る日、ひとりの猟師が姫の小屋に立ち寄りました。しかしサンガル姫がるすだった

ので、猟師は入り口の階段の上に、ネズミジカの肉を置いて帰りました。

水浴びから帰った姫は階段の上においてある肉を見つけました。

あたりを見まわしましたが、誰もいません。こんな大きな肉を誰が置いて行ったのでし

ょうか? 考えた末、姫はこの肉をもらわない事に決め、肉は階段の上に置いた

ままにしておいたのです。

 それから何日かたった満月の夜、驚いた事に、この肉は大きなうじ虫に変わってしま

ったのです!これを見つけてびっくりしたサンガル姫はこのうじ虫を遠くへ追い払おう

としましたが、うじ虫はびくとも動こうとしませんでした。次の朝、姫が水浴びをして

いると、今度は井戸のそばの階段のところにうじ虫を見つけました。姫はびっくりし

て、棒を拾い、うじ虫を押しのけようとしましたが、棒が折れてしまって追い払うこと

はできませんでした。その次ぎの日、畑に行くと今度は小屋の下にまた、あの大きなう

じ虫がいるではありませんか。それを見たとき、姫は心の底からぞっとしました。どう

しようかとあれこれ考えをめぐらしていると、ふいに太陽の登る方角に川があり、その

川のほとりの小屋に、渡し舟の船頭が住んでいる事を思い出しました。

姫はすぐに自分の小屋を出ると、太陽の昇る方向にむかって歩き出しました。

小川をまたぎ、水溜りを飛び越え、ありに噛まれてもかまわずどんどんと歩き続けて、

やっとサンガル姫は
川のほとりにたどり着きました。

「どうか助けてください!私は大きなうじ虫に追われているのです。」

とサンガル姫が、大声で呼びかけると、男が小屋から現われました。

男は姫の後ろに大きなうじ虫が追ってきているのを見てとても驚きました。

 

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