山のエッセイ3039  up-date 2002.01.25 山エッセイ目次へ

一粒で二度おいしい
昔、『一粒で二度おいしい』をキャッチフレーズにしたお菓子がありました。おまけのおもちゃも入っていたような気がします。あれはグリコだったでしょうか。

私の登山は一粒で三度の美味しさを味わっています。
登山に限らず、何かやろうとすると「計画」、「実行」、「回顧思い出」の三つの要素がそこにはありますね。
計画も回顧も、実行のおまけではありませんよね。
三つの要素にはそれぞれ異なった楽しみがいっぱい詰まっています。

▼登山でも、旅行でも、デイトでも何てもいいのですが、当日のあれこれを目に浮かべながら、ああしようか、こうしようか、この方が面白いだろうか・・・・考えるだけでもわくわくしてきます。漠然とした思いが、次第に具体的なプランへと形作られていきます。本番よりも楽しいくらいです。
金魚のウンコみたいに、あとをくっついて行くだけ、人のプランにただ乗っかっているだけなんていうのは、えもいわれぬこの楽しみをむざむざ放棄していることになります。もったいないですよね。

▼ さて当日、計画にもとづいて思いきり楽しさを謳歌します。計画が万全であればあるほど楽しさは完璧です。

計画どおりことは運んで「ああ楽しかった、面白かった」これですべて終了・・・・実は案外多いのですね。
ちょっと待ってください。
出来あがった写真を見ることくらいは誰でもします。でもそれだけでは勿体ない。
私は登山から帰ると、もちろん写真は見ますが、見ただけで終わりではありません。保存する写真、捨てる写真を仕分けの上コメントをつけます。引き伸ばしに出すこともあります。登山の行程表や気象・所要時間の実績、登山紀行の作成、入浴した温泉のパンフレットなどを一まとめにして台紙に張りつけて整理します。手はかかりますが、もう一度登山に出かけているような気分になってきますし、その登山がしっかりと頭に記憶されます。

つまり1回の山行で3回の楽しみを味わっているわけです。
登山に限らず、三番目の「振り返る楽しさ」をむざむざ捨ててしまうことのないよう、十分に味わって欲しい思います。 こうして整理製本した登山の思い出が、A4サイズで既に55冊になっています。
読み返すと、忘れていた細かいことまで鮮明に思い出されて、実に懐かしいものです。