山行報告2103

蝶ケ岳(2677m)

長野県 2002.10.14 単独行
コース 長野自宅(4.05)===三股(5.35)−−−力水(6.05)−−−まめうち平(6.50)−−−蝶ケ岳ヒュッテ(8.25)−−−蝶槍(9.00-20)−−−蝶ケ岳ヒュッテ裏のピーク(9.50-10.00)−−−まめうち平(11.05)−−−三股(11.55)===帰宅(13.20)
≪槍、穂高の展望を満喫≫・・・(65歳)
手前から霞沢、乗鞍、御岳(蝶槍付近にて)

急遽来客の相手をしなくてもいいことが前夜わかって、それでは登山日和まちがいなしの1日を無駄にする手はない、今年一度も足を運べなかった北アルプスへ行く格好のチャンスとばかりに、日帰り可能な蝶ケ岳山行を決めた。

案の定の絶好の快晴。
未明に自宅を出て登山口三股着は夜明けのタイミングにぴったのり5時30分。道路沿いのちょっとしたスペースには、駐車場のかなり手前までマイカーが数多く止っている。3連休で駐車も大変だった様子がうかがえる。今朝は駐車場の中には櫛の歯が欠けたように空きがあった。
仰ぎ見ると、行くのを待ち構えるように、朝日に輝く蝶ケ岳が登高意欲をかきたてる。

三股からの登山はこれが2回目、最初は前常念岳を目指したが今回は蝶ケ岳へのコース。
緩やかな道を30分ほどで「力水」という水場、力をもらおうとちょっぴり口に含む。
カラマツの林を過ぎるて、ツガやシラベなどに樹相が変ってきて、登り勾配も強まり高山の雰囲気になってくる。樹間からは常念岳が高だかと圧するように聳え立つ姿ものぞめる。
尾根の小さなコブ状の平がある。消えかかった標識は「まめうち平」と読める。

岩や岩片の歩きずらい道となり、勾配も険しさをまして高度をぐんぐん上げて行く。今朝蝶ケ岳ヒュッテを発って下山してくる登山者に次々とすれ違うようになる。
落葉したナナカマドは真っ赤な実をつけ、ヤマブドウは濃い紅色で秋の山を彩っている。
かなり早いペースで足を運んでいると、突然声をかけられた。東京の I さん、常念、蝶を縦走しての帰りだった。奥さんと他に2人合わせて4人仲間で、当人は私と同じ人工肛門の知り合い、先月もお会いしたばかりの人である。あまりの偶然に驚きつつ、短い立ち話で別れる。

大滝山への分岐を過ぎ、ハイマツ帯に入ると稜線に到達したのがわかる。コケモモやガンコウランが庇護を求めるようにハイマツの下に身を寄せている。
所要2時間50分、休憩なしで登りついた稜線上に立つと、舞台の幕が上がったような劇的な大展望が目に飛び込んできた。一の沢から常念乗越へ登りついたときと同じ感動だ。
久しぶりに目にする槍、穂高の岩稜が、正面から朝日を浴びて赤銅色にそそり立つ姿は、いつ見ても凛々しい。赤銅の裾は赤、黄、緑の色模様に染まり、目を奪う。
東北の山も、北海道の山も、そして南アルプスの山も大好きだ。それでもこの北アルプスの峨々とした山稜を目にするとき、やはり日本の代表山岳であることを実感せずにはいられない。
私がいつも好きな山三指に数えている常念岳は目の前に巨躯を誇っている。霞沢岳、乗鞍、御岳、大天井、燕、裏銀座の野口五郎あたり、富士山、南アルプス、八ヶ岳・・・・しばし恍惚として見とれた。

ヒュッテから展望盤を経由し、標高点のピークに立ち、蝶槍まで足を延ばしてから、ここで展望を楽しみながら20分ほどの休憩を取った。
再び蝶ケ岳ヒュッテまで戻り、ヒュッテ背後のピークに立つと、隠れていた大滝山が黒々と目の前にあらわれる。ここが蝶ケ岳の最高点(2677m)で、標高点より13メートル高い。展望盤のある瞑想の丘には2664.3mと記されているが、この標高はそれより少し北にある標高点の高さである。

下山にかかろうとするとき、下からガスが吹き上げてきて、あっという間に視界は閉ざされてしまった。下山も休憩なしの1時間55分だった。
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