山のエッセイ3040  up-date 2002.02.03 山エッセイ目次へ

10年ひと昔
私が日本百名山を踏破したいと思い立ったのは14年前でした。
そのころ、書店で探し出せた資料は深田久弥著「日本百名山」と、佐古清隆さん著「一人ぼっちの日本百名山」だけでした。いずれもガイドブックではありません。
役に立つのはヤマケイ発刊の地域別アルペンガイドと昭文社の「山と高原地図」くらいのものでした。足りない資料は登山関連の書籍や情報誌の中から、役に立ちそうな情報を注意深く拾い出すのも重要な作業でした。時間をやりくりしては、書店へ出向いて対象の山の情報集めに精出したものです。。

最近書店に行くと、日本百名山関連だけでも大変な数の本が並んでいるのに驚きます。それだけ日本百名山への関心、あるいは志向する人が増えたということでしょう。それはそれで良いことだと思います。
私が日本百名山を踏破し終った1990年ころは、「完登」というだけで珍しがられた時代です。それが10年前です。

次に目指したのが日本山岳会選定の日本300名山でした。
私が意識して300名山に取り組みはじめた10年前は、完登者の数は10人にも満たなかったのではないかと思います。それだけに途方もない目標でした。とりかかっては見たもの資料入手が出来ない山が次々と出てきました。どんなんコースがあるかもわからずに、五万分の一地図だけを頼りに出かけたことも何回もありました。
ところが最近ではこの300名山に関しても数多くのガイドブックなどが書店に並ぶようになりました。これが10年前に発刊されていたなら、私の300名山踏破もかなり楽だっただろうなあ・・・そんな思いが湧いてきました。

10年ひと昔と言いますが、この10年で信じられないほど山のガイドブック関連書籍は充実してきたようです。
私が300名山を目指しはじめたころ、こんなど素人が「300名山を目ざしています」なんて、恐れ多くてとても人には言えませんでした。馬鹿か気狂いと思われてしまいそうでした。日本300名山というものの存在すら知らない人がほとんどという時代です。今では数多くの登山者がこともなげに300名山を目指しています。 「ひと昔」の言葉をかみしめるこのごろです。