山のエッセイ3006  up-date 2001.03.21 山エッセイ目次へ

「北型」と「南型」
《あなたは北の東北・北海道方面と、南の中国・四国・九州方面のどちらに心を引かれますか?》

九州、北海道方面に住んでいる人にはふさわしい質問ではありませんが、たとえば首都圏から近畿圏、すなわち日本列島の中間あたりに住んでいる人に、こんなことを尋ねると、どんな答えが返って来るだろうか。
はっきりとどちらかを答える人もいれば、両方とも心引かれる人、あるいはどっちでもいいという人もいるでしょう。
つまりくだらない質問というわけです。

どうしてこんなくだらないことを考えたかと言うと、私はもう断然北に心を引かれるのです。
テレビなどで南九州や沖縄の真っ青に澄んだ海が写しだされても、太陽がさんさんと輝く浜辺や、海中の色鮮やかな珊瑚や魚たちの映像が出ても、どうもあまり気持ちが動かないし、血も騒がないのです。
ところが北海道知床の番組とか、東北のブナの話、高い山の話、雪の話、北国の動物の話、何でもいいのですが、北国の話題にはとてつもなく強い関心を持ちます。
関心バロメーターの針が振り切れるほどはねあがるのです。

家内が「沖縄へ行って見たい」と言っても、「どうせ行くなら北海道へ行った方が、あるいは東北の方が」とついつい言ってしまいます。
そういえば、サラリーマン現役時代から、長期に休暇が取れると夏休みなんか、南方面へ行ったことは一度もない。たいてい東北、北海道です。 定年退職して自由の身となり、激安のパックツアーなどに参加する。これもたいていは北方面の東北とか北海道とか。
東京に住んでいたときも、今の奈良県へ移ってきてからも、この傾向は変わっていない。

山に囲まれた寒い信州に生まれ育って、本当は暖かい南国のひろびろとした大海原なんかに憧れても良さそうなのにそうではない。
どうも私は「北型」の人間のようです。

そこで屁理屈をつけて見ました。
《北=寒い、厳しい》 そして 《山は高い=気温が低い、厳しい》
寒い信州に生まれ育ったのも影響しているかもしれませんが、 温暖、穏やかさより、厳しさの方が性にあっているのかもしれない。

登山というのは、楽しいけれども厳しさを伴う側面も多い趣味です。
その登山が趣味だから厳しい北が好きなのか、北が好きだから登山が好きになったのか。 その辺はわからりません。

果たして登山の好きな人は「北型」が多いのでしょうか。それとも「南型」が多いのでしょうか。
どっちでもいいことですが、ちょっと気になりました。 いずれにしても私は北が好き。
なんだか方程式が解けたような気がしています。
(こんなくだらないことを考えるのは、とんでもない暇人の証拠だと、自分ではわかっています)