませんでした。
「私は陛下と結婚する気持ちはありません。」と姫は言いました。
「私はただあなたを試したのです。陛下がほんとうに王子を殺してしまったら、
きっと、つぎにはもっとひどい事を平気でするようになるでしょう。」
そういうと姫は30通りにつぎつぎと変身し、最後にはまばゆいばかりに美しく輝き、
王様の前から姿を消してしまいました。王様はショックを受け、ひとり深い悲しみにくれました。

レダン姫はそれからも
誰とも結婚することはなく、姫の美しさは永遠に変ることがなかっ
たということです。 その後、だれも姫の姿を見ることはありませんでした。
村の年寄りの話しによれば、金の橋は、森の奥深く木々に閉ざされて残っているそうです。
時々、今でも明るい月の夜
きらきらと何かがレダングノン山のほうで光るのが見えますが、
それは金の橋が光っているのだということです。
訳:Miki
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