こうなってみると、サンガル姫はその場しのぎにこの船頭と結婚の約束をしたのを後悔しは

じめました。なんとかこの船頭から逃げ出すいい方法はかと考えたあげく、姫は船を借りて

逃げることを思いつきました。

「ねえ船頭さん、この船をちょっとお借りしてもいいかしら?」と姫は言いました。

「どうしてだね?」と船頭は聞きました。

「わたしの家にちょっと戻ってきたいのです。約束は忘れませんから。」

とサンガル姫は答えました。船頭は承知して、船に櫂とたっぷりの食べものを積んでくれま

した。それから水が入ってこないように船の隙間を埋めました。

「いいかい、家に帰る途中になにが起こっても、口をきいてはいけないよ。」

と船頭は言いました。サンガル姫はうなずき、いさましく舟を漕ぎだしました。

曲がりくねった川をやっとの思いで漕いで行くと、川がつぎつぎと3箇所も小さな滝のよ

うになって流れ落ちているところににさしかかりました。川は渦を巻いて流れ落ち、滝に

たつ泡はあり塚のように大きくなっていました。サンガル姫はこんなに大きな泡は見たこ

とがありませんでした。

 

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チェリタラギの部屋へ

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