山岳巡礼  hkk-1529 ≪山岳巡礼≫のトップへ戻る  

 

 2日間 富山県の山5座  
クズバ山-1876m 千石城山-758m ハゲ山(465m)~城ケ平山(447m)  三角山(538m)

  クズバ山(1876m)

 富山

 2016.07.20

 単独   三角点なし
 コース 馬場島駐車場(6.00)---立山川の橋(6.10)---中山分岐(6.55)---最初の小コル(8.25)---クズハ山(9.10-9.30)---中山分岐(11.30)---沢渡渉休憩(11.50-12.00)---馬場島駐車場(12.30)

【富山百山・久々の完全燃焼

梅雨末期ながら、何とか天気は持ちそうとの予報で未明3時に自宅出発。上信自動車道から北陸道へ。滑川インターを降りて馬場島を目指す。過去にも何回か来た道。

馬場島に近づくころ、谷の奥に早月尾根と剣岳が雲にからまれながらもその姿を垣間見せていたが、その後は二度と現れることはなかった。

クズバ山頂

馬場島壮前の駐車場着6時前、さらに50mほど進んでみると車両進入禁止、駐車場へ戻り支度を整えて出発。山頂までの高低差は約1100m、この程度は普通の登山・・・とたかをくくっていた。雲量は多いが晴れ間も少しだけのぞいている。かんかん照りよりいいかも。
立山川右岸の舗装道を10分ほど進むと欄干のない木橋を渡って左岸へ渡る。そこへ車で到着した中年男性、あいさつをしてキョロキョロしていると「クズバですか」と声をかけられ、「それならこの道ですよ、私も登りにきました」と教えてくれた。標識もなく草が茂っているいのでちょっとわかりにくい。

馬場島からだと山頂までの高低差は1100m余。前月下旬の黒菱山・大鷲山は、それぞれ高低差1000mを、二日で苦もなく登ったばかり、この程度なら楽勝か・・・と甘い判断。

礼を言って山道へ取りつく。沢沿いにつけられた道はよく整備されて歩きやすく、快調に高度を稼いで行く。ヤマアジサイ、トリアシショマなどの花を愛でながら、2,3回沢を渡り、中山との峠状の三叉分岐(1150m)に着く。右手のピークが中山(1255m)で6年前の5月、反対方向からピストンしたことがある。

登山口からこの分岐まで高低差350m、所要40分弱。まずは順調なスタート。残りは750m、1時間半もみれば十分か。ところがこのあと滝のような汗を流し、想定以上の厳しい急登に難儀することになる。
三叉分岐を左手にとると次第に勾配がきつくなってくる。スムーズに足が前に出ない。一歩一歩にエイヤッと気合もどきに体重を引きずりあげていく。一歩一歩の体力の消耗が、ケタ違いに大きくなったのを感じる。つかまれるものなら何にでも縋りついて腕力もフル稼働。
時には天を突くような杉の大木やブナなどを見上げて立ち止まる。この杉は立山杉だろうか・・・中山へ登ったときにはタテヤマスギがあったのを記憶している。

汗がとめどなく流れる。ズボンも水をかけたように濡れている。一歩一歩、少しでも楽そうな箇所を選んで足を置き、手はむき出した根っこや、笹竹や雑木や岩角など、つかまれるものは何にでもつかまって四肢総動員の登りがつづく。ロープがフィックスされている箇所もいくつか、これは助かる。
本来なら展望のききそうなところも、雲が垂れ込めて展望は皆無、慰めもない急登はひとしおきつい。

右手ナギ状急傾斜のザレには古びて黒く変色した固定ロープが二本。体重を預けて大丈夫?しかしそれを頼るほかはない。ひたすら足を高みへ向けて運ぶ。

胸を突く急登の先が明るく見える。いよいよ山頂近しか・・・そんな期待はすぐに消し飛んでしまう。今度こそとの期待もそれは小さなこぶ状の高み、そして小さなコルへの下り。

天気がよければ、この辺りはきっと目の前5㎞の距離に名峰剣岳を伴にした天空の遊歩だろうと想像する。
ようやく険しい急登はなくなったものの、霧がかすめる前方のピークらしきものが、今度こそ本物の頂上、そんな甘い期待感を何回か繰り返してようやく山頂へ到着。これほど山頂が待ち遠しかった登山は久々のこと。もっともっとハードな山へ登っているのに・・・。今日はことさら山頂が遠く感じた。

小広く刈りはらわれた待望の山頂、ところが山頂を示す標識一つない素っ気なさ。三角点もないため、気の抜けたような気持ちにさせられる、ただし、天気さえよかったら剣岳をはじめ毛勝三山。大日岳など目の前に大迫力で迎えてくれたはず、残念。登山道もここが終点、この先に道はつながっていなかった。

迫力ある展望こそが、この山へ登る大きなモチベーションだったのに、今日はついていなかった。展望はゼロ、いつかまたもう一度と言いたいところだが、もうその気にはならないだろう。
想い起こせば、この近辺の細蔵山(残雪期)、大辻山、大倉山(残雪期)、中山などに登った折に眺めた剣岳を中心とした大展望と似たものであろうと想像する。

分岐から山頂までの高低差は約700m、見込みは1時間半だったが、丸々2時間を要していた。いかに登りにくい山かという証か。実はそうではなく、認めたくはないが、コースの厳しさのほかに、すでに80歳という年齢。体力・気力の衰え以外の何でもない。これほどの汗もめったにないこと。登れたといことだけに満足して山頂をあとにすることとした。

危険なザレ場を下った先で、登山口で声をかけてくれた中年男性が登ってきた。ずいぶん手間どっているようだが、それが普通かもしれない。あるサイトでは登山口から山頂まで3時間20分との記録。私の3時間10分はまずまずかもしれない。

翌日は、すぐとなりにある大熊山(1629m)を予定でしていたが、もうその気力は残っていなかった。代わりに上市町の低山『千石城山(758m)、ハゲ山(465m)~城の平山(447m)、三角山(538m)を登ってから帰宅した。


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