一覧へ戻る ちよだ No.1 昭和54年10月1日(1979)発行
7ページ 6/7  
無 題 内木 重雄
 私が千代田走友会に入会して6年目、もう古いほうではないか。こんなに長く続けられたのは私を含めて走り終わった後の、あの快感を味わえるからやめられないのでしょう。ある人は仕事より楽だという。まさにそうかも知れない。笑いとおしゃべりのスタート。そして徐々に間隔が広まり竹橋の坂を登りきる頃にはもう「マイペースで走ればいいや」という気分で順位も記録も大体決まってくる。あとは本人次第で、体調がよければ、多少記録がよくなる程度である。こうした甘えがあるから、好い記録は出る筈がない。それでもこんなグループにいるのだから、縁は奇なもの味なものである。
 私は年に4〜5回対外試合に出るが、それなりに充実感をもって帰ってくる。ふだん出来ない長距離レースの楽しみでもあり、苦しみでもある。それに立ち向かう時は多少なりと練習し気分を紛らわしている。出場しなければいいのにと、レースが終わった後で思うのだが、申し込む時は調子良さそうなので、「出て見るか」という気になって申し込む。こんなことを繰り返しているのだから、止められないのでしょうね。
 何かの縁で、この走友会に、こんなに長く厄介になって居ります。私は宗教をどうの、こうのという事は嫌いですが、縁とは不思議なもので、大切にしたいと思って居ります。私と彼女との出会いは或る酒場への1回の誘いであった。それまでに彼女の存在は知っていたのものの、この1年ふたこと、みこと話したに過ぎないのだから。あの時、そのひと時がなかったならば、今の彼女は存在しなかったでしょう。その翌日でも同じと言えば同じかも知れないが、彼女として存在したかどうか判らない。それ以来トントン拍子に事は運び、今の彼女が生まれました。今もってその星との出会いを不思議に思っている私です。
 私のマラソン歴も細く長く続いています。一時中断したものの、千代田走友会で走って6年、重ねていうが苦しい時もあらば楽しい時も多い。それがマラソンだと思う。途中で走るのを止めて歩き始めると、ゆっくりとマラソンを楽しんでいる人にも追い抜かれる。より速く走ることはランニングの専門家に任せておけばよい。多数の人も私と五十歩百歩であろう。千代田走友会との出会い、そこには走ることを楽しむ休日の1日がある。そして仲間も多く居る。このひと時を大切に過ごす意味でも、この走友会で走る続けたい私です。

女性チャームランニングスクールの紹介 渡瀬 みつ子
 今年の2月より「ランナーズ」主催の女性だけのランニングスクールが始まりました。銘して「女性チャームランニングスクール」何やら気はずかしい多前ですが、どうして、どうして、なかなかチャーミングな女性の集まりです。小学生から62才まで、思い思いのジョグパンも華やかでランニングを励んで居ります。
 毎月最終土曜日の午後2時、代々木公園織田フィールド前集合。女性であれば誰でも、「初心者、ベテランを問いません。会費は200円、これは終わってからの飲料代になりますが、毎回足を出している事はうけ合い。それがランナーズさんの良い所です。その他ちょっとしたお土産が会員に手渡され、ジャンケンの勝ち抜きで素敵なプレゼントがあり、私もシューズが当たって大変重宝しています。何しろリーダーさんが下条さんなので、彼女らしい、きめこまかい心遣いが会を盛り上げて居ります。毎回30名位の人が体操とジョグをゆっくり始めます。隣の織田フィールドやサッカー場の若者の、はじけるような激しさを尻目に、極めてエレガントに、トコトコ歩道橋を渡り、公園へと進みます。私は初めてここを走ったとき、芝生の上を所が都心にあったのにびっくりしました。
 初心者とベテランに分かれて練習します。私はランナーズの中村君がリーダーさんになったベテラン組に入り真っ先に落伍しました。彼は武相マラソンの時、あのすごい山道を10マイルコースで。あっさり優勝した人ですもの、私がついて行こうなんて考えるのがおこがましい事でした。しかも彼はランナーズの出店の売り子の合間に走り優勝したのだから、私から見れば・・・インベーダーかな。
 1700mちょっとある自転車道を1時間で何周出来るか試して見ました。6周が多いようでした。でも折角土の上を走れるのだから、これは勿体ない。それにコンクリート舗装は私の疲労がそう感じるのかも知れませんが、足に相当ひどいようです。
 主催者は著名の指導者を呼ぶ事を心掛けて呉れますが、私は下条さんの指導でのんびり練習する時間を充分楽しんで居ります。他の人達もそうではないかと、皆さんの明るい顔を見ながら考えています。体操とランニングをくり返す2時間はあっけなく終わります。その後飲物を一緒のミーティングと言いましょうか、おしゃべりと言いましょうか、女性の特技で、これまた楽しい。「思いがけずフルに走っちゃったわ」と言う人。「孫ができてから走り出したのよ」と真っ赤なジョグウエアの素敵な人。「子供の頃からの持病を克服したわ」と明るく笑う娘さん。皆それぞれにドラマティックな人生を持っているなあと感心するばかりです。走る仲間に会った時にいつも感じる生き生きとした、前向きに人生を切り開いて行く人の力強さが幸せに輝いて見えて、とても嬉しいのです。
 タイムも距離も人に話せるものは何もないけれど私なりのドラマを日々作って行きたいと心に思うひとときです。千代田走友会の男性を除く皆さん一度いらして見ませんか。
一覧へ戻る ちよだ No.1 昭和54年10月1日(1979)発行
7ページ 6/7