山のエッセイ3029  up-date 2001.10.18 山エッセイ目次へ

中高年山男の悩み
夫婦そろって山歩きが趣味、その山登りのスタイル・・・・たとえば二人で日本100名山を目指す、軽いハイキングを楽しむ、健康作りの一環、月に1回近郊の野山を歩くなど・・・が一致して、いつも一緒に山歩きをしているという人には関係ない話です。

私の場合はガンとの闘いの中で日本100名山を目指しました。それが登山にのめりこんだきっかけです。あとどれだけ生きられるかわからない。一つでも多く登りたい。そんな思いで休日ごとに山へ出かけ、それもかなりハードな行程で消化していきました。
体力的なちがいも大きく、私のペースは到底妻の同行は無理でした。(それでも数えてみたら日本100名山の中で29座は妻と一緒に登っていました)

そんな経緯もあって、一人の山歩きが定着し、今でも一人で山へ出かけることがほとんどです。
ときには家もかえりみずに、勝手気ままに一人で山登りばかりしているから当然ですが、妻の嫌味やこごとも聞かされます。 最近はあきらめたのか、あまり不満も口にしませんが、そうはいっても妻を家に残して頻繁に山へ出かけることに後ろめたさと言うか、えもいわれぬ視線や気兼ねをいつも背中に感じています。

山を歩くと中高年の単独登山者を多く見かけます。話をするとかなりの頻度で山を歩いている人が目立ちます。山歩き頻度の高い人は単独行者に多いようです。つまり私のような登山者がたくさんいるということです。
あるとき「女房の不満の目を意識して出てくるのがねえ〜」ということを話してくれた中高年の単独行者がいました。
口にはしないが山にのめりこんだ中高年の中には、私と同じような人も、きっとおおぜいいるにちがいない。何だかほっとしたような、また逆に山男はけしからん亭主が多くて困ったものだなんて思ったものです。

年間で数十日以上も山へ行っている者にはけっこう深刻なことなのです。