山のエッセイ3046  up-date 2002.04.08 山エッセイ目次へ

山小屋の食事というと
私が本格的に山歩きを始めてから15年になります。
大きく変ったと思えるものの一つに「山小屋の食事」があります。 ご飯、味噌汁お代わり自由はもう当たり前ですが、おかずの品数、それに質もずいぶん良くなってきましたし、そこそこ手のかかるものを提供するようにもなってきたようです。
一つにはヘリコプターによる輸送力アップがものをいっているのだと思います。

どちらかと言うと、私は食べられさえすればけっこう、文句は言いませんという方ですが、やはり美味しいのがいいことは誰でも同じです。
そんな変化とともに、そこそこ質の高い食事は当たり前で、今やどこの山小屋の食事が良いというようなことは感じなくなりました。逆に悪い食事の小屋がしっかりと記憶に残るようになっています。
その一つ、1993年11月、8年ほど前になりますが、鳳凰三山の地蔵岳へ登ったおり、鳳凰小屋へ妻と泊まりました。夕食はその昔山小屋定番のカレーライスでした。お代わりなしの盛り付け。カレーのご粗末さ加減には驚き、そしてあきれました。箸で具を探しても何にもひっかかりません。カレー粉だけの汁です。カレーの匂いがするだけで、味なんていうものとはとんと無関係。いったいこれ何?という感じでした。

美味しいのが当たり前となった昨今の山小屋の食、この鳳凰小屋の悪い記憶だけが何年たってもすぐに頭に浮かんでくるのです。
街の食堂なら3日で倒産でしょう。
食い物にこだわらない私の唯一の食べ物へのうらみ節です。