山のエッセイ3027  up-date 2001.09.27 山エッセイ目次へ

山のあいさつ
こんなことがありました。
九州の英彦山に登ったときのことです。 英彦山神社の方から登って行きました。けっこう急なところもあって思ったほど楽ではありません。
山頂も近づいたころ、元気の良い中学生の一団が降りてきました。「コンチハッ」一人一人が例外なく挨拶をしてすれ違って行きます。道幅が狭いので脇によけて挨拶を返しながら通り過ぎるのを待ちました。
30人ほどが過ぎてさあ登ろう思ったところへ、再び大集団。全員が大きな声で「コンニチハッ」私も一生懸命にコンチハと返します。 ところが延々とつづく集団は途切れる様子がありません。学校の集団登山でした。教師が「どうもすみません」と声をかけてくれます。「何人くらいですか」と尋ねると「250人ほどです」・・・・
これにはびっくり。当分動けません。

それはいいとしても、挨拶を返すのが並大抵ではありません。せっかく挨拶してくれる中学生を無視することはできません。山を登るより疲れた気分でした。
かなりの時間をかけて集団は過ぎて行きました。

山での挨拶。難しいですね。
人の気配もない淋しい山の中で、思いもかけず出会った登山者は、すぐには離したくないような人恋しさを感じて、挨拶だけでなく一言二言声をかけてしまいます。
準観光地のような山、たとえば美ケ原とか那須茶臼岳など、スニーカー姿が賑やかに行き交う中、次々挨拶をされても返すのが面倒に思うことがあります。
逆に登って来る登山者に道を譲っても、挨拶あるいは会釈一つなく当然と言う顔で通り過ぎる人もいます。
また挨拶をかけても、チラッと一瞥「何か用?」とでも言いたげな顔で黙って通り過ぎる人もいます。

私は道を譲ってもらったときは必ず「ありがとうごさいました」と言うことにしています。 また息を切らして登って来る登山者とすれ違うとき「こんにちは」というときもあれば<小さく会釈してすれちがいこともあります。苦しい登りの途中は声をかけない方が相手も軽く頭を下げれば気持ちは通じますからその方が楽だと思うのです。

どれもこれも悪意があるわけではありませんし、きまったルールがあるわけでもありません。 そのとき、その人の気持ちでしょうね。