山のエッセイ3020  up-date 2001.07.10 山エッセイ目次へ

小さな心使いだけれど

ことさら取りたてるようなことではありませんが、登山に関して心がけていることがあります。
登山に出発する前、必要な食べ物等を商店のそろっている自宅周辺で買っていけば便利に決まっていますが、それでも敢えて目的の山に近い町や村で買うように心がけています。

登山道の整備、道標の設置、あるいは遭難・事故などへの対応と、登山に関して地元の人々の力は大きいと思います。
夏、信州大町駅へ早朝降り立つと、婦人会か老人会かわかりませんが、何人もの人が駅周辺の清掃をしているのを見かけます。
ボランティアとして無償奉仕しているケースも多いでしょう。
そのおかげで私たちは安心して快適な山歩きを楽しませてもらっています。

そんな地元の人々の努力に対し、登山者として出来ることはほとんどありません。せめておにぎり一つ、ジュース1本でも地元で買うことが、ささやかですが感謝を示す行為と思っているわけです。

以前雑誌の投稿記事か何かで読んだことがあります。
山深い小さな村で自動車のガソリンを入れたそうです。都会地と比べてとんでもない値段だったそうです。客も少ないし無理もないと思います。その人は今度その方面へ出かけるときにはガソリンを満タンにして行く。そのように書いていました。 その気持ちももっともです。

でも私は割りきることにしています。確かに何百円かは違いますが、それは「この山へ登らせて貰ったお礼」そう考えるとあまり苦になりません。

テント、又は自動車で寝泊まりする山行でも、食料はほとんど持って出ません。原則現地調達にしています。なんとなく爽やかな気分で山へ登れますから不思議です。
そして山へ向かう麓の道で地元の住民に会っても「おはようございます。良い天気ですね」と気軽に声をかけることができます。

強制したり、良いとか悪いとかいう問題ではありません。
私個人で出来る小さな心使いと思っています。