Puteri Sanggul Berjurai

サンガル姫

 

 
 むかし、森の奥深く、落ちぶれて、貧しい暮らしをしている二人のお姫様が住んでいました。

姉の名はグノン・バライ姫、妹の名は サンガル・ベルジュライ姫といいました。サンガル姫は、

とても美しくて魅力的でした。

 父王は二人がまだ幼いときに亡くなり、グノン姫とサンガル姫は母のお妃に育てられま

した。ところが不運は重なりお后もまた毒を飲まされて亡くなられてしまったのです。

 それからは後ろ盾になってくれる親戚もいなかったので、二人は森の中の壊れかけた小

屋に住むようになったのでした。

 ところでお母様は、いまわのきわに、サンガル姫は将来、中国人の皇子がフィアンセと

して現れるだろうと予言していました。姉の姫はふだんは、フィアンセのことを話題にし

ませんでしたが、ときたま思い出したように

「遠くの人と結婚するなんていわないでね。」と言うのでした。

そんな時、サンガル姫は何も言いませんでしたが、心の中ではすぐにでも皇子のところへ

飛んで行きたいと思っていました。将来のだんな様のことをあれこれと思い描き、お母さ

まのように王妃になることを夢見ていたのでした。

 それから幾度も満月が来ては去っていきました。ある日のこと、グノン姫は狩りに来た

王様の兵士とめぐりあい、結婚することになりました。グノン姫は夫の国へと共に行く

事になり、姉は妹に、いっしょに来てくれるように と頼みました。

 しかしサンガル姫は「私はここにずっと住み、ここで死にたいのです。」

と繰り返し言ってその申し出を断ってしまいました。

こうしてサンガル姫は一人で暮らすことになったのでした。

 姫がとても貧しいのを見かねて、とおりがかりの猟師たちが、ときおり食べ物を持って

きてくれましたが、誇り高いサンガル姫はそれをみな断りつづけていました。

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